祖谷温泉-原子力の日に

2015-11-04 13:07:43 | Weblog

 

 土讃線、阿波池田駅をでて正面の商店街に沿って右斜めにのびる道を150mほど歩くと巨大なショッピングセンターの外れに併設されたバスターミナルにつく。祖谷行きは毎日三便で二便目の12:45発に乗る。乗客2名。1987年発行のヤマケイガイドのころからある便なのだから今後も末永くつづくことを願う。祖谷温泉まで1050円。
 
「断崖にポツリと一軒家の祖谷温泉がある。無色透明の硫化水素泉。」「39.3度のお湯が毎分1500リットル噴出」(ヤマケイガイドより、注:1日2160トンになるが、1桁多いのではないかと思われる)。古いホテルにありがちな亀裂に赤サビということもない。13:40着。高級感のある玄関にスーツの紳士が出迎えてくれた。大きな荷物は受付に預け、屋外のケーブル乗り場へドア一つ。係員が一応いるが、セルフでボタンをおすと車が上がって来るようになっている。遅いと15分かかるとのこと。帰るための送迎バス15:10に、間に合うため3時まで戻るよう言われている。見晴らしよい、怖い絶壁だ。風も強く、暖かいうちに来ておいてよかった。ケーブルカーも小綺麗だが20人は位乗れそうだ。とちゅう子鹿がいたようだ。川にかかっているつりばしの方は落石があるので近づかないよう注意があった。谷底の駅に近づくと、屋外で外国人が帽子を深くかぶっているのが目に付いた。この日、5人位外国人を見かけた。山奥まで訪れるようになってきてるようなので、いずれは京都のように完全観光化して秘境ではなくなってしまうだろう。紅葉はまだで、平日なのに駐車場は車で一杯だった。
 
 男女別のノレンをくぐると玄関になっていていきなり脱衣場である。戸の向こうに風呂の気配がないので開けてみたら下りの廊下が20mくらいつづいている。すっぱだかでこんなに歩くはずがないと思っておりていったら廊下の突き当たりの角がムシロのような壁に囲まれた風呂になっていた。洗い場はない。手ぬぐいをぬらさぬよう頭に乗せて、財産はあと、時計がみれるようかけたままのメガネとロッカーの鍵。硫化水素のにおいがする。これは毒ガス。腕時計をしたままの人も結構いた。中型バスくらいの広さの石のふろの中ほどの壁から湯がでて、上辺の一ヶ所10cmも切れ目から湯があふれて谷へ落ちていく。熱すぎず、ぬるいというほどでもなく、長居に最適の温度だ。給湯は10cmの管からコンコンとわきでて、近づきすぎると時々大きな水滴がはねてくる。
 男湯は日にドラム缶200本とのこと(帰りの運転手より)だが、1秒に15cm流れれば、毎分22リットルでそれくらいの計算になる。
 
ドラム缶=1バレル=35ガロン=35×4.5L=160L
200ドラム缶=32000L=32トン 一日男湯

 ところで今日のNHKのニュース(2015.10.26)で、福島原発の海に流れていた汚染地下水、1日400トンだったのが、遮水壁で10トンにおさえられるようになった。「大きな節目を迎えた。」「一つのくぎりをむかえる」とあったが
比べて考えて、申告量として少なすぎる感じがする。10/26は原子力の日。伊方原発も愛媛県知事が稼動に同意。
核兵器も核の傘も必要ない。H2ロケットは十分な脅威だ。チェルノブイリ、福島を通じて世界中が気がついただろう。だからプルトニウムの在庫もいらない。核の技術は研究所だけで十分だ。

 一日32トンの男湯であるが、15人くらい入っているものの、特に話に花が咲くというわけでもない。座席がほぼ満席のバスのようなものだから話しかけようにも困ってしまう。もちろん、私の頭は実は抗ガン剤でなどと話している人もいた。平日だから当然かもしれないが、髪で察するに、ほとんどシニアのようだった。時々泡のかたまりが流れてくる。湯の華とはきっとこれのことだろうと一所懸命、信じようと努力したが痰や鼻水かもしれない。湯の量が10倍で1日400トン位ならあまり気にならないと思う。30cmくらいの管からコンコンわき出ればさぞ愉快だろう。これは温泉の汚染水問題。

 15分いたか、もういいという気分になった。最後に来て最初にでたら、若いの気にくわなかったか、と温泉ファンたちを悲しませるような気がして、そろそろ誰かでるだろうと、待っていた。段々と肌がふやけてバリアー機能が心配だ。一緒にケーブルでおりた人が早々お帰りということで、私もそろそろと後を追った。どちらにせよ、硫化水素を吸い続けてよいということはないだろう。少量の毒ならかえって体によいというようなことは信じない。ケーブルカーをもっていかれると15分待たされるという心配もあった。しぼっては繰り返しふける、手ぬぐいの便利さに気がついた。温泉がついたままだと荒れるかもしれないので、ホテルの大浴場で体を流した。こちらは、がらすきで脱衣場に1人いただけだった。一応温泉だけど湯は再循環させている。こちらだけなら600円。露天のほうは1700円だが両方入れる。近隣3軒の中で、かけながしがあるのは祖谷温泉だけ。税務署にで聞いたところ残念ながら湯治は医療費控除できない。

 温泉の効果として肌が紅潮しているのがわかった。血行がよくなるのだろう。口の中で、煙のような、アスファルトの工事のような味がその後、夜までつづいた。翌日夜に大体気にならなくなった。3日後でもスモーキーな味が少し残る。哺乳動物にとって危険な臭いには敏感に作られているのだろう。緊張感とともに、交感神経を上げて元気にする作用があるようだ。コルチゾール(ストレスホルモン)が多めに出るせいと思われるが、当日食欲が少し落ち(血糖、脂質上昇作用)、翌々日は便がかたくなった(血液水分貯留作用)。体がやわらかくなったようで、首の普段は鳴らないところがポキポキした。翌日は、寝起きすっきりで頭や感覚がさえているようだった。
 でも長湯のしすぎは、心身ともクレゾール漬けのようになりそうだから気をつけよう。
 
 15:10の送りで30分で大歩危についた。少し時間をつぶしていればのぼり、下りとも特急がやってくる。
 送りというか、泊まり客の迎えのついでに乗せてもらうわけである。前もって、その日乗れるか確認しておいた方がよい。乗れないと西祖谷の町までタクシー1600円位。8kmのハイキングは動物と相撲して勝つ自信ある人にしかおすすめしない。観光客が食べ物をおとしていくのではないか。西祖谷からは5時台のバスで大歩危へ。(11月末まで土日は4時も)

参考書:飯柴智亮 他著「新軍事学入門」2015.9 飛鳥新社
原発防衛の考え方、海兵隊不要論など

 

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