夢の介音楽夜話

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2015年06月28日 | 食・レシピ


凡そ料理とは手間を惜しまないことか。
面倒なことが嫌いな男が案外はまってしまうのかもしれない、釣れもしない釣り糸をいつまでも垂らす人が案外短気な人であるように。

男の料理には、道を極める達人の域と必要に迫られやむなく行う料理、そして世の中のためにならない夢追い人の世界がある。
レシピ通りにやれば大方うまくいくはずの手順は、やっていくうちにレシピ通りにやりたくない誘惑にかられる。

少なくとも2回目以降は、なんらかの創意工夫、いたずらをやらないと気がすまない。
で、失敗する、またトライする。

料理はやらないが、自分で育てた果菜類を使ったジャムや蕗味噌といったものに挑戦してきた。
最初はレシピを参照するのだが、そのうち見なくなる。
これは譜面を見ながら弾いていたものが見なくなる音楽と同じだ。

もっとも素人の「いたずら」は崖っぷちに立った極め人のような苦悩がない代わりに、食材や器具、設備、脚の綺麗なアシスタントなどないものだらけの環境でやらざるを得ない。
そこで失敗しようが、何しようがおかまいなしに王道を外れる冒険をやる。

そのうちに自分なりのレシピが出来上がり分量などはいい加減として手順は諳んじて言えるようになる。


先般郷里の同年の方からおばあちゃんの話を聞いた。
郷里では駄菓子屋でいわゆる「B級グルメ」を提供することが一般的に行われていた。

つまり駄菓子屋の一角に設けられた鉄板の上で「お好み焼き」や「焼きそば」を作ってくれるのだ。
確か、5円とか10円といった硬貨を握りしめた子供達がおやつやお昼がわりにテーブルを囲む。

どうやら「餃子」を出すところもあれば「いなり寿司」やら「おでん」を出すところもあったという。
彼の家は通りに面した駄菓子屋であっておばあちゃんがこの「B級グルメ」の食の達人であった。

郷里の「お好み焼き」は広島風と異なり生地が薄い。
おまけに紅生姜や沢庵、ネギ、干しエビが入っている。
これらの食材は安価で大量に入手できる地元の産品であったと思う。

そして紅生姜と沢庵は見たことがないくらい細かく切り刻まなければいけない。
薄くクレープのように焼きあがったお好み焼きをひっくり返して「ウスターソース」を塗る。

その上にアオサとダシ粉をまぶして両サイドから折りたたむ。
長方形になったお好み焼きにさらにソースとアオサとダシ粉をかけ、金属ヘラで筋目をつけて出来上がり。

お持ち帰りは、経木にのせて、さらに新聞紙で包んで持ち帰る。
この経木の香りとお好み焼きの放つ全ての香り、ネギ、ベニ生姜、沢庵、干しエビ、ソースと小麦粉の湯気が立つ香りたちとの相乗効果によって当時の子供達の最高のご馳走だった。
もっともこれは駄菓子屋に通わせてくれた庶民の子供の世界の話で、深窓の令嬢はご存知ないかもしれない。


彼のおばあちゃんはそうしたメニュ全ての達人だったという。
話を聞いているだけでおばあちゃんに会いたくなってきたし作品をいただきたくなった。

残念ながら現在はお店は閉店してついこの間まであった鉄板も処分されたようだ。
おそらく私と同年代の郷里の友はこの「B級グルメ」にノスタルジーだけでない「美味しい記憶」があるだろう。

そしてこの「B級グルメ」たちはお店によって少しづつ味の違いがあったようだ。
家にいる主婦が片手間に始めた駄菓子屋でお好み焼きを作るわけだからおそらく戦後思い思いのやり方でレシピが出来上がったのだろう。

郷里の「餃子」消費量は日本一の栄誉に輝いたようだが、お好み焼きや焼きそば、煮込みおでんといったチープなB級グルメを提供するスポットが見当たらないのが寂しい。




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