山谷えり子 国家公安委員長
2015年10月24日
小6死亡火災で大阪高裁、再審支持 無期の母ら釈放認める
大阪市東住吉区で平成7年、死亡保険金目当てに自宅に火をつけ、小学6年の青木めぐみさん=当時(11)=を焼死させたとして、殺人などの罪でともに無期懲役が確定した母親の青木恵子元被告(51)と内縁の夫だった朴龍晧(ぼく・たつひろ)元被告(49)の再審請求即時抗告審で、大阪高裁(米山正明裁判長)は23日、「車のガソリン漏れからの自然発火である可能性が否定できない」として再審開始を認めた大阪地裁決定を支持、検察側の即時抗告を棄却する決定をした。
さらに両元被告に対する刑の執行を26日午後2時で停止するとした。
検察側は即日異議を申し立てたが、退けられれば釈放される。検察側は最高裁に特別抗告するとみられる。
確定判決は「車のガソリンタンクからガソリン約7リットルを抜き、ライターで火をつけた」とする朴元被告の自白をもとに有罪を認定していた。
米山裁判長は決定理由で、漏れたガソリンが風呂釜の種火に引火した自然発火説について、(1)類似車両4台の実車見分で、いずれも給油口からのガソリン漏れが確認された(2)火災直後の実況見分写真では、給油キャップが斜めになり、完全にしまっていない-という新証拠を踏まえ、「自然発火の具体的可能性があることは明らか」とした。
その上で、確定判決後に実施された弁護団による火災再現実験で、自白通りにガソリンをまこうとしても途中で風呂釜の種火に引火、一気に炎上したという結果を重視。「自白通りの放火方法は再現が極めて困難。自白に信用性はなく、確定判決の有罪認定に疑いが生じた」と結論づけた。
産経新聞
女児焼死:大阪高検が特別抗告を断念…再審開始、確定へ
大阪市東住吉区の小6女児焼死火災で、大阪高検は28日、母親の青木恵子さん(51)、内縁の夫だった朴龍晧(ぼく・たつひろ)さん(49)の裁判のやり直し(再審)を認めた23日の大阪高裁決定に対し、最高裁に特別抗告しないと発表した。
殺人罪などで無期懲役とされた2人の再審開始が確定する。
有罪を裏付ける新たな証拠はないとみられ、再審で無罪となる公算が大きい。
高検の榊原一夫次席検事は28日、「高裁の決定における事実認定には、直ちに承服しがたい点があるが、(特別抗告の要件である)憲法違反などが存するとまでは言い難い。特別抗告は断念することとした」との談話を発表した。
2人は刑務所で服役していた26日、刑の執行を停止され、逮捕以来約20年ぶりに釈放された。
死刑か無期懲役の判決が確定した後、再審が決まった事例は1975年以降、10件となった。過去の9件はすべて再審無罪になっている。
特別抗告の可否について、高検は最高検とも協議。「無罪の蓋然(がいぜん)性がより高まった」と判断した高裁決定は憲法違反や判例違反に当たらないと判断し、特別抗告しないことを決めた。
期限を過ぎた29日午前0時に再審開始が決まる。
検察側は大阪地裁で開かれる再審公判でも有罪主張を続ける。
毎日新聞社