2020年5月21日
黒川検事長賭けマージャン 「レートはテンピン」「高額と言えぬ」 法務省局長答弁
黒川弘務東京高検検事長が東京都内の新聞記者宅で賭けマージャンをしていた問題で、法務省の川原隆司刑事局長は黒川氏が「1000点100円」のいわゆる「テンピン」のレートでマージャンをしていたと明かしたうえで、このレートについて「社会の実情を見ると、必ずしも高額とは言えない」との見解を示した。
黒川氏に懲戒処分が行われなかった理由を尋ねた無所属の山尾志桜里衆院議員への答弁。
川原氏は「賭けマージャンは許されるものではない」と断りつつ、黒川氏が5月1日と13日に参加した賭けマージャンのレートも考慮して処分を決めたと説明した。
金銭の多寡にかかわらず賭けマージャンは違法だが、レートは警察による摘発の基準の一つになっているとされる。
川原氏は、黒川氏が記者が手配したハイヤーに同乗して帰宅していたことも認めたが、「黒川氏個人のために手配されたハイヤーではなく、社会通念上相当と認められる程度を超えた利益供与があったとは認められない」とし、ハイヤーへの同乗は処分の対象事実には含めなかったとも説明した。
毎日新聞
5月21日
黒川氏ケース、事件化困難?=賭けマージャン、過去に摘発も
東京高検の黒川弘務検事長(63)が新聞記者らとの賭けマージャンを認め、辞表を提出した。
過去には賭博容疑で芸能人や公務員が警察に摘発されたケースがあり、黒川氏立件の可能性も残るが、捜査幹部からは「事件化は難しいのでは」との声が出ている。
賭けマージャンをめぐっては、タレントで漫画家の蛭子能収さんが1998年、東京都新宿区のマージャン店で警視庁捜査4課(当時)などに現行犯逮捕された。
愛知県警は2013年、勤務中に賭けマージャンをしたとして県警の警察官6人を書類送検し、うち2人が罰金10万円の略式命令を受けた。
朝日新聞社によると、黒川氏は同社社員や産経新聞記者、次長らと今月、記者の自宅で現金を賭けてマージャンをした。
事実であれば賭博罪に当たるとみられ、刑法では「50万円以下の罰金または科料」と規定される。
朝日新聞は1回の勝ち負けは1人当たり数千円~2万円程度などと発表。
一方、ある捜査幹部は「仲間内での遊びの範囲内だったら、事件にするのは難しい」と指摘する。
現行犯ではないため、「誰がどういう状況でいくら賭けていたか再現できるまで詳しく調べなければならない」といい、立件のハードルも高いと話す。
別の捜査幹部も「闇カジノなど暴力団が後ろにいる賭博場などを狙って摘発するのが一般的」と説明。
単純な賭けマージャンのみでの立件には慎重な姿勢を見せている。
時事通信社
5月21日
黒川検事長 辞表提出 法相が受理 あす辞任へ
東京高等検察庁の黒川弘務検事長が緊急事態宣言が出されている中で、賭けマージャンをしていた問題で、森法務大臣は、黒川検事長の辞表を受理したことを明らかにしました。
黒川氏の辞任は、22日の閣議で正式に認められる予定です。
東京高等検察庁の黒川弘務検事長が緊急事態宣言が出されている中で、賭けマージャンをしていた問題をめぐり、森法務大臣は21日夕方、総理大臣官邸で安倍総理大臣と会談しました。
このあと森大臣は記者団に対し「黒川検事長は、東京高等検察庁の検事長という立場にありながら、緊急事態宣言下の今月1日と13日の2回にわたり、報道機関関係者3名とマンションの1室で会合し、金銭を賭けたマージャンを行っていたことがわかった」と法務省の調査結果を安倍総理大臣に報告したことを明らかにしました。
そのうえで「この行為は誠に不適切と言うほかなく、極めて遺憾で、黒川検事長を、訓告の処分とした。先ほど黒川検事長から辞表が提出されたので、あすの閣議で承認をいただく予定だ」と述べました。
そして、森大臣は報告に対し、安倍総理大臣が「了解した」と述べたと明らかにしました。
また、黒川検事長の定年延長について「閣議で決定するよう求めたのは私であり、責任を痛感している」と述べる一方、「適切なプロセスで行ったと認識している」と述べました。
さらに森大臣は、黒川検事長の後任について「速やかに決める予定だ」と述べたほか、稲田検事総長の進退は、安倍総理大臣との会談では話題にならなかったことを明らかにしました。
法務省 黒川検事長の賭けマージャン確認
東京高等検察庁の黒川検事長が、緊急事態宣言の中、賭けマージャンをした疑いがあると報じられたことをめぐり、法務省は、黒川氏が賭けマージャンをしたことなどを確認したと明らかにしました。
東京高等検察庁の黒川弘務検事長は、緊急事態宣言で外出自粛の要請が続く今月1日と13日の夜、都内にある新聞記者の自宅マンションを訪れ、賭けマージャンをしていた疑いがあると報じられ、辞任の意向を固めました。
衆参両院の法務委員会の理事懇談会では、法務省が、調査の結果、黒川氏が、1日と13日に賭けマージャンをしたことや、費用の負担なくハイヤーに乗ったことを確認したと明らかにしました。これに対し、野党側は、持ち帰って対応を検討する考えを示しました。
黒川検事長の経歴は
東京高等検察庁の黒川弘務検事長は東京都出身の63歳。
昭和58年に検事に任官し、平成9年からよくとしにかけては、東京地検特捜部で総会屋への利益提供をめぐる4大証券事件などの捜査を担当しました。
法務省に異動したあとは、刑事局総務課長や秘書課長などの要職を歴任し、与野党を問わない人脈の広さと調整能力の高さが評価され、優秀な人材が多く「花の35期」と呼ばれる任官同期の中でも、名古屋高等検察庁の林眞琴検事長らとともに将来の検事総長の有力候補とされてきました。
平成22年に大阪地検特捜部の証拠改ざん事件が発覚した際には、松山地方検察庁の検事正に異動したわずか2か月後に「特命担当」として本省に呼び戻され、検察改革を議論する有識者会議で事務局を務めました。
この会議で取りまとめられた提言は、取り調べの録音・録画や司法取引など新たな捜査手法の導入などにつながりました。
平成23年からは、7年余りにわたって法務省の官房長と事務次官を務め、官邸との折衝や国会対策で手腕を発揮し、「共謀罪」の構成要件を改めて「テロ等準備罪」を新設する法案や外国人材の受け入れを拡大するための、改正出入国管理法などの成立に尽力しました。
去年1月に事務次官から東京高検検事長に就任した際の会見では「検察に重大な権限が与えられていることの責任を強く意識し、国民の負託に応えたい」と抱負を述べていました。
黒川氏をめぐっては、法務官僚としての実績が高く評価される一方、政界との距離が近いという指摘もあり、ことし1月に政府が法解釈を変更して史上初めて定年が延長された際には検察関係者の間で「官邸の意向で次の検事総長にするための措置ではないか」という見方が広がりました。
産経新聞「厳正に対処」
黒川検事長が賭けマージャンをしていたのは、産経新聞の記者2人と朝日新聞の記者だった社員の合わせて3人です。
産経新聞社広報部は21日夜、改めてコメントを発表しました。
「東京本社に勤務する社会部記者2人が取材対象者を交え数年前から複数回にわたって賭けマージャンをしていたことがわかりました。賭けマージャンは許されることではなく、また、緊急事態宣言が出されている中での極めて不適切な行為でもあり、深くおわびいたします。厳正に対処します」としています。
NHK