洋上風力発電と漁業 海外と日本の経験

Offshore wind farms and fisheries
”洋上風力発電と民主主義”

洋上風力発電と漁業 日本の経験#53 産官学金「チーム札幌・北海道」大規模撤退のデンマークを先進地と位置付けて視察

2023-11-27 07:11:42 | 日記

2023年11月27日

北海道機船漁業協同組合連合会内 一般社団法人北洋開発協会 原口聖二

[洋上風力発電と漁業 日本の経験#53 産官学金「チーム札幌・北海道」大規模撤退のデンマークを先進地視察]

日本での先行する欧米の洋上風力発電の漁業分野との共栄、相乗効果等の成功体験は、ほとんどが開発事業者による切り抜き発信で、実際に漁業分野の情報にアクセスしていくと様々な問題が報告されている。

2023年11月27日付北海道新聞(内本智子様)は、道内で再生可能エネルギーなどGX(グリーントランスフォーメーション)関連産業を発展させ、投資拠点となる国際金融センター化を目指す産学官金の共同事業体「チーム札幌・北海道」が11月中旬、洋上風力発電プロジェクトの先進地とされるデンマーク等の欧州を視察したと伝えた。

洋上風力発電開発事業者として世界最大クラスのデンマークの半国営企業”オーステッド”(Ørsted)社は、米国、ノルウエーに続き、ヴェトナムの大型プロジェクトからの撤退をこれより先に表明している。

“オーステッド”は、2023年10月31日、米国の主力プロジェクト“オーシャン・ウィンド”を中止することを決定、翌11月1日、ニュージャージー州公共事業委員会に対し、1億ドルの保証金を取り戻したいと通報した。

また、ニュージャージー州のモノパイル基礎製造計画のために鉄鋼製造会社“EEW”と計画していた2億ドルの投資の返還も求めている。

新型コロナウイルスのパンデミックを発端とするサプライチェーンの混乱は、ウクライナ紛争で一段と深刻化しており、輸送コストや原材料費の高騰、金利の上昇、そして、インフレにより、風力発電事業者の利益が圧迫され、内容が悪化しており、このような環境で、漁業分野を含め満足な補償等に対応がなされるのか、はなはだ疑問な状況が伝えられている。

今回の視察には行政の代表者も参加しており、これらの情報を的確に入手してきたのか、注目されるところとなる。

 

2023年11月27日 北海道新聞(内本智子様)

GX転換の速度実感 産官学金の「チーム札幌・北海道」欧州視察

道内で再生可能エネルギーなどGX(グリーントランスフォーメーション)関連産業を発展させ、投資拠点となる国際金融センター化を目指す産学官金の共同事業体「チーム札幌・北海道」が11月中旬、欧州の先進2カ国を視察した。デンマークでは洋上風力発電による水素の製造や輸出などの新しい取り組みを学び、エネルギー転換の速さを実感。金融センター化に向けてはGX関連産業の現場に近い札幌の地理的利点をどう生かすのか、課題も浮かび上がった。

<ことば>GX(グリーントランスフォーメーション) 石油や石炭など二酸化炭素排出量の多い化石燃料から、太陽光や風力など再生可能エネルギー中心へ産業構造や社会を変革し、経済成長を図る取り組み

<ことば>チーム札幌・北海道 4月に札幌であった先進7カ国(G7)気候・エネルギー・環境相会合を契機に、6月に発足した産学官金連携のコンソーシアム(共同事業体)。札幌市や道のほか、金融庁や大手3行、北洋銀行、北海道銀行、北海道経済連合会、北大など道内外の21機関で構成。11月14~17日にルクセンブルクとデンマークを視察した。

■デンマーク、再エネの「先」へ

コペンハーゲンがあるシェラン島とフュン島をつなぐ海上架橋から見るデンマークの洋上風力発電機=

2023年11月17日

 「私たちは豊富な風を持っている。電気で使うだけなら風力はただの資源だが、水素に加工すれば世界中に売れる。それが今、水素を促進する理由だ」

 デンマークの首都コペンハーゲンにあるエネルギー庁の会議室。視察団を前に、業界団体グリーンパワーデンマークの再生可能エネルギー部門責任者、カミラ・ホルベックさんはエネルギー戦略の現在地をこう語った。北海道では初の洋上風力発電の商用運転が年内にも始まる段階だが、世界最先端の地では官民挙げ、再エネの「先」へと動きだしていた。

 水素は次世代エネルギーとして注目され、道内でも研究が進む。デンマークの特徴は水素製造時に必要な電気を風力でまかなう点だ。気候変動の原因となる二酸化炭素(CO2)を製造時も使用時も排出しない「グリーン水素」で、トラックや船舶の燃料など運輸分野での脱炭素化を図る。

 さらに、同国政府は自国消費だけではなく、輸出に力を入れる。世界的な水素需要の拡大が見込まれるからだ。最初の事業として、製鉄や化学工場を多く抱える隣国ドイツへの水素パイプライン整備に着手。2028年の完成を目指す。

 デンマークのエネルギー転換の速度は速い。風力は現在、発電の電源構成比で50%以上を占めるが、同国の電力会社オーステッドによると、08年当時は石炭など化石燃料が85%だった。09年に自国で開かれた国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)を機に「化石燃料のビジネスに未来はないことは明白」(同社担当者)と判断し、官民で一気に再エネへとかじを切った。「40年まで」と定めた再エネ比率約85%の目標を20年以上前倒しして19年に達成したという。

 

■洋上風力、再エネ転換をけん引

 再エネ転換をけん引したのが洋上風力だ。国土の大半を風況の良い北海やバルト海に囲まれる。風の資源を最大限に活用するため、新たな試み「エネルギー島計画」が始まっている。

 洋上のウインドファーム(集合型風力発電所)で発電した電気は海底ケーブルで陸上に送る必要がある。島計画は、ファームごとにケーブルを敷設するのではなく、島をハブとして周辺のファームの電気を集め、高圧で本土や欧州に送電する構想だ。島での水素製造も検討中で、中央欧州への輸出や船舶の燃料としての利用を狙うという。

 その舞台の一つは、約4万人が暮らすバルト海のボーンホルム島。計3ギガワットの風力発電のハブにする計画だ。環境への影響調査など解決すべき課題もあるが、デンマーク工科大のヤコブ・オスターガード教授は「住民は安いグリーンエネルギーを享受でき、地域経済への波及効果も大きい」と説明する。視察団からは「洋上風力の潜在能力が高い北海道でも将来のヒントになる」との声が上がった。

 

風力発電機で世界最大手のメーカー・ベスタスで再エネ事情などを聞くチーム札幌・北海道のメンバー=

2023年11月17日、コペンハーゲン

 視察団が再エネ先進地で目の当たりにしたのは変化の速さ。視察に参加した北海道ガスの前谷浩樹取締役常務執行役員は「スピード感と大胆さ、発想のスケールと、そこに向かって進む実行力が勉強になった」と振り返る。また、札幌市の秋元克広市長は「仕事の進め方を変えなければいけない。できない理由を探すのではなく、トライアンドエラーの進め方にも挑戦し、速度を上げて具体的な取り組みを進めたい」と話した。

 

■独自のモデルをつくるチャンスに

 一方、金融センター化に向けてGX金融の先進地ルクセンブルクの銀行協会は「資本を集める場所と発電する場所が必ずしも一致する必要はない」と指摘。今後、道内で発展が見込まれるGX関連産業に近い地理的利点の生かし方はまだ模索中だ。北洋銀行の津山博恒常務取締役は「逆に言えば、国、地元、民間企業が一枚岩で取り組めば、世界にまだないGXと金融が近接した独自のモデルをつくれるチャンスがあるのではないか」と期待を込めた。(コペンハーゲン、ルクセンブルクで内本智子様、写真も)

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