洋上風力発電と漁業 海外と日本の経験

Offshore wind farms and fisheries
”洋上風力発電と民主主義”

洋上風力発電と漁業 日本の経験#47 北海道 有望区域に重要なスケトウダラの産卵場が含まれている

2023-10-29 22:02:01 | 日記

2023年10月29日

北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二

[洋上風力発電と漁業 日本の経験#47 北海道 有望区域に重要なスケトウダラの産卵場が含まれている]

2023年10月29日、北海道新聞は、国や道が、洋上風力発電の具体化へ向けて、11月以降、5カ所の有望区域で順次、法定協をつくり、利害関係者で議論すると伝えた。

一方で、5カ所の有望区域には、重要なスケトウダラ資源再生産のための産卵場が含まれている。

北海道の沖合底びき網漁業にとって、最も重要な漁獲対象資源はスケトウダラだが、現在、北海道日本海側資源(日本海北部系群)は、低位な資源評価から、世界中のスケトウダラ漁場において資源開発率(漁獲割合)が10〜20%に設定されているにもかかわらず、この漁場のみ5%を切る極めて低い総許容漁獲量設定で資源回復に取り組んでいる最中となっている。

成魚の資源利用者は、調査海域漁業者ばかりでなく、少なくとも北海道の日本海側全体に及び、広域の多くの漁業者となる。

洋上風力発電プロジェクトで先行する欧米の科学研究機関は、洋上風力発電が重要な白身魚の産卵場に大きな影響を与える可能性が高いことを指摘している。

 

 

 

2023年10月29日 北海道新聞様から転載

洋上風力、道内で関連投資が活発化 ひしめくライバル 差別化課題に

北海道沿岸での洋上風力発電の建設ラッシュを見込み、道内で産業集積や関連投資を推し進める動きが目立ち始めた。政府が開発を主導する複数海域を巡っては、近く法定協議会で漁業との共存や環境対策の検討が始まる。課題を乗り越えて大規模事業が実現すれば、道内経済には中長期の追い風となるが、ライバルは国内外にひしめいている。

JR東室蘭駅から車で20分ほど走ると、海洋土木大手の五洋建設(東京)の大きな工場が海べりに姿を現す。約1年前に稼働したばかりで、建屋内には大型の機械やクレーンが陣取る。

同社は北九州のプロジェクトで風車の基礎建設工事を受注。発電施設向けの架台の一部を室蘭で造る。大下哲則・土木部門洋上風力事業本部長は「道内や東北の需要も取り込み、数百億円規模の受注を目指す」と語る。

洋上風力の本場・欧州では近年、域内供給網が充実してきた。日本は産業基盤が発展途上で、昨年には中国企業が日本の洋上風力の風車を初めて受注。エネルギー開発のグリーンパワーインベストメント(東京)の幸村展人副社長は「コスト低減と普及へ、国内供給網が必要だ」と指摘する。

室蘭では、大成建設(同)が浮体式洋上風力の研究拠点を構える。清水建設(同)は、基礎工事から風車設置までを洋上で行う「SEP船」の母港とした。同社幹部は「電炉で鋼製部材の再利用ができる日本製鋼所の存在も、室蘭を選んだ大きな理由」と明かす。

2020年1月には、産業集積を官民で目指す「室蘭洋上風力関連事業推進協議会」が発足。成田一人事務局長は「洋上風力は地域の活力を生む契機になる。電力会社などにも加わってもらえるよう活動し、道内の機運を盛り上げたい」と話す。当初7社・団体だった加盟数は、今年9月に100社・団体を超えた。

道内では、岩田地崎建設(札幌)もSEP船の保有に乗り出す。道外企業と共同で会社をつくり、25年9月に運用を始める計画だ。

ただ、道内の産業集積には、部材を管理する基地港湾の確保に加え、運転や保守を担える人材育成など必要な対応は多い。北九州市は風車の製造から建設、保守まで担う総合拠点整備に着手済みで、秋田県も供給網づくりで先行している。

洋上風力の具体化へ、国や道は11月以降、5カ所の有望区域で順次、法定協をつくり、利害関係者で議論する。「有望区域内にスケソウダラの産卵場があり、漁獲量に影響しかねない」(漁業団体)、「風車の低周波による健康被害が心配」(学者団体)といった懸念への対応が焦点となる。

他方、国の後押しを期待し、「30年ごろには相次いで商用運転が始まる」(業界関係者)との見方も根強い。洋上風力の本格化を前提に、札幌市や道、金融庁、道内地銀など計21機関は6月、共同事業体「チーム札幌・北海道」を設立。25年をめどに金融機能を強化し、今後10年間で最大40兆円程度の資金を道内に呼び込むことを目標に掲げる。

札幌市は、政府が海外投資家の日本進出を促すため創設する「資産運用特区」にも申請する方針だ。11月には、共同事業体として国際環境金融の先進地ルクセンブルクなどを視察する。

秋元克広市長は26日の記者会見で「北海道にとってGX(グリーントランスフォーメーション)を進めること、スピードを上げることが重要だ」と強調。国際金融センターとしての成長を急ぐ大阪や福岡などとの差異化が今後の課題だ。

再生可能エネルギーの一段の普及を見据え、道内と本州との海底送電線の増設計画も進む。東大大学院の石原孟教授(風工学)は「雇用拡大に加え、宿泊業や飲食業への波及効果も大きい。産業を支える仕組みをつくるべきだ」と提言する。(三坂郁夫、山岸章利)

道内の洋上風力発電を巡る動き 国は道内での40年までの洋上風力の導入目標を最大1465万キロワットとする。12月には石狩湾新港で道内初の商用運転が始まる予定。国は今春、石狩市沖、岩宇・南後志地区沖、島牧沖、檜山沖、松前沖の5区域を「有望区域」に選んだ。法定協を経て「促進区域」になれば、公選事業者が最長30年発電できる。

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洋上風力発電と漁業 海外の経験#62 韓国 洋上風力発電がレーダー電波を妨害 軍が反対

2023-10-26 02:27:14 | 日記

2023年10月26日

北海道機船漁業協同組合連合会内 一般社団法人北洋開発協会 原口聖二

[洋上風力発電と漁業 海外の経験#62 韓国 洋上風力発電がレーダー電波を妨害 軍が反対]

日本での先行する欧米の洋上風力発電の漁業分野との共栄、相乗効果等の成功体験は、ほとんどが開発事業者による切り抜き発信で、実際に漁業分野の情報にアクセスしていくと様々な問題が報告されている。

世界中の漁業者は共通に、洋上風力発電プロジェクトについて、自らが知らない間に選定地が決まって唐突に説明会が始まり、漁業当局に十分なヒアリングを行うことなく、他の部局が主導する地方自治体の前傾姿勢による拙速な取り組みが行われ、事業開発者から漁業分野の科学的知見を理解しようとしない姿勢を感じていると指摘している。

韓国朝鮮日報は、同国全土で推進されている洋上風力発電事業が最近、国防部との摩擦で遅れていると伝えた。

発電事業許可を取得後、国防部の軍による作戦性検討を受けたが、大半でレーダー電波が遮られるなど軍の作戦遂行に問題が生じることが判明したためだ。

無秩序な発電事業許可の発給で国家安全保障が脅かされる状況だとの懸念が示されている。

国民の力の韓茂景(ハン・ムギョン)国会議員によると、国防部はこれまでに発電事業許可を受けた16カ所の洋上風力発電事業を検討した結果、3カ所は事業推進に同意せず、残りの13カ所については条件付きで同意した。

このうち2020年に文在寅(ムン・ジェイン)政権主導で進められた保寧洋上風力発電団地は国防部との協議なしに推進されたことが分かった。

忠清南道保寧市が韓国中部発電と共同で25年までに計6兆ウォン(約6600億円)を投入し、風力発電機125基を設置する内容だ。

計画発表してから1年後の21年、国防部はようやく協議検討文書を受け取った。

国防部は洋上風力発電施設が建設されれば、レーダーの電波が遮られるなど軍の作戦遂行に困難が予想されるため、発電機の位置を再検討する必要があると主張している。

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洋上風力発電と漁業 日本の経験#46 三菱商事が電撃退会 「日本風力発電協会」の疑惑

2023-10-21 22:43:00 | 日記

2023年10月20日

東洋経済オンライン(東洋経済 記者大塚 隆史様)から転載

 

三菱商事が電撃退会 「日本風力発電協会」の疑惑

 

日本風力発電協会は洋上風力の普及拡大に向けて、政策提言やイベントなどを行ってきた。

秋本真利衆議院議員の汚職事件により、洋上風力発電を巡る混乱は収まる気配を見せない。

贈賄の疑いがある日本風力開発のみにとどまらず、業界団体である日本風力発電協会(JWPA)も秋本議員による国会質問への関与が疑われている。

さらに、洋上風力の代表的企業である三菱商事が同協会を退会していたことが東洋経済の取材でわかった。業界団体に対する不信の声はほかの会員企業の間でも高まっている。JWPAのガバナンスが健全に機能しているかが問われている。

なぜ業界団体であるJWPAが行政指導を受けたのか?

経済産業省資源エネルギー庁は2023年10月17日、日本風力開発とJWPAに対して行政指導を行ったと発表した。

背景にあるのが、洋上風力を巡る秋本議員の汚職事件だ。秋本議員が自社に有利な国会質問を行う見返りとして、日本風力開発の塚脇正幸前社長から秋本議員に数千万円もの資金供与が行われたとされる。秋本議員は9月27日に受託収賄罪で東京地裁に起訴された。

また行政指導の翌18日、日本風力開発はJWPAからの退会を公表。同時に加藤仁代表理事(日本風力開発副会長)、祓川(はらいかわ)清副代表理事(日本風力開発グループのイオスエンジニアリング&サービスの最高顧問)、松島聡政策部会長(日本風力開発社長)がJWPAの役職から退任したと発表した。

これまで贈賄が取り沙汰されてきた日本風力開発だけでなく、業界団体であるJWPAが行政指導を受けたことには大きな意味がある。

JWPAは風力発電の業界団体で、メーカーや発電事業者をはじめ500社を超える企業などが加盟。洋上風力の普及拡大に向けて政策提言などを行ってきた。ただ、「日本風力開発の色が強い」(複数の業界関係者)ことから、一部の事業者の利益を優先しているのではないかとの懸念がつきまとっていた。

協会が国会質問の事前調整や原案・資料を作成?

10月18日に加藤仁代表理事が退任するなど、協会は運営体制を大きく見直した(写真:編集部)

今回、エネ庁が問題視したのは、まさしくJWPAの「意思決定及び活動の在り方について」だった。

贈収賄事件の大きな転換点となったのは、国内初となる大型洋上風力の事業者公募結果の公表だった。2021年12月末に三菱商事などの企業連合が秋田県、千葉県の3海域を総取りし業界に激震が走った。この「三菱ショック」で洋上風力への事業参入の目論見が打ち砕かれた企業の一つが日本風力開発だった。

この直後から「入札ルール自体を見直すべきだ」との論が一部の事業者の間で大きくなっていった。そして、2022年2月17日の衆院予算委員会で、秋本議員は「評価の仕方を見直していただきたい」などと萩生田光一経産相(当時)に繰り返し迫った。

朝日新聞などの報道によると、日本風力開発はJWPAを介して秋本議員に対して国会質問の事前調整や、原案・資料の作成を行っていたとされる。東洋経済はJWPAに対して、「秋本議員や他議員の国会質問で質問原案や資料を作成し、提供したことはないのか」と質問したが、協会は「説明を控える」との回答だった。

また、JWPAは2022年2月に洋上風力の入札ルール見直しを求める政策提言を発表。その後、会員企業の間で意見が割れた「落札制限」について賛同を表明するなど、協会の意見集約が適切に行われていないと指摘する声が強まった(詳細は「東洋経済オンライン」の右記事参照:議員へ贈賄疑い、「日本風力開発」政財界での影響力)。

東洋経済は、JWPAの主な会員企業に対して質問状を送付。「秋本議員の贈収賄事件についてJWPAが説明責任を果たしているのか」「意見集約が適切に行われているのか」などを質問した。10月16日までに複数の企業から回答を得た。

贈収賄事件に関する説明が十分だったかについて、再エネ大手のレノバは「回答を差し控える」とした

一方、三菱商事は「一連の報道が与えた印象を払拭するに足る説明は(JWPAから)なされていない」と答えた。

また、エネ庁による行政指導の1週間前に当たる10月10日、三菱商事がJWPAから退会したことが関係者への取材で判明した。同社に退会理由を聞いたところ、「JWPAの活動方針について、当社と意見の食い違いがあるため」と説明している。

エネ庁「行政指導」を受けて運営体制を見直し

三菱商事がJWPAから退会した余波は今後、業界に広がりそうだ。

JWPAは加藤代表理事(日本風力開発出身)の退任により、副代表理事だった山田正人氏(風力タービンメーカーであるMHIベスタスジャパンの社長)が代表理事代行に就任した。

エネ庁から「第三者の関与の下での検証等」を求められたJWPAは、10月中に外部専門家が参画した「協会のあるべき姿検討会(仮称)」を立ち上げ、同検討会での議論について年内をメドにまとめる方針だ。

ただ、JWPAの不透明な「活動の在り方」に対する不満の声はほかの会員企業からも上がっている。ある大手企業幹部は、「(JWPAとは別に)業界団体を立ち上げる話が持ち上がったほどだ」と話す。三菱商事のように、今後、JWPAから退会する企業が出てきてもおかしくはない状況だ。

JWPAは組織が空中分解する瀬戸際にあることを自覚し、本当に一から出直すことができるのか。結果が出るのはそう遠くない。

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洋上風力発電と漁業 日本の経験#45 経産省 業界団体の「日本風力発電協会」に対しても行政指導

2023-10-17 02:01:17 | 日記

2023年10月17日

北海道機船漁業協同組合連合会内 一般社団法人北洋開発協会 原口聖二

[経産省 業界団体の「日本風力発電協会」に対しても行政指導]

 洋上風力発電をめぐって、秋本真利衆議院議員が受託収賄の罪で起訴された事件の贈賄側が社長を務めていた東京の風力発電会社に対し、経済産業省は、法令順守に向けた体制などについて第三者による検証を行うよう求める行政指導を行ったと2023年10月17日、NHKが報じた。

行政指導を受けたのは、東京の風力発電会社「日本風力開発」。
東京地検特捜部は、洋上風力発電事業への参入を目指していた「日本風力開発」側から秋本議員に対し、会社が有利になるような国会質問をするよう依頼し、その見返りに資金提供などを行ったとして塚脇正幸元社長を贈賄の罪で在宅起訴している。
秋本議員も受託収賄の罪で起訴されている。
経済産業省によると、この会社が発電事業を行う複数の自治体から、土地の確保を適切に行っているかなど懸念が寄せられたということで、同17日付けで法令順守に向けた社内体制などについて第三者による検証を行い、報告するよう求める行政指導を行ったとしている。
また、業界団体の「日本風力発電協会」に対しても協会内部での意思決定のあり方などについて、同様の検証を求める行政指導を行ったとしている。

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洋上風力発電と漁業 海外の経験#61 欧州 事業者も投資家も頭を抱える洋上風力事業

2023-10-13 15:42:03 | 日記

 

2023年10月13日

北海道機船漁業協同組合連合会内 一般社団法人北洋開発協会 原口聖二

[洋上風力発電と漁業 海外の経験#61 欧州 事業者も投資家も頭を抱える洋上風力事業]

日本での先行する欧米の洋上風力発電の漁業分野との共栄、相乗効果等の成功体験は、ほとんどが開発事業者による切り抜き発信で、実際に漁業分野の情報にアクセスしていくと様々な問題が報告されている。

世界中の漁業者は共通に、洋上風力発電プロジェクトについて、自らが知らない間に選定地が決まって唐突に説明会が始まり、漁業当局に十分なヒアリングを行うことなく、他の部局が主導する地方自治体の前傾姿勢による拙速な取り組みが行われ、事業開発者から漁業分野の科学的知見を理解しようとしない姿勢を感じていると指摘している。

国際環境経済研究所(所長:山本隆三様)はサイト上で“EPレポート”2023年9月21日号より転載とした上で、欧州での洋上風力事業会社の株価急落による当事者、投資家が苦境に立たされている現状、メディアの報道と実態の乖離を指摘している。

日本では洋上風力事業を巡る疑惑が業界を揺るがしている。

一部メディアは相変わらず洋上風力を再エネの切り札と報じているが、欧州では風力設備製造や洋上風力事業会社の株価が急落し、投資家は頭を抱えている。

ドイツのシーメンスとスペインのガメサの合弁の風力設備製造企業は、昨年シーメンスエナジーの子会社となった。

今年6月シーメンスが設備の品質管理が原因の損失を発表したことから、シーメンスエナジーの株価は一日で37%下落した。

株価は依然低迷したままだ。

世界一の洋上風力事業者デンマーク・オーステッドは、8月10日に今年前半の洋上風力事業からの収益が前年同期比57%増加したと発表したが、8月29日米国東海岸で進めている事業から5億クローネ(約105億円)、さらに米税制上の問題から最大6億クローネの損失が発生する可能性を発表した。

株価は一日で25%下落した。

21年年初に1000クローネを超えていた株価は、今300クローネ台になってしまった。

欧米の洋上風力事業が難しくなっているのは、厳しい競争を勝ち抜き事業に漕ぎつけても、工事費、設備費、金利の上昇に耐えられないレベルの収益しか見込めないからだ。

スウェーデン・バッテンフォールは英国沖事業の凍結を発表し、米国では洋上風力事業を進めているBP、EDF(仏電力)など欧州の大手エネルギー企業8社が、事業からの撤退、あるいは条件の再交渉に追い込まれている。

石油メジャーの化石燃料事業の投資収益率は少なくとも15%と言われているが、シェルのCEO(最高経営責任者)は洋上風力の初期の収益率の目標を6%から8%としている。

洋上風力事業に伴うリスクを考慮すると、決して高い利益率ではない。

そんな利益率でも事業を進めざるを得ないほど競争環境は厳しいのだろう。

だからと言って、事業を通し社会に貢献するという目的を忘れ、政治家に資金を提供し売電価格の上乗せを狙うのでは、やがて消えていく企業になる。

 

報告担当者 原口聖二:デンマーク政府はオーステッド社の売り込みのため、盛んに日本市場へのプロモーションを展開している。以下、2023年10月10日付 北海道新聞様から転載。

“洋上風力「北海道に将来性」 デンマーク高官、技術協力に意欲”

洋上風力など再生可能エネルギーの拡大に取り組む環境先進国デンマークのスティ・ウフェ・ピーダーセン・エネルギー庁副長官は10日、札幌市内で北海道新聞のインタビューに答えた。

北海道との技術協力に意欲を示すとともに、関連技術を持つデンマーク企業の投資先として「興味深い地域だ」との認識を示した。一問一答は以下の通り。

(畠中直樹様撮影)

―来道の目的は。

「世界的な脱炭素化に向けわが国はすでに20以上の国々と連携しており、日本はその一つ。今回は政府間の連携強化が目的ですが、将来性を感じる北海道を訪れる機会をつくりました」

―洋上風力発電関連の技術供与や製品の輸出先として有望ということですね。

「北海道は投資先としても非常に興味深い地域です。デンマークに似て風が強く、人口規模や電力需要の大きさも近い。わが国はドイツなどの大消費地に電力を供給していますが、北海道なら東京などへ売電することができます。道内の電力料金も下がるでしょう。洋上風力発電は非常に大きなビジネスです。地元の消費者や産業界がより大きな恩恵を受けるために、われわれがサポートできることはあるはずです」

―デンマークの再生可能エネルギー拡大とCO2排出削減の現状は。

「CO2排出量を1990年比で2030年までに70%削減、45年までに100%削減してカーボンニュートラルを実現する目標を掲げています。電源構成比率で風力と太陽光はすでに計約6割に達しており、天然ガスも今後7~8年で、すべてバイオガスへ転換される見通しです」

―天候に左右される再生可能エネルギーの構成比率を高めることに不安は。

「わが国が長年取り組んできた領域です。まずは再生可能エネルギーの容量を十分に確保し、その上で揚水発電やバイオガス火力発電、他地域との送受電などでバックアップします。余剰電力を熱供給に回すなど、他分野との統合も重要。北海道であれば水素を生産して貯蔵することも考えられます。再生可能エネルギー供給が『変動する』という現実に立ち向かう方法は、たくさんあります」

―ベース電源として原子力発電は不要ですか。

「デンマークは1985年に、国会で原発の永久放棄を決議しました。脱炭素社会に向けたGX(グリーントランスフォーメーション)の目標は幅広い国会議員の賛同を得ており、政権交代してもぶれることはありません。産業界は安心して投資を続け、今ではわが国の輸出に占める脱炭素などグリーン技術関連の割合は10%を超えています」

(聞き手・鈴木徹様)

オーステッドは、デンマーク・フレゼリシアに本拠を置く電力会社。風力発電を中心に世界10カ国以上で事業を展開している。ナスダック・コペンハーゲン上場企業。

 

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