洋上風力発電と漁業 海外と日本の経験

Offshore wind farms and fisheries
”洋上風力発電と民主主義”

洋上風力発電と漁業 日本の経験#10 洋上風力発電設備 EEZにも拡大 政府検討 法整備へ

2023-01-30 00:04:20 | 日記

2023年01月29日 北海道新聞様から転載

[洋上風力発電設備、EEZにも拡大 政府検討、法整備へ]

 政府が再生エネルギーの活用を図るため、洋上風力発電設備を排他的経済水域(EEZ)にも設置できるよう法整備を進めることが29日、分かった。領土、領海内にとどまっている風力発電を拡大。2050年の脱炭素社会の実現を目指すと同時に、エネルギー危機を受け、自国で生産できる電源の選択肢を増やす狙いがある。関係者が明らかにした。
 世界有数の広大な海域を背景に、洋上風力発電を充実させる。ロシアのウクライナ侵攻の影響による電力価格高騰などで、エネルギー確保は大きな課題だ。
 早急な法整備を目指すが、実際の稼働には10年以上かかるとの見方もある。政府内では新法制定のほか、再エネ海域利用法を改正するなどの案もあり、内閣府担当者は「検討中だ」としている。
 海の権利や利用などを定めた国連海洋法条約は、EEZ内で他国に航行の自由を保障する一方、沿岸国にエネルギー生産などの「主権的権利」があると規定している。
 政府は昨年、EEZ内の洋上風力発電の実施に向け、国連海洋法条約との整合性を中心に、国際法上の課題を話し合う検討会を立ち上げ、有識者らと議論を進めていた。この結果、国内法を整備すれば、EEZ内での洋上風力設備の設置は可能だと判断した。
 領海内は再エネ海域利用法により国が洋上風力の促進区域を設け、順次設置へ向けた準備が進められている。民間企業や関係団体からEEZまで設置海域を広げるよう要望が上がっていた。
 洋上風力は再生可能エネルギー普及の「切り札」と位置付けられ、政府は40年に3千万~4500万キロワット(原発約45基に相当)の導入目標を掲げる。この目標値とは別に、風車を海に浮かべる浮体式に限った洋上風力の設置目標値も今後設定し、導入を図る方針だ。

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洋上風力発電と漁業 日本の経験#9 室蘭・祝津の洋上風力拠点、23年度着手 大成建設 24年度に風車土台製造へ

2023-01-28 19:29:31 | 日記

 

2023年01月28日 北海道新聞様から転載

[室蘭・祝津の洋上風力拠点、23年度着手 大成建設 24年度に風車土台製造へ]

 大手ゼネコンの大成建設(東京)が室蘭市の祝津埠頭(ふとう)で検討している浮体式洋上風力発電部材の研究開発拠点整備の概要やスケジュールが27日、分かった。2023年度から整備を開始し、24年度からは、海上に浮かべて風車を載せるコンクリート製の土台(浮体)の部材の製造を始める計画だ。
 同社は巨大な浮体を製造して海に設置する事業を、主要事業に成長させたい考え。浮体は立方体で、大型のものだと1辺が100メートル、重さ1万トンにもなる。事業成長には浮体を効率的に生産し、組み立てる技術が欠かせないため、そうした技術を室蘭で研究開発する。24年度中に埠頭に簡易的な建屋を設ける予定だ。
 同社は昨年12月、欧州の洋上風力部材製造大手と、コンクリート製浮体基礎の共同施工に関する覚書を締結した。浮体は海に浮かべてチェーンといかりで固定する。施工技術についても、室蘭で試験することを検討しており、生産と施工の両面の効率化に向け、体制を整える。
 港湾管理者の室蘭市は昨年4月、同社に祝津地区の港湾用地5万8675平方メートルの使用許可を出した。現在、海に面した用地にある石炭の輸送中継基地「コールセンター」は今年6月にも事業を終える。その分も取り込み、事業用地をさらに拡大する。大成建設はフェンスなどの既存設備を撤去し、大型の部材を海に運びやすくする予定だ。
 同社は21~23年度の中期経営計画で、再エネ事業全体の技術開発投資額を420億円とする。21年11月の計画発表時に見込んでいた新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の基金(最大100億円)は不採択だったが、自社で資金を投資し、プロジェクトを進める。
 同社洋上風力発電プロジェクト部の中村広規部長は「不採択でも方針は変わらない。今のままで広さや、地盤耐久力が足り得るかという課題もあるが、室蘭で商用化(製造拠点化)まで持って行きたい」とし、道内外の周辺海域の風力発電の事業動向を注視している。(山岸章利)

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洋上風力発電と漁業 日本の経験#8 室蘭市 洋上風力発電の経済効果や漁業との共存を考えるフォーラムのパネル討論

2023-01-28 11:16:32 | 日記

2022年02月15日  北海道新聞様から転載

[洋上風力の可能性と課題は 室蘭でフォーラム・パネル討論詳細]

 洋上風力発電施設(風車)を沖合に誘致して関連産業の集積を進めようという動きがある室蘭市で1月26日、洋上風力による地域活性化を考える「室蘭洋上風力フォーラム2023」が室蘭市市民会館で開かれた。誘致を巡っては、海域に漁業権をもつ漁業者も参加する市主催の勉強会が始まっている。室蘭洋上風力関連事業推進協議会(MOPA)が主催して、室蘭の将来性や漁業との共生について大手ゼネコン、発電事業者らの幹部5人が語ったフォーラムのパネル討論の主な発言を紹介する。(山岸章利)
 ―室蘭は関連部材の維持管理、開発・研究の拠点となれるのか。
 五洋建設・大下「製造業が盛んで室蘭だけでサプライチェーン(供給網)が成り立つ可能性があることはメリット。(五洋建設の)自社工場は部材組み立ての拠点になる崎守埠頭(ふとう)に近接しており、将来、(洋上で風車を組み立てる同社の)SEP船3隻が室蘭港で部材を積み込むことを想定している」
 ―懸念されることは。
 大成建設・中村「風況の良い北海道沖では多くの(洋上風力発電の)開発案件が予想され、複数で室蘭が拠点となる可能性が高い。(部材を維持管理する国指定の)基地港湾になることを目指している崎守埠頭だけでは面積が不足し、(大成建設が開発拠点を置く予定の)祝津埠頭を合わせても足りなくなる心配がある」
 ―室蘭沖に風車を誘致することで、部材の開発や維持管理だけでなく、メンテナンスも含めた幅広い産業集積につなげようという動きがある。注意点は。
 レノバ・吉田「ポテンシャル(潜在能力)だけでいえば、室蘭沖は大規模発電を行ううえで理想的な海域だが、風車が独占的に海域を利用するようなら大きな反発を受けて誘致は実現しない。漁業者に理解してもらい、合意を得ることが最重要だ。商業運転している秋田県沖などでも長い時間をかけて話し合った。時間はかかるが、海の先行利用者(漁業者)を最優先することだ」
 ―漁業者を含めた地元の理解をどのように図るのか。
 室蘭市・佐々木「洋上風力に不安を持っている人の声も発信していく。市は昨年から、漁業者と発電事業者らによる勉強会を主催している。まずは風車が建つことの(漁業資源への)影響などを共有したい」
 コスモエコパワー・真鍋「風車が建つ前と後の調査を徹底し、建設による影響を住民に説明する。海域が異なっても類似する数値があるため、全国のデータを集めて影響を見えるようにすることも不安解消につながる」(敬称略)

フォーラムにはオンラインを含めて660人が参加した。

パネル討論登壇者
(50音順)
▽五洋建設 大下哲則専務執行役員
▽室蘭市産業振興課 佐々木殉一課長
▽大成建設 中村広規洋上風力発電プロジェクト部長
▽コスモエコパワー 真鍋修一常務取締役
▽レノバ 吉田昌弘エンジニアリング本部長
※進行役は自然エネルギー財団の大林ミカ事業局長

 

2022年01月26日  北海道新聞様から転載

[洋上風力発電の経済効果や漁業との共存を考えるフォーラムのパネル討論]

 「洋上風力フォーラム2023」が26日、室蘭市民会館(輪西町)で開かれた。オンラインを含め企業関係者や市民ら660人が講演やパネル討論を聴講。洋上風力発電の拠点化が進む室蘭の可能性や、室蘭沖で風車を設置する際に課題となる漁業との共存について考えた。
 「室蘭洋上風力関連事業推進協議会(MOPA)」の主催。フォーラム前半は、風車の建設が進む長崎県五島市で海洋調査や漁場形成などを手がける渋谷潜水工業(神奈川)の渋谷正信社長ら3人が基調講演。風車設置を巡っては漁業への悪影響も懸念されるなか、渋谷氏は風車の基部を魚礁にしている五島市沖の例を挙げながら「(風車の設置へ向けては)海や地域を豊かにする仕組みづくりが重要になる」と語った。
 フォーラム後半は国内外で洋上風力にかかわる企業・団体などの10人が2部に分かれてパネル討論した。
 沖合に風車を設置する構想を踏まえて室蘭の拠点化の将来性について語る討論では、発電事業者「コスモエコパワー」(東京)の真鍋修一常務取締役が「室蘭が持つ産業、港湾、風況の良さなどの要素を生かせば世界の先進地になり得る」としたうえで、気象データを収集・分析することによって風車は地域漁業にも貢献できると述べた。
 室蘭港の祝津埠頭(ふとう)に浮体式洋上風力部材の開発拠点を置く計画の大手ゼネコン大成建設(同)の中村広規・洋上風力発電プロジェクト部長は「室蘭港が(洋上風力部材の維持管理を行う国指定の)基地港湾になれば、風車の建設からメンテナンスまで長期的に活用される拠点となり、大量の物流が見込まれる」と評価した。(渡辺愛梨)

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洋上風力発電と漁業 日本の経験#7 佐賀・唐津沖で5事業者目 平戸含む計画は廃止 

2023-01-21 14:48:29 | 日記

 

2023年01月21日 長崎新聞様から転載

[洋上風力発電事業計画 佐賀・唐津沖で5事業者目 平戸含む計画は廃止]

再生可能エネルギー事業を展開するINFLUX(東京)の子会社、唐津玄海洋上風力発電合同会社(佐賀県唐津市)は、同市沖で洋上風力発電事業を計画している。INFLUXの別の子会社が当初、長崎県平戸市的山大島から唐津市馬渡島にかけた海域で計画していた事業は昨年9月に廃止。佐賀県が誘致候補としている唐津市沖にエリアを絞り、あらためて計画した。

長崎県環境影響評価審査会は20日、同社から長崎県などに提出された「計画段階環境配慮書」について審議した。県によると、同海域での計画は5事業者目。

計画によると、想定海域は唐津市と玄海町の沿岸海域の約1万4300ヘクタール。総出力は最大約60万キロワット。風車1基当たり9500~2万キロワットで最大64基設置する。風車の基礎部分を海底に固定する「着床式」を想定している。

審査会では、事業者側が計画概要の他、騒音や生息する生物への影響予測などを説明。海域での風車設置を巡っては、平戸市の漁協などが漁業に影響があるとして反対している。長崎県からは、想定海域で本県漁業者がさまざまな魚種を多様な漁法で漁獲しているとし、「漁業関係者などへの丁寧な説明」を求める意見などが上がった。

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洋上風力発電と漁業 海外の経験#11 米国 続いたクジラの死 プロジェクト停止の声が高まる

2023-01-16 17:16:55 | 日記

 

2023年01月16日

北海道機船漁業協同組合連合会内 一般社団法人北洋開発協会 原口聖二

[洋上風力発電と漁業 海外の経験#11 米国 続いたクジラの死 プロジェクト停止の声が高まる]

米国北東部沿岸に、この2ケ月たらずで7頭の死んだクジラが打ち上げられていることから、洋上風力発電プロジェクトを停止するよう求める声が高まっている。

“FOX News”(原口聖二:同メディアは共和党寄りとされている)が伝えた。

国会議員、漁業者、そして、海洋活動家は、ニュージャージー州とニューヨーク州の海岸線に沿って最近死んだクジラが相次いで漂着、洋上風力発電プロジェクトの影響調査を求めている。

漁業関係者は、クジラが打ち上げられたのが、洋上風力発電所が原因だと断言することはできないが、言えることは、この2ケ月たらずの間に、ニュージャージー州に打ち上げられた7 頭のクジラはすべて、ニュージャージー沖の風力発電所の地質作業が最も強まっている期間だと指摘した。

ニュージャージー州選出上院議員ビンス・ポリスティナ(共和党)は、クジラの死因を特定できるまで、洋上風力開発に関連するすべての作業を一時停止する必要があると語り、7頭のクジラの死が単なる偶然であるとは信じがたいと加えた。

米国海洋大気庁(NOAA)は、これまでのところ、ニュージャージー州とニューヨーク州での最近のクジラの死のほとんどを占めている種はザトウクジラだが、洋上風力発電開発作業の影響かは判明していないとしている。

しかし、この沿岸沖合における数少ない変化は、洋上風力発電所開発のための調査活動で、爆撃のような音で海底を叩いており、激しい音がクジラの鼓膜に出血を引き起こし、耳に損傷を与える可能性があることが知られており、浅瀬への座礁の可能性が指摘されている。

下院議員ジェフ・ヴァン・ドリュー(共和党)も、洋上風力発電所を建設するための調査作業が海洋生物に害を及ぼしているかどうかを判断するための調査を求めており、これが実施されるまですべての洋上風力発電開発にかかる活動の停止を2023年1月13日、関係機関に要求したことを明らかにした。

 

 

 

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