洋上風力発電と漁業 海外と日本の経験

Offshore wind farms and fisheries
”洋上風力発電と民主主義”

洋上風力発電と漁業 海外の経験#8  米国東部選出上下院議員 漁業補償国家基金設置に取り組む “影響を証明するのは漁業者任せになる”

2022-12-23 10:31:45 | 日記

 

2022年12月23日

北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二  “影響を証明するのは漁業者任せになる”

[洋上風力発電と漁業 海外の経験#8  米国東部選出上下院議員 漁業補償国家基金設置に取り組む]

“影響を証明するのは漁業者任せになる”

米国上院議員エドワード・マーキー(マサチューセッツ州)と下院議員セス・モールトン(同州)は、洋上風力発電開発に伴う漁業損失を補償するための国家基金の設置に取り組んでいる。

両議員は、法案の用意について、資金の根拠、公平な配分システムを保証するとしている。

東部沿岸地域の漁業者からの洋上風力発電プロジェクトへの反対意見は日に日に高まっている。

両議員は、2022年12月21日、漁業分野が被る潜在的な経済的損失を補償するための国家基金を設立する計画を発表した。

現在、洋上風力発電事業者による潜在的な漁業者への損害について、補償を満たす国家的枠組みは存在していない。

歴史的な漁場の喪失、水棲生物資源の生息地の劣化、風力発電事業者にリースされた区域での新しい漁業制限等、漁業分野に深刻な経済的ダメージをもたらす可能性がある。

一部の洋上風力発電事業者は、独自の監視パネルを備えた資金用意の準備をしているが、多くの事業者はまだ補償プランを確立していない。

漁業者団体は、このアプローチを批判しており、洋上風力発電の影響を証明するのが漁業者任せで、政府が明確な要件を示さないため、洋上風力発電業界が補償交渉で優位に立つことになると指摘している。

両議員は、立法提案について、現在の州ごと、またはプロジェクトごとの漁業補償戦略に反対するものであり、合理化された国家の対応が必要だと言及、漁業への影響緩和と補償プログラムをできるだけ早く確立することを提唱していくと加えた。

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洋上風力発電と漁業 日本の経験#5 山形県遊佐町沖 漁業影響の調査方針まとまる

2022-12-21 11:40:21 | 日記

2022年12月21日 NHK山形様から転載

[洋上風力発電 山形県遊佐町沖 漁業影響の調査方針まとまる]

山形県遊佐町沖で導入が検討されている洋上風力発電について、国や県、それに漁業者などでつくる協議会は、事業者が実施する漁業への影響の調査などの方針をまとめた。

国が脱炭素社会の実現に向けて導入拡大を目指す洋上風力発電について、遊佐町沖が「有望な区域」に指定されていて、国や県、漁業者などでつくる協議会で検討を進めている。

19日開かれた会議では、事業者を選定する基準のひとつとなっている漁業への影響の調査などの方針が示された。

それによると、風車を建設する事業者は水産生物の変化や工事による漁業への影響などの調査を実施し、期間は着工の2年前から運転を開始した3年後までを目安にする。

また、地元の漁業への振興策も示され、風車の設置に対応した新たな漁業方法の導入や、サケのふ化事業を継続するための取り組みなどが盛り込まれた。

出席者からは「サケの回遊ルートや稚魚への影響がないように、風車の位置や距離の調査をしてほしい」とか「住民生活への影響を最小限にする努力をしてほしい」といった意見が出された。

資源エネルギー庁新エネルギー課風力政策室の小林寛室長補佐は「地元の思いが反映されたとりまとめを作っていくために、しっかりと議論していきたい」と話した。

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洋上風力発電と漁業 日本の経験#4 魚への科学的な影響を知る余地がない

2022-12-20 12:10:15 | 日記

2022年12月20日 読売新聞様から転載

[漁業や健康影響「不安」 対話、情報提供が重要]

2022年9月27日、法定協議会で洋上風力と地域との共生策などが秋田市のホテルで話し合われた。
「基準変更で、基金規模に約30億円もの差が生じた。この不均衡について国はどう捉えているのか」。9月下旬、洋上風力発電の事業者に選ばれた三菱商事グループや漁業、行政関係者が集った法定協議会で、由利本荘市の湊貴信市長がこう訴えた。

事業者が拠出する基金は、漁業者や自治体など地域との共生策に充てられる。「由利本荘市沖」「能代市・三種町・男鹿市沖」の両沖の基金額は、20年間の売電収入見込み額の0・5%が目安。つまり、売電価格に左右される。

三菱グループの示した売電価格は1キロ・ワット時あたり11・99~13・26円。政府の設定した上限価格の29円を大幅に下回った。県漁協の加賀谷弘組合長(68)は「事前に組合員へ説明した基金額からほぼ半減となった」と語る。

国は共生策の規模が事前にわかるように、基金額の目安を売電価格ではなく、出力規模で決まる算出方法に変更した。今後事業者が決まる「八峰町・能代市沖」「男鹿市・潟上市・秋田市沖」から適用される。

ただ、新ルールで基金額を計算すると、由利本荘市沖は約63億円、能代市・三種町・男鹿市沖で約37億円で現在の約2倍にあたる。経済産業省の担当者は「制度は日々改善される部分がある。(基金拠出も)公募要綱の一つとして入札にかけた経緯があり、事業者決定後に変更できない」と話す。

法定協議会では、漁獲に与える影響を心配する声も上がった。県北の漁業者は「魚への科学的な影響を知る余地がない。どう変わるのかが心配で、寝られないという人もいる」と不安を口にする。

公益財団法人「海洋生物環境研究所」(東京)の三浦雅大・主幹研究員によると、欧州では洋上風車の建設中、工事海域でニシンやサバなどが半分程度に減った事例があった。くいを海底に打ち込む音が原因とみられ、工事終了後は元に戻ったという。一方、岩に付着する貝、岩場に生息するカニやエビ、岩場を好む魚などは風車の基礎部にすみ着く効果が確認された。

三浦研究員は「日本とヨーロッパではすむ魚や漁業が異なる。洋上風力建設の前後で変化を調べるモニタリング調査を行うのが現実的で、事業の区域内と区域外で同様の調査を行い、自然変動と事業の影響を区別する必要もある」と指摘する。

三菱グループは22日、由利本荘市沖の漁業への影響の調査方法を漁師らと話し合う検討委員会を開く。調べる魚種や海域、調査の頻度などに関する計画を、来年度の法定協議会で報告する予定だ。

風車の発する低周波や騒音による影響を訴える人たちもいる。由利本荘市の道川誠二さん(69)は「自宅近くの陸上風車からグゥーンという低周波音が感じられ、眠れなくなった」と語る。洋上風力発電事業に反対する複数の県内団体は、健康への影響や洋上風車の安全性などへの懸念から、計画中止などを求めている。

名古屋大の本巣芽美特任准教授(環境社会学)は「秋田ほど大規模な洋上風車は国内になく、どんな影響があるのか不安は大きい」と指摘。その上で、「洋上風車に関する科学的な知識を提供する勉強会が必要。事業者が行うと『良い情報しか言わないのでは』と捉える人もいるので、中立的な大学などが担うのが良い。対話や情報提供を続けていくことが重要になる」と話している。

(この連載は田辺研吾様が担当しました)

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洋上風力発電と漁業 日本の経験#3 漁業への影響調査報告 佐賀・唐津市沖計画

2022-12-20 12:03:11 | 日記

2022年12月19日 RKB毎日放送様から転載

[洋上風力発電“漁業と共生・協調を”~漁業への影響調査報告 佐賀・唐津市沖で計画]

佐賀県は、唐津市沖で計画されている洋上風力発電事業について、漁業への影響に関する調査結果の報告会を開催した。

19日午後、佐賀県唐津市で開かれた報告会には、漁業関係者ら約100人が参加した。唐津市沖では、洋上風力発電事業の誘致が計画されていますが、漁業関係者からは反対の声も上がっている。

報告会では、国の内外で洋上風力の実態を調査してきた潜水士が、海藻が減少している唐津の海の現状や、洋上風力の構造物が魚礁の代わりとなり魚が集まっている五島列島の状況などを説明した。
唐津市の離島住民への説明会はすでに実施されていて、利害関係者から国の法定協議会に参加する了解が得られれば、洋上風力発電の誘致に向けた手続きが進むことになる。

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洋上風力発電と漁業 日本の経験#2 「操業に影響」漁業者が懸念 いすみ市沖の洋上風力発電

2022-12-18 06:50:26 | 日記

2022年12月15日 東京新聞様から転載

[「操業に影響」漁業者が懸念 いすみ市沖の洋上風力発電]
 千葉県いすみ市沖が、国の洋上風力発電の「有望区域」となっていることを巡り、同海域を「貴重な漁場」とする鴨川市といすみ市の漁業者らの一部が、風力発電事業に利用しないよう要望活動を続けている。
 東安房漁協(南房総市)、鴨川市漁協に所属する鴨川地区のまき網業者四経営体は十月中旬に国、県などに要望書を出した。鴨川市漁協によると、要望書に漁協名の記載はないが、実際は漁協も一体となって要望しているという。
 要望書によると、洋上風力発電施設の基礎工事による海底地形の改変で潮の流れも変わり、魚などの生息場所が失われる恐れもあることや、操業に面積を要するまき網漁などへの影響を懸念。船団の航路に支障となる点も挙げつつ、「洋上風力発電そのものに反対していない。漁業を犠牲にする海域への設置はやめて」と訴えている。
 十一月中旬には、この海域でタコつぼ漁やはえ縄漁などを営む「夷隅東部巻刺網船団」(いすみ市)も、合意形成の過程に不信を訴えつつ、風力発電に利用しないよう国、県などに求めた。
 再エネ海域利用法に基づく洋上風力発電で、いすみ市沖は昨年九月に「有望な区域」となり、地元自治体や一部の漁協などでつくる協議会がスタート。鴨川市などの漁業者らは協議会の場で意見を表明する機会を求めたが、事務局の県産業振興課は「地元漁協や県漁連には協議会に入ってもらい、特に支障がないとして進んできた。協議会に要望を聞く場を設ける考えはない」としている。
 鴨川市漁協の田原智之参事は取材に対し、「遊漁船(釣り船)には、設置される風力発電設備の周辺が良い魚礁になるとされるが、実際に漁業を営んでいる漁業者からは事業をやめてほしいとの訴えがある。『有望区域』から、次の段階の『促進区域』に選ばれて事業化に進む前に、反対の意見を聞いてほしい」と思いを語った。(山本哲正)

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