洋上風力発電と漁業 海外と日本の経験

Offshore wind farms and fisheries
”洋上風力発電と民主主義”

洋上風力発電と漁業 海外の経験#81 米国 NY州 主要洋上風力発電プロジェクト計画停止 ゼネラル・エレクトリック・ベルノバ(GE Vernova)社

2024-04-21 03:41:57 | 日記

 

2024年04月20日

北海道機船漁業協同組合連合会内 一般社団法人北洋開発協会 原口聖二

[洋上風力発電と漁業 海外の経験#81 米国 NY州 主要洋上風力発電PJ計画停止]

日本での先行する欧米の洋上風力発電の漁業分野との共栄、相乗効果等の成功体験は、ほとんどが開発事業者による切り抜き発信で、実際に漁業分野の情報にアクセスしていくと様々な問題が報告されている。

世界中の漁業者は共通に、洋上風力発電プロジェクトについて、自らが知らない間に選定地が決まって唐突に説明会が始まり、漁業当局に十分なヒアリングを行うことなく、他の部局が主導する地方自治体の前傾姿勢による拙速な取り組みが行われ、事業開発者から漁業分野の科学的知見を理解しようとしない姿勢を感じていると指摘している。

一方、新型コロナウイルスのパンデミックを発端とするサプライチェーンの混乱は、ウクライナ紛争で一段と深刻化しており、輸送コストや原材料費の高騰、金利の上昇、そして、インフレにより、風力発電事業者の利益が圧迫され、内容が悪化しており、このような環境で、漁業分野を含め満足な補償等に対応がなされるのか、はなはだ疑問な状況が伝えられている。

2024年04月19日、米国ニューヨーク州では、ゼネラル・エレクトリック・ベルノバ(GE Vernova)社の経済的影響を受けた計画変更案を受け、3つの主要な洋上風力発電プロジェクトが停止状態となった。

ニューヨーク州は、2023年10 月、当該プロジェクトを暫定的に承認した。

これらのプロジェクトの当初計画では最大級18MW出力タービンだったが、小型に変更することになった。

しかし、この変更により、技術的、商業的に複雑さが生じ、ニューヨーク州開発当局は、最終契約は見送られたと説明している。

大統領ジョー・バイデンと米国の多くの州による洋上風力エネルギー開発に対し、また、打撃が与えられることになった。

この1年間のサプライチェーンの問題と金利上昇により、大手開発事業者はプロジェクトの中止と数十億ドルの評価損を余儀なくされている。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

洋上風力発電と漁業 日本の経験#68 "洋上風力"の推進役 日本風力発電協会が空中分解のおそれも

2024-04-17 14:18:59 | 日記

2024年04月17日

北海道機船漁業協同組合連合会内 一般社団法人北洋開発協会 原口聖二

[洋上風力発電と漁業 日本の経験#68 "洋上風力"の推進役 日本風力発電協会が空中分解のおそれも]

2024年4月17日、東洋経済オンライン(大塚隆史様)は、伊藤忠、双日など数十社が日本風力発電協会を一斉退会し、洋上風力発電の推進役が空中分解するおそれもあるとリポートしている。

500社を超える企業などが加盟、再エネ政策にも影響を与えてきた日本風力発電協会(JWPA)を巡る騒動に終わりが見えない。

JWPAは風力発電の業界団体で、メーカーや発電事業者をはじめ500社を超える企業などが加盟、再生可能エネルギーの主力電源化に向けて政策提言などを行ってきた。

だが、2023年夏以降に明らかになった秋本真利衆議院議員の汚職事件では、贈賄の疑いがある日本風力開発の元社長だけでなく、JWPAも一定の関与があったのではないかと取り沙汰されてきた。

2023年10月、洋上風力の代表的企業である三菱商事が同協会から退会し業界に衝撃が走った。

「これほど多くの会員が退会したのは異例」

*一連の汚職問題を受けて、協会の代表理事を務めていた加藤仁氏(当時の日本風力開発副会長)が退任し、代表理事職はいったん空席(代表理事代行が就任)になった。

同12月、安茂氏(当時はジャパン・リニューアブル・エナジー会長)が新代表理事に就任したものの、今度はセクハラ問題を理由に2024年2月に退任した。

だが、これで混乱が収束したわけではない。東洋経済の取材でこの3月末に伊藤忠商事や双日、そして世界最大の洋上風力事業者オーステッドなど数十社が退会した事実が判明したのだ。「これほど多くの会員が退会したのは異例」(業界関係者)という事態となっていると報告されている。

 

*日本風力開発、風力の業界団体を退会 汚職事件受け

2023年10月19日 日本経済新聞様から転載

風力発電事業者で構成する業界団体の日本風力発電協会(東京・港)は、日本風力開発(同・千代田)の退会を2023年10月18日の理事会で決めたと発表した。

同社側から申し出があり、受け入れたという。

日本風力開発を巡っては、塚脇正幸前社長が衆院議員の秋本真利被告への贈賄罪で在宅起訴されている。

協会の代表理事を務めていた加藤仁氏(日本風力開発の副会長)ら日本風力開発から就任していた全ての理事や役員の退会も決めた。

理事と役員で合計3人いた。

次の代表理事を選ぶまでの間、山田正人副代表理事(MHIベスタスジャパン社長)が代行を務める。

日本風力開発は協会を退会した理由について「協会に迷惑や心配をかけているため」と説明している。

 

        “WIND HOKKAIDO” 北海道洋上風力フォーラム2023  2023年7月20日 札幌市   

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

洋上風力発電と漁業 海外の経験#80 欧州 レポ”風力発電の美辞麗句と現実“ せたな町2基とも停止

2024-04-15 17:47:19 | 日記

2024年04月15日

北海道機船漁業協同組合連合会内 一般社団法人北洋開発協会 原口聖二

[洋上風力発電と漁業 海外の経験#80 欧州 レポ”風力発電の美辞麗句と現実“ せたな町2基とも停止]

日本での先行する欧米の洋上風力発電の漁業分野との共栄、相乗効果等の成功体験は、ほとんどが開発事業者による切り抜き発信で、実際に漁業分野の情報にアクセスしていくと様々な問題が報告されている。

世界中の漁業者は共通に、洋上風力発電プロジェクトについて、自らが知らない間に選定地が決まって唐突に説明会が始まり、漁業当局に十分なヒアリングを行うことなく、他の部局が主導する地方自治体の前傾姿勢による拙速な取り組みが行われ、事業開発者から漁業分野の科学的知見を理解しようとしない姿勢を感じていると指摘している。

一方、新型コロナウイルスのパンデミックを発端とするサプライチェーンの混乱は、ウクライナ紛争で一段と深刻化しており、輸送コストや原材料費の高騰、金利の上昇、そして、インフレにより、風力発電事業者の利益が圧迫され、内容が悪化しており、このような環境で、漁業分野を含め満足な補償等に対応がなされるのか、はなはだ疑問な状況が伝えられている。

2014年4月14日付“朝日DIGITAL”(日浦統様)は、稼働から20年を迎えた北海道せたな町の日本初の洋上風車「風海鳥」が当月、稼働開始から20年を迎えたが、耐用年数を超え、2基とも故障し、停止中だと伝えた。

1基は部品を交換して再稼働する計画だが、もう1基の修理は難しく、「取り壊すしかない」(高橋貞光町長)とのことだ。

近年、風力発電は住民への悪影響を減らすため、陸上から洋上へとシフトが進んでいる中、北海道がその「最適地」として期待が高いものの、将来の解体廃棄という難題が見えてきたと報告している。

英国の再生可能エネルギー財団“Renewable Energy Foundation”は、2020年11月、レポート“風力発電の経済-レトリック(美辞麗句)と現実”を発表している。

洋上風力発電プロジェクトのコストの予測は、押しなべて規模の拡大と経験効果によって、設置容量の増加にともない平均コストが低下すると説明されているが、現実には、容量が増加するたびに発電コストは上昇しており、その重要な要因の一つに、予想以上に早期に多発する故障にあると指摘している。

 

 

2020年08月19日 北海道新聞様から転載

[折れた羽根 修理中 せたな町「風海鳥」 国内初の洋上風車]

檜山管内せたな町は、ブレード(羽根)の破損で2018年12月から運用を停止している国内初の洋上風車「風海鳥(かざみどり)」2号機を修理している。

風車は瀬棚港の沖合約700メートルにそびえ、支柱の高さは約40メートル。

04年、旧瀬棚町が2基設置し、運営。

長さ約23メートルのブレード3枚のうち、1枚の先端部分約1メートルが折れた。

落雷が原因とみられ、安全面から停止した。

町は、デンマークの製造元ベスタス社の関連会社から部品と作業員2人を手配。

7月下旬、失ったブレードの先端部分を接合する作業に着手した。

 

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

洋上風力発電と漁業 日本の経験#67 洋上風力 “緑の牧草地”を目指し”未知の暗いジャングル”へ迷い込む

2024-04-15 12:41:29 | 日記

2024年04月15日

北海道機船漁業協同組合連合会内 一般社団法人北洋開発協会 原口聖二

[洋上風力発電と漁業 日本の経験#67 洋上風力 “緑の牧草地”を目指し”未知の暗いジャングル”へ迷い込む]

国内最大の発電事業者JERA(ジェラ)の可児会長は、洋上風力発電について、金利上昇やインフレに伴うコスト上昇などで逆風が吹いており、計画見直しの動きが相次いでいる中、先行き不透明な中で事業を拡大していくのは、二酸化炭素の排出量ネットゼロという名の「緑の牧草地」を目指して「未知の暗いジャングル」に入っていくようなものだと話したと2024年4月15日付ブルームバーグ(稲島剛史様/小田翔子様)が伝えている。

投資の健全性を維持しながらネットゼロを目指していくのは、「危険な冒険だ。だから一人ではやらない」と可児会長は述べ、他社との協業が成功のカギを握ることになるとの見方を示した。

また、再エネ事業の拡大に向け英国で設立していた専門組織「JERA Green」をこのたび、「JERA NEX(ネックス)」に社名変更したが、再エネ導入で先行する欧州には洋上風力などの専門人材が豊富なことから、これをグローバルに展開する事業の「ハブ(中核)」としていく考えを明らかにしたとされている。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

洋上風力発電と漁業 日本の経験#66 “国破れて風車あり” 国民負担の賦課金を最初からあてにする洋上風力発電

2024-04-11 12:35:43 | 日記

2024年04月11日

北海道機船漁業協同組合連合会内 一般社団法人北洋開発協会 原口聖二

[洋上風力発電と漁業 日本の経験#66 “国破れて風車あり”国民負担の賦課金を最初からあてにする洋上風力発電]

新型コロナウイルスのパンデミックを発端とするサプライチェーンの混乱は、ウクライナ紛争で一段と深刻化しており、輸送コストや原材料費の高騰、金利の上昇、そして、インフレにより、洋上風力発電事業者の利益が圧迫され、内容が悪化、このような環境で、漁業分野を含め満足な補償等に対応がなされるのか、はなはだ疑問な状況が伝えられている。

地元にこれらの情報が伝わっているのか理解に苦しみ、日本の洋上風力発電プロジェクトのプロモーションは、国民負担の賦課金を最初からあてにした”確信的背景”を想像させるものとなってきている。

この国民負担の電力料金の賦課金徴収に立脚し、経済的に独立していない再エネ事業について、2024年4月10日付産経新聞(織田淳嗣様)は、国民民主党の玉木雄一郎代表が同日、取材に応じ、当該賦課金の「廃止を含め、抜本的見直しの時期に来ている」と述べたと伝えている。

 

2024年04月10日 産経新聞(織田淳嗣様)

「国破れてパネルあり」再エネ賦課金廃止も検討を…国民民主・玉木雄一郎代表が警鐘

国民民主党の玉木雄一郎代表は10日、産経新聞の取材に応じ、再生可能エネルギー普及のため電気料金に上乗せされている賦課金について「廃止を含め、抜本的見直しの時期に来ている」と述べた。

再エネ賦課金は電力会社の販売収入が減ると、逆に上がる算定方式。今年度は、ロシアのウクライナ侵攻で高騰した資源価格が一服して販売収入の減少が見込まれるため、値上げとなった。標準的な家庭(月の使用量400キロワット時)で換算すると、賦課金は令和5年度比836円増の月額1396円。4年度(1380円)の水準に戻る。

賃上げの流れも帳消しに

玉木氏は賦課金値上げについて「せっかくの賃上げの良い流れを、帳消しにする。賃金が増え、消費が増えるという好循環が断ち切られてしまう」と指摘した。国民民主は先月、賦課金の徴収を一時停止し、電気代を引き下げる「再エネ賦課金停止法案」を国会に提出している。

賦課金の制度については「所得の低い人も含めて集めたお金を、メガソーラーを設置できる事業者に回す『所得の逆再分配』が行われている」として、構造的な問題があると指摘。特に太陽光発電については「(発電)コストが下がっており、市場原理に任せるべきではないか」と述べ、賦課金が支える固定価格買い取り制度(FIT)の見直しを訴えた。

再エネについては今後、洋上風力などメニューが増加し、賦課金を含めた補助的な制度の必要性が高まる可能性もある。玉木氏は「電気代、社会保険料、税金をこれ以上上げないことが最優先。『国破れてパネルあり』ではいけない。優先順位を国益、国民の生活から考えるべきだ」と述べた。

中国が生産能力8割

太陽光発電業界は中国勢が台頭しており、国際エネルギー機関(IEA)の2022年の報告によると、太陽光発電に必要な主要要素の世界の生産能力の8割超を中国が占める。ただ、パネル素材の多結晶シリコンの多くは、新疆ウイグル自治区での強制労働による製造が疑われている。

これに関連し、玉木氏は「人権を無視した形で安く製造されたものについては、輸入しない、使わない。供給網(サプライチェーン)から排除することを義務付けるための法制化も必要だ」と主張した。

また玉木氏は、内閣府のタスクフォース(TF)元民間構成員、大林ミカ氏の提出資料に中国の国営電力会社「国家電網公司」のロゴマークが入っていた問題にも言及。「組織や外国からの不当な影響がなかったのかどうか、政府は徹底検証すべき」と強調した。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする