goo blog サービス終了のお知らせ 

洋上風力発電と漁業 海外と日本の経験

Offshore wind farms and fisheries
”洋上風力発電と民主主義”

洋上風力発電と漁業 海外の経験#39 アイルランド 業界団体 産卵場に懸念表明 開発事業者対応に憤慨

2023-06-27 16:10:57 | 日記

 

2023年06月22日

北海道機船漁業協同組合連合会内 一般社団法人北洋開発協会 原口聖二

[洋上風力発電と漁業 海外の経験#39 アイルランド 業界団体 産卵場に懸念表明 事業者対応に憤慨]

日本での先行する欧米の洋上風力発電の漁業分野との共栄、相乗効果等の成功体験は、ほとんどが開発事業者による切り抜き発信で、実際に漁業分野の情報にアクセスしていくと様々な問題が報告されている。

アイルランド・ドニゴールに本部を置く、アイルランド漁業生産者機構“IFPO”は、計画されている洋上風力発電プロジェクトのタービン設置場所が伝統的な漁場と資源再生産のための敏感な産卵場に与える危険な影響に強い懸念を表明している。

また、アイルランド政府と開発事業者が、漁業分野の担ってきたアイルランド全体と沿岸地域社会への役割と貢献を認識せず、その対応ぶりに憤慨している。

“IFPO”代表アオド・オ・ドネル(Aodh O Donnell)は、伝統的な漁場と資源再生産のための敏感な産卵場に与える危険な影響に大きな不安を感じているにも関わらず、風力タービンがどこに設置されるかなどの基本的な情報提供さえ拒否されていると語り、拙速なアイルランド政府の形式的取り組みを指摘し、有意義な協力が必要だと言及した。

また、アイルランド政府と開発事業者が、豊かな漁場への風力発電所建設について、漁船団に適切なヒアリング等を行ってこなかったと述べ、どれだけの水棲生物資源にアクセスし、そして最終的に食糧安全保障に影響を与えるか等を理解していないと言及した。

加えて、オ・ドネルは、風力タービン設置のほとんどの場所の選択は、最適な送電網接続とプロジェクトのコストを中心にしており、伝統的な漁業活動や敏感な産卵場に関する基本的な考慮事項さえ軽視されているか、ほとんど無視されていると述べ、現在の利用海域では何世代にもわたって操業が行われてきており、特にダブリン湾で漁獲されるエビはアイルランドで最も価値のある水産物にランクされていると説明した。

一方でオ・ドネルは、漁業分野が、共存のアプローチに積極的に参加して、取り組んでいきたいと考えていると語り、開発事業者が、伝統的な漁場への影響を軽減し、最小限に抑える必要性を真剣に考慮する必要があると述べ、現在の主な懸念について、まだ、タービンの設置場所等、十分な情報を受け取っていないことだと指摘し、これは適切な関与と有意義な協議のための基本的な前提条件だと加えた。

さらに、漁業者は平等な扱いを受け、社会経済的利益を平等に享受する権利があると語り、プロセスが拙速であることから、行政の海洋再生可能エネルギー部門と開発事業者に対し、有意義かつ透明性のある方法を求めていく所存だと結んだ。

 


洋上風力発電と漁業 海外の経験#38 米国 ニュージャージー州 反対派が法的・政治的に勢力を結集

2023-06-22 14:38:24 | 日記

 

2023年06月22日

北海道機船漁業協同組合連合会内 一般社団法人北洋開発協会 原口聖二

[洋上風力発電と漁業 海外の経験#38 米国 ニュージャージー州 反対派が法的・政治的に勢力を結集]

日本での先行する欧米の洋上風力発電の漁業分野との共栄、相乗効果等の成功体験は、ほとんどが開発事業者による切り抜き発信で、実際に漁業分野の情報にアクセスしていくと様々な問題が報告されている。

米国ニュージャージー州の洋上風力発電プロジェクトに反対し、停止を求める勢力は、法的、政治的な取り組みを強化している。

先週(2023年6月11日からの週)、ニュージャージー州で最初に計画されている風力発電プロジェクトの承認をめぐって、3つの住民団体が訴訟を起こした。

また、2023年6月15日、米国会計検査院(GAO)がニュージャージー州沖の洋上風力発電プロジェクトについて、漁業、環境、軍事などに影響を及ぼす可能性に関する調査を開始することを意思決定した。

“ロングビーチ・アイランドを救え”(Save Long Beach Island)、“ブリガンティン・ビーチを守れ”(Defend Brigantine Beach)、そして“私たちのニュージャージーの海岸を保護しろ”(Protect Our Coast NJ)は、2023年6月16日、洋上風力発電プロジェクト“オーシャンウィンドI”が、海岸管理規則に適合しているというニュージャージー州高等裁判所の判決を不服として上告した。

この案件は、ニュージャージー州初の洋上発電プロジェクトで、残る承認手続きを終えた時、デンマークの風力開発会社“オーステッド”(Ørsted)の米国子会社が今年2023年にも建設を開始する可能性がある。

当該上告は、反対派が長年望んでいた洋上風力発電が環境やその他の分野に及ぼす影響を調査するというGAOの決定に続くものとなる。

住民団体の弁護士ブルース・アフランは、ニュージャージー州環境保護局が、風力タービンが水棲生物資源の生息地を破壊し、海底にダメージを加えて、商業漁業資源の破壊を引き起こすこと、また、絶滅危惧種の海洋哺乳類の移動経路を侵害することを認めていると指摘、沿岸地域経済に大きな悪影響を及ぼすことになると述べ、東海岸で最も重要な海洋コミュニティの一つであるニュージャージー州の470億ドル規模の観光産業の中核地帯について、同州が損害を与えることはないと、 “奇妙な信念を貫いている”と付け加えた。

さらにアフランは、ウバガイ(ホッキガイ)漁業への潜在的な悪影響を認めた“オーシャン・ウィンドI”側の見解、“オーステッド”社が提案した緩和策を講じたとしても、商業漁業やスポーツ・フィッシングに大きな影響が生じる可能性があるという海洋エネルギー管理局(BOEM)の調査結果にも言及した。

先に、米国下院議員クリストファー・スミス(共和党:ニュージャージー州第4選挙区)は、共和党議員団の働きかけにより、GAOがニュージャージー州沖の洋上風力発電プロジェクトについて、漁業、環境、軍事などに影響を及ぼす可能性に関する調査を開始することになったと発表した。

かつてニュージャージー州では、洋上風力発電への取り組みが超党派で支持されていたが、プロジェクトの規模拡大計画と関係者の拙速な取り組みにより、現在、反対グループが台頭してきている。

これに、昨年2022年12月から今年2023年3月にかけて、死んだザトウクジラの座礁の急増が確認されたことがインセンティヴを与えることになった。

現在も民主党所属のニュージャージー州知事フィル・マーフィーが、風力を主要な動力源にすることに全力を尽くしているものの、地元の共和党議員は強力に反対しており、バイデン政権が推進する洋上風力発電プロジェクトを阻止、モラトリアムへ追い込むべく行動を活発化している。

 


洋上風力発電と漁業 海外の経験#37 オランダ 洋上風力で北海漁業縮小 陸上産業への影響大規模

2023-06-19 20:45:01 | 日記

 

2023年06月16日

北海道機船漁業協同組合連合会内 一般社団法人北洋開発協会 原口聖二

[洋上風力発電と漁業 海外の経験#37 オランダ 洋上風力で北海漁業縮小 陸上産業への影響大規模]

日本での先行する欧米の洋上風力発電の漁業分野との共栄、相乗効果等の成功体験は、ほとんどが開発事業者による切り抜き発信で、実際に漁業分野の情報にアクセスしていくと様々な問題が報告されている。

洋上風力発電所の建設、燃料価格の高騰、そして英国EU離脱などの課題の積み重ねによるオランダ北海漁業の縮小が、陸上産業に大きな影響を与えているとオランダ農業・自然・食品品質省に委託を受けた“ワーヘニンゲン経済研究所”(Wageningen Economic  Research)が報告した。

同研究所は北海での漁業が与える陸上産業の雇用などの社会経済的規模は、北海での漁業そのものの規模よりもはるかに大きくなるとしている。

2021年、オランダには北海での漁業に依存する陸上企業が236社あった。

これらは、水産物市場、水産物加工業、水産物卸、物流、造船、舶用機器メーカ等で活動しており、オランダのこのセクターの総売上高は 66億ユーロで、従業員数は 13,550人となっている。

また、2021年、346社の内314社の売上高の5%以上を北海での漁業に依存していることが分かった。

依存度は企業によって大きく異なるが、平均すると、これらの企業では売上高の40%-50%が北海での漁業に直接起因していた。

したがって、2021年の北海での漁業に起因する関連業界の売上高は29億ユーロと算定された。

これに対し、2021年の北海での操業による陸揚げ金額そのものは、3億4,400万ユーロ、乗組員数が約1,800人で、金額だけとっても、陸上産業への波及が8.4倍となっていることが分かった。

北海での漁業の縮小は、輸入水産物の取扱いが低い業界を圧迫し、関連陸上産業は衰退することになる。

失われるのは雇用だけではなく、企業は最大の懸念がユーロや雇用統計では表現できないと指摘する。

スタッフを失い、その結果、代替の難しい専門知識が失われる。

北海の水産物のフィレ加工や取引、技術設備の構築、舶用機器のメンテナンスなどの専門知識の喪失による国際競争力の低下と輸入水産物への依存の高まりが懸念されている。

オランダ政府とEUの政策決定は、長期的な事業計画の作成とイノベーションへの投資の見通しを提供する必要があり、他のEU加盟国との協力と調整が、同国水産業の回復にとって極めて重要な課題となっている。

 


洋上風力発電と漁業 日本の経験#30 洋上風力発電導入へ 道内3区域で海底地盤調査開始

2023-06-18 10:11:33 | 日記

2023年06月18日 北海道建設新聞様から転載

洋上風力発電導入へ 道内3区域で海底地盤調査開始

数カ月以内に協議会設置なども予定 促進区域指定に向け準備進む

 洋上風力発電の導入促進に向けた道内有望区域のうち、岩宇・南後志地区沖、島牧沖、檜山沖の3区域でエネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)による海底地盤調査が始まった。地形調査やボーリングをし、民間事業者による設計の基礎資料にしてもらう。今後、各区域では漁業への影響などについて話し合う協議会も設置。最終段階となる促進区域の指定へ準備が進む。

 

 

 国は5月、石狩市沖、松前沖を含めて道内5エリアを有望区域に選定した。追加調査や協議会での意見取りまとめなどを経て、事業実施の前提となる促進区域に移行する。

 岩宇・南後志沖(関係市町村は神恵内村、泊村、共和町、岩内町、蘭越町、寿都町)、島牧沖(島牧村)、檜山沖(せたな町、八雲町、江差町、上ノ国町)の3区域は初期段階から政府が主導的に関与して調査などをするセントラル方式を採用。同じ海域で複数の民間事業者が類似した調査をする不効率な状況の回避が目的だ。

 JOGMECが1月に公表した2023年度の調査計画によると、風況、気象海象、海底地盤の3点について調べる。風況、気象海象は今秋から1年間の観測を予定。海底地盤は今夏と来夏に分けて調査する方針で、今夏の調査は6―8月中旬を想定している。

 道が公表している環境影響評価の縦覧状況を見ると、島牧沖でコスモエコパワー(最大出力100万kW)、日本風力エネルギー(同60万kW)、北海道洋上風力開発(同58万5000kW)、檜山沖でコスモエコパワー(同100万kW)、電源開発(同72万2000㌔㍗)の計画が挙がっている。

 調査と並行して国や道が事務局となり、関係する市町村や漁業協同組合、学識経験者らによる協議会を設置する。漁業への影響をはじめ、地域振興策の検討、施工時の漁船などとの調整について話し合う。今後数カ月以内の設置を予定する。

 道によると、道外他地域では有望区域から1―2年で促進区域に指定される例が多いという。