洋上風力発電と漁業 海外と日本の経験

Offshore wind farms and fisheries
”洋上風力発電と民主主義”

洋上風力発電と漁業 日本の経験#49 漁業影響調査を行っていない石狩湾洋上風力発電

2023-11-16 08:59:03 | 日記

2023年11月16日

北海道機船漁業協同組合連合会内 一般社団法人北洋開発協会 原口聖二

[洋上風力発電と漁業 日本の経験#49 漁業影響調査を行っていない石狩湾洋上風力発電]

2023年11月13日、北海道松前町で洋上風力発電開発プロジェクトの法定協議会の初会合が開催された。

概要は下記の北海道新聞様の転載となるが、この中で、来月2023年12月にも稼働が開始される石狩湾でのプロジェクトについて質問があり、参加した国土交通省港湾局海洋・環境課海洋利用調査センター(所長:榊原基生様)は、把握している限り、漁業影響調査に関する論議に至らなかったと語り、調べた限り漁業影響調査を行っていないと加えた

 

 

2023年11月14日 北海道新聞

洋上風力 雇用は、漁業は… 松前で法定協 期待と不安<フォーカス>

【松前】渡島管内松前町で13日、洋上風力発電の受け入れに向けた法定協議会が始まった。人口減に歯止めがかからない地元では、発電施設の維持管理などで雇用が拡大し、町の税収も増えることなどへの期待感が高まる。一方、大型風車建設による海域への影響は不透明な部分もあり、基幹産業の漁業関係者には懸念もくすぶっている。

 「風力発電は、まちの衰退を阻止するための重要な役割を担う。地域産業の発展に寄与するよう事業を進めてほしい」。協議会の席上、松前町の若佐智弘副町長はこう述べ、受け入れに前向きな姿勢を見せた。

町は松前沖に風力発電施設が整備されることで、固定資産税などに加え、再エネ海域利用法に基づき売電収入の一定割合を事業者から受け取ることになる。施設に不可欠なメンテナンス拠点が地元にできれば、新たな産業として雇用の創出につながると見込む。

景観を損なうという指摘もある洋上の大型風車を、逆に観光資源として生かすアイデアも浮上している。工事期間中は、建設作業員が町内に一定期間、滞在することにもなる。

ただ、協議会で若佐副町長は、経済産業省や国土交通省の担当者に、こうくぎも刺した。「漁業への影響については町民も危惧している。メリット、デメリットを今後、具体的に示してもらいたい」。松前さくら漁協の吉田直樹組合長も「漁業と共存共栄できるよう配慮を。漁船が安全に航行できる航路の確保など、漁業者の意向をくんでほしい」と訴えた。

同漁協幹部は「風車の振動で魚が寄りつかなくなるのではないか。今までどおりの場所で漁ができるのか」と気をもむ。国もこうした不安があることを認識しており、経産省の石井孝裕風力政策室長はこの日の協議会で「専門家も交えて説明を尽くす」と強調。協議会の下に作業部会を設け、まず漁業影響の調査手法を検討する考えを示した。

ただ、国が主導する一般海域での洋上風力発電は稼働例がなく、漁業や環境などへの影響は未知数だ。

道内では松前沖と同様、石狩市沖と岩宇・南後志地区沖、島牧沖、檜山沖の4区域も洋上風力の「有望区域」に選定され、3区域で計16件の事業計画があり、環境アセスメントが行われているが、法定協議会の設置は松前沖が初めて。町関係者からは「分からないことが多すぎる。事業がうまくいくかは、国や事業者が影響などを丁寧に説明し、町民の不安を払拭できるかにかかっているのではないか」との声も上がる。(権藤泉、足立結)

■稼働延期、公募ルール変更も 道外

松前沖など一般海域での洋上風力発電は、2019年施行の再エネ海域利用法に基づいて、国が場所や事業者を決める。すでに事業者が決まっているのは長崎県、秋田県、千葉県の計4区域。ほか6区域が「促進区域」に指定されており、うち4区域は事業者の選定中、2区域はまだ公募を始めていない。促進区域の前段階となる「有望区域」は、道内5区域を含め9区域ある。

道外の先行事例では、有望区域は法定協議会が約半年間で3、4回開催された後、促進区域に指定されている。発電事業者の公募・選定を経て設備の建設工事に入る。運転開始は事業者が決まってから7、8年後を見込む計画が多い。

ただ、最も早く事業者が決まった長崎県五島市沖では、稼働が当初予定の来年1月から最大2年延びることになった。松前沖の「着床式」とは異なり、風車を海底に固定しない「浮体式」での整備だが、構造物の不具合がわかり検査に時間を要しているという。一般海域での洋上風力発電施設は、どの区域も完成していない。

また、同じ企業が参加する事業体に落札が集中したことが問題視され、現在行われている4区域の公募では、複数の区域を合計した1事業者あたりの発送電容量が制限されるなど、ルールが一部変更された。特定の事業者が有利になる国会質問をするよう依頼された衆院議員が資金提供を受けたとされる受託収賄事件もあり、事業の透明性確保も課題となっている。

今年12月にも商用運転が始まる予定の石狩湾新港の洋上風力発電施設など、港湾区域内は港湾管理者が事業者などを選定する。(権藤泉)

 

 

2023年11月13日 北海道新聞

洋上風力発電事業化へ 法定協、松前で道内初開催 漁業との調整焦点に

【松前】渡島管内松前町沖で受け入れ計画が進む洋上風力発電事業について、国、道、漁業関係者らが意見を調整する法定協議会の初会合が13日、松前町内で開かれた。再エネ海域利用法に基づく法定協の開催は道内で初めてで、一般海域での事業化に向けた第一歩となる。出席者からは、地域経済活性化策の充実や漁業との共存共栄を求める声が上がった。懸念を示す漁業者との調整が今後の焦点になりそうだ。

松前沖の法定協は経済産業省、国土交通省、道、町、松前さくら漁協などで構成。座長には足利大の牛山泉名誉教授が就いた。

初会合で、道の土屋俊亮副知事は洋上風力について「ゼロカーボンの実現に寄与する再生可能エネルギーの切り札」と述べ、風況に恵まれた北海道沖での導入拡大に期待感を示した。松前町の若佐智弘副町長は「町にとって有意義なものと確信している」と強調しつつ、大型風車建設による景観悪化への配慮や、地元の雇用増加につながる事業の実施などを求めた。

一方、松前さくら漁協の吉田直樹組合長と竹幸一副組合長は、反対ではないものの「リスクを抱えるのは漁業者」と指摘。風車の風切り音や振動による漁への影響に懸念を示し、主力のヤリイカ漁が行われる3~5月は建設工事を避けることなどを求めた。法定協は今後、要望をとりまとめ、その内容は、国が事業者を公募する際の指針に盛り込まれる。

松前沖は5月に国の「有望区域」に選ばれた北海道沖5区域の一つ。事業化が可能な最終段階の「促進区域」に選定されるためには、再エネ海域利用法に基づき、法定協で合意意見をとりまとめる必要がある。松前沖は地元関係機関が比較的少なく、協議の準備が整うのが早かったため、道内で最も早く法定協が開催された。

促進区域に指定されれば、公募で選ばれた事業者が一般海域を最大30年占有して発電できる。松前沖の洋上風力では、最大25基、合計出力25万~32万キロワットの事業規模が想定されており、東急不動産(東京)などが参入を検討している。(足立結、工藤雄高)

 

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