2023年11月16日
北海道機船漁業協同組合連合会内 一般社団法人北洋開発協会 原口聖二
[洋上風力発電と漁業 海外の経験#67 米国 丁抹オーステッド 次は諾プロジェクトから撤退]
日本での先行する欧米の洋上風力発電の漁業分野との共栄、相乗効果等の成功体験は、ほとんどが開発事業者による切り抜き発信で、実際に漁業分野の情報にアクセスしていくと様々な問題が報告されている。
世界中の漁業者は共通に、洋上風力発電プロジェクトについて、自らが知らない間に選定地が決まって唐突に説明会が始まり、漁業当局に十分なヒアリングを行うことなく、他の部局が主導する地方自治体の前傾姿勢による拙速な取り組みが行われ、事業開発者から漁業分野の科学的知見を理解しようとしない姿勢を感じていると指摘している。
洋上風力発電開発事業者として世界最大クラスのデンマークの”オーステッド”(Ørsted)社は、米国でのプロジェクトに次いで、ノルウエーでのプロジェクトからも撤退する。
ノルウエーでの洋上風力発電プロジェクトの入札を予定していたコンソーシアムから事前資格期限前に撤退したとパートナーの1社が2023年11月13日発表した。
これより先に“オーステッド”は、2023年10月31日、同年第3四半期に284億デンマーク・クローネ(6,100億円)の減損を計上したことを明らかにして、米国の主力プロジェクト“オーシャン・ウィンド”を中止することを決定している。
“オーステッド”のノルウエーのパートナー“ボヌール”(BONHR.OL)は、“オーステッド”から、ポートフォリオへの投資を優先するため、同国での洋上風力発電開発プロジェクト参加から撤退し、そのための提携も打ち切るとの通報があったことを明らかにした。
新型コロナウイルスのパンデミックを発端とするサプライチェーンの混乱は、ウクライナ紛争で一段と深刻化しており、輸送コストや原材料費の高騰、金利の上昇、そして、インフレにより、風力発電事業者の利益が圧迫されていることが指摘されている。
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