放浪日記

刮目せよ、我等が愚行を。

モグモグ隊台湾遠征 第10話

2017年05月24日 | モグモグ隊
モグモグ隊台湾遠征メンバー
(を):をきな氏
(や):やはぎ氏
(に):にいや



台風並みの豪雨&暴風の中、我々は次に向かったのは、基隆駅の裏側。
台湾の安宿はたいてい駅のそばにあり、それに寄りそうかのように、安食堂や飲み屋も多い。
基隆はもともと港町。港のすぐ近くに鉄道駅もあることから、庶民派の店は必ずこのエリアにあるとふんでいた。
そんな旅人の勘を頼りに、駅裏に辿り着くと、確かにそこは、先ほどまでの屋台街とは雰囲気が異なる町が広がっていた。



1泊500元なんて看板を出している、雑居ビルの中にある旅舎。昼間から野球帽をかぶったオッサンどもがビールを開けている食堂なのか飲み屋なのか分からない飲食店。そして、明らかにR18の雰囲気が漂うピンクのネオンのカラオケ喫茶。

「うほっ、いい感じやんか」と(や)。彼のホームグラウンドでもある大阪の下町中の下町・新世界界隈にも雰囲気が似ている。
多少とも車通りのある道から、一本路地に入れば、もうそこは魑魅魍魎が跋扈するアジア的なんでもありのダークサイド。
濡れ鼠のオッサン3人に、ピンクの店の前にウンチングスタイルで煙草をふかすオネエサンから「寄ってらっしゃいよ」的な声もかかる、かかる。
(に)が「オネーサンに温めてもらいましょうか」と冗談半分で(を)に話しかけると、見てはいけないものを見てしまったかのような無表情の(を)がいた。

そんな中、ダークサイドの入口的な路地の一角に、魚介類が並んでいた。



値段は書かれていないものの、食べたい魚介を指差せば、おいしい中華へと早変わりするレストランのそれである。
港町・基隆。ここには魚介を食べに来たのだった。
次から次に迫り来るピンクモンスターの襲来に、危うく本来の目的を忘れるところだった。

「もう、ここにしましょうや」と(に)。
「いいんちゃうけ」と全面的賛成の(や)と、いまだ賢者タイムのような無表情放心状態の(を)。
ただ、このレストラン、魚介はふんだんに並んでいるものの、店舗らしいものはない。
でも店に違いないはず。とりあえず店に入ろう、入れば分かるさと、魚介の横を通り今にも崩壊しそうなビルの中へ。



と、そこは、厨房だった。

忙しく働く台湾人が一斉に我々を見る。


え?


何かしら言ってくるが、「ちょっと何言ってるんだか分かんないんですけど」とサンドウィッチマンばりの返しをしてみると、「メシ喰うのか?」と聞かれた。
「そう、お腹空いてるの、僕ちゃん」と返せば、コクコクとうなずき、店前に並ぶ魚介の前に連れ戻された。
そこで「何がほしい?」と聞かれたが、それより先に、どこで飯喰うの、この店? という疑問は解消されていない。
しかし、明らかに店員は注文表とペンを片手に、聞いてくる。
メニューもない店に違いない。
とりあえず、数品、おすすめの品を交えながら適当に指差してみた。

向こうの気がすんだのか、急に笑顔になり、大声で厨房に我々の注文を伝えると、こっちに来いとジェスチャー。
店の奥に入って行くと思いきや、そのダークサイド路地をさらに奥へと進んで行く。
雑居ビルの軒先から垂れ流される雨水で、路地は池のようになっている。
器用に水たまりを避けながら、徒歩30秒。
ここだ!と指差されたのは、完全に何もない、ただの住居の入口だった。

店員が扉を開けると、中には、円卓が広がっていた。
まだ夕方にもなっていない時間帯なのに、客が数組飯をむさぼり喰っている。

そう、ここは外で注文し、離れ(?)でいただく、まさに隠れ家的なレストラン。
当然ガイドブックには載っていないし、日本人が入って来たことで、一瞬先客がザワッとなったことは書き残しておきたい。


「すげー店だな、おい」
「一瞬拉致られるかと思ったわ」
「いやー、NHKの『入りづらい居酒屋』の基隆版があれば、絶対にここですね」と、無事に店に入れたことでとりあえずほっとする我々。

店員は厨房にいるため、サービス的なものは一切ナシ。
ビールも冷蔵庫から勝手に取ってくるタイプのものだと判断し、数本開栓するも、周りの先客が驚きもしないので、これがこの店のスタイルだと認識した。


で、待つこと数分。
やってきました!

ドーーン!



エビの炒めもの!
エビは当然先ほどまで生きていたので、プリップリ。




アサリとバジルの炒めもの!
台湾中華の定番ともいえる一品。疲れ始めた肝臓に、アサリのやさしい味わいがしみるー。




箸休め的に、空芯菜の炒めもの!
なんか、全部炒めものになってしまったが、それは乏しい語学力のせい。
でも、ニンニクがほどよくきいて好吃。


あっという間に台湾ビールを開けてしまい、黒ビールにまで手を出してみる。






さらに、(を)リクエストの



白魚のフライ。
衣はサクサク、白魚は歯ごたえが残るほどの弾力。
ビールが進むこと、進むこと。


さっきまで屋台街であれだけ食べていたにもかかわらず、ペロリンQ。


店内には、明らかに同伴出勤前のオッサンとおねーちゃんが入って来たり、そこらへんでピンクカラオケを営んでいらっしゃるであろうオネーサマ方が盛り上がっていたりと、絡まれてはいないものの、まったくもって観光の次元とは違う、ディープな基隆が繰り広げられていた。

「いい、いいっ!」と大満足の(を)。
「いやー、基隆って本当にいい町ですね、ゲフッ」とビールのゲップとともに水野晴郎ばりにナイスコメントを残す(や)。

こんだけ食べて飲んでも、確か値段は一人1000円以下。
適当に入ったものの、大成功であった。


すっかりお腹を満たした我々は、夜の帳が下り始めた基隆をあとに、台北へと向かうのだった。
そういえば、今日の宿、決まってないや。



(つづく)


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