放浪日記

刮目せよ、我等が愚行を。

モグモグ隊 高雄遠征 最終話

2019年05月17日 | モグモグ隊



モグモグ隊 高雄遠征メンバー
(を):をきな(絶対的リーダー)
(や):やはぎ(特攻隊長兼撮影主任)
(し):シェリー(見習い隊員)
(に):にいや(永久幹事)



若干の胃もたれ的な違和感とともに起床。
我々の高雄の旅も最終日を迎えた。

南国の朝というものは、なぜこんなに緩やかなのだろうか。
昨夜街角にうごめいていた得体の知れない熱気は姿を潜め、すでに燦々と照りつける陽光の中、原付の排気音が響く大路小路は、けだるい空気に満ちている。





安宿の朝。
各階に設けられているのかどうかわからないが、エレベーターを出たところには、掃除婦と管理人を兼ねたおばちゃんが居座る一角がある。
布団や冷蔵庫なども置かれているため、おそらくここで生活しているのだろうが、この日姿を見かけることはなかった。



この日の予定は、特になし。
昼すぎに日本へ帰る飛行機に乗るだけだ。
もちろん、最後の最後まで、いろいろなものを食べるということはすでに決まっている。


何となくメンバー全員が集まったので、宿からほど近い朝食屋に繰り出した。
店には明らかに付近の住民が席に着いている。先客にならって、適当に注文。




焼き餃子やらソーセージ。
この適当な盛りつけが、朝のけだるさにマッチする。



ニラが入った焼餅。



ニラ饅頭。



焼小籠包。

まだ昨日の山羊肉が居座っている胃袋には丁度いいボリューム。



食後だらだらと付近を散歩して、昼前に空港に向かうことにした。
ただ、そのまま空港に行ってもベンチを温めるばかりのため、付近を散歩。

すると、散策に丁度いい市場を発見。



地元民度100%のローカル生鮮市場は、見ているだけで楽しい。
色とりどりの野菜や加工品、魚介類など、一度ガッツリ買い物をして、調理をしてみたいとも思うが、台湾に来てまでキッチンに立つ気概は、我々には毛頭ない。
ただ、見るだけ。

市場にはさまざまな匂いが充満しており、歩を進めるごとに胃腸も元気を取り戻し、いつしか空腹になっていた。


し「こういう散歩も楽しいですねー。海外にいるって感じがする」
に「特に何をしているわけでもない時間が本当の贅沢というもの」
を「っていうか、そろそろ腹が空いてきたんだが」
や「そうっすね。おい、にいや。空港に行く前にどこかで飯食おうぜ」

と自然な流れで、昼食が決定。
といっても、ローカル度満点のこのあたりは、さすがの僕もノーチェック。
どこの店がおいしいとか、さっぱりわからない。

市場を離れ、町をうろうろしていると、飲食店が並ぶ一角があった。
これまでの勘で、このエリアで選ぶしか選択肢はなさそうだった。

に「こういう町なので、おそらくこのあたりしか店がないと思います」
を「何があるのかね?」
に「看板を読むと、精進料理のブュッフェ、牛肉麺、七面鳥、ステーキも置いているカフェって感じでしょうか」
や「七面鳥?」
に「そう。台湾じゃ一般的に食べられてる。フライドチキンみたいに揚げるんじゃなくって、蒸した肉が麺とかご飯に乗っている感じだけど。鶏の胸肉みたいなさっぱりとした味かな」
を「ええやん!食べたことない!」
し「さっぱりっていうのがいいですね!」

ということで、全票獲得で七面鳥を喰らうことに。
ちなみに、台湾では七面鳥のことを「火鶏」と書く。麺の上に七面鳥がのれば、火鶏肉麺。ご飯の上に肉を乗せれば、火鶏肉飯だ。

連日のモグモグで胃腸の限界を迎え、何だか顔色が悪いシェリーもいるため、各々で注文。
リーダーは火鶏肉飯の小椀を、やはぎは火鶏肉麺を一椀、にいやは火鶏肉飯の大椀と青菜の炒めものを一皿、そしてシェリーは「みんなのものを少しいただきます」と拉致監禁されているくらいの勢いのなさでつぶやいた。




にいやチョイスの青菜の炒めもの。
もちろんさっぱりとしていながらも、ニンニクがほどよく効いていておいしい。



やはぎが注文した火鶏肉麺を。
塩ラーメンのようなあっさりスープは、当然火鶏のダシも効いている。



リーダー&にいやが頼んだ火鶏肉飯。
この店では、どうやら米を火鶏ダシで炊いているようで、ご飯だけでも十分にうまい。



「なかなかいいダシやな、これ」と汁をすすりながらやはぎ。
に「この店にしてよかっ…」
と机を囲み会話を楽しんでいたところ、リーダーは無言で火鶏肉飯をガッツいていた。麻醤麺のときと同じような光景を想像していただきたい。

や「せっかくだから、一口食べてみ?」
し「ありがとうございます。あ、さっぱりでおいしい。塩ラーメンみたい」
や「滋養強壮によさげやね」
や「をきなさん、ご飯のほうの味はどうですか?」
を「……」
に「そんなにおいしい?」
を「…、あげへんで」
し「えっ?」
を「食べたかったら自分で頼みや。これは俺がいただく」
に「そこまで言うなんて、あんた……」
を「こんな普通の店までうまいなんて、台湾はやはりおそるべしや」
に「あ、あの…」
や「どうしたんや?」
に「すげー言いづらいんだけど」
し「?」
に「僕、火鶏肉飯の大を注文したんだけど、いまリーダーが食べているの、僕の前にある茶碗より明らかに大きいですよね?」
し「え…? あっ!」
を「……」
に「そっち、僕の頼んだやつじゃないかなって…」
を「……」
に「…僕が前払いでお金払いに行った時に、完全にすり替えましたよね?」
や「まじで…?」
を「油断大敵やな、ハッ」
に「一口自分のやつを食べて、そのおいしさに目がくらんで、まだ箸をつけていなかった僕の大椀とすり替えましたよね!」
を「いや、小さいの頼んでたやん。ごちそうさま。おいしいものは早い者勝ち、これはモグモグ隊の鉄則である」
し「おそるべし」
や「あんた、そこまでして…」
に「………。僕、…なんか、…そういえば、小さいの……頼んでいた……かも……」
し「…負けを認めた…」




モグモグ隊の絶対的ヒエラルキーが発動され、ランチが終了。
ここから空港まではほど近いため、タクシーで移動。
さんざん歩き、食べまくった高雄の旅も、いよいよ最後である。



高雄の空港に着き、チェックインをすませれば、あとは帰国するばかり。
ここまで何とかやってこれた4人の猛者は、余った台湾元を使い切るため、空港内のコンビニでビールを購入し、各自の奮闘に祝杯をあげることにした。




しかし、そこは我らモグモグ隊。
先ほど大椀を食べたかったのに、結局小椀しか食べられなかった僕は、ビールとともにコンビニで



麻婆豆腐ご飯を購入。
レンチンの弁当だが、日本ではお目にかかれない辛さと旨味がうれしい。

それを見たリーダー、コンビニへと引き返し、



沙茶醤という魚介系のペーストで炒めたヌードルを購入。



ついでに、八角や茶葉で煮込んだ茶葉蛋も購入。
あんた、前回の旅でも最後にこれ食べてたよね?



結局、空港外に設けられたテーブルに陣取った我々の前には、台湾ビールとコンビニ飯が並んだのだった。


に「最後はリーダーからの一言で締めましょう」
を「はい、ということで、高雄の旅、おつかれさまでしたー。今回もたくさん食べたし…」
し「ちょ、ちょっと、」
や「どうした?」
し「あんたら、正気か? さっき七面鳥食ったよね? あれ、昼ご飯だったよね? なんですぐにコンビニ弁当食ってんの?」
に「いや、それは、ほら、あの店では少し量が足りなかったから…」
し「いや、もう本当にいい加減にしてくださいよ。ちょっともう付き合いきれない! 食べる食べるって聞いていたけど、これ正気じゃないよ! 正気の人が食べる量じゃないよ!」
を「シェリーよ、それがモグモグ隊の…」
し「ちょっと空港内を散歩してきます。時間までには戻ってくるので!」

と、急ぎ足で旅客の雑踏に消えていくシェリー。
テーブルには、愛想を尽かされた三人…。


を「ともあれ、冷めちゃうからいただこうか」
に「そうっすねー」
や「2つともおいしそうやなー、一口ちょーだい」
を・に「えー、どうしよっかなー?」
や「いけずすんなやー」
を「煮卵だけはあげないぞー」




こうして最後の最後まで台湾飯を堪能し、機上の人になったのだった。








モグモグ隊、2回目の海外モグモグ。今回も2泊3日ではあったが、大満足の旅であった。
もちろんその満足度と比例するように体重も増加した(シェリーはなぜか痩せたらしい)。












そして、恒例の、この遠征で何が一番美味であったかの結果発表。

に「僕は、2日目の朝に食べた、年寄りが細々やってる屋台の朝食。家庭の味って感じで、毎日で
も食べられるやさしい味付けが台湾っぽいと思いましたよ」

を「いろんなもの食べたけど、やっぱりガチョウのうまさは相変わらずだったわ。俺はガチョウに一票。次に台湾来ることがあっても、絶対ガチョウは食べる!」

し「一番インパクトあったのは、山羊肉ですかねー。あのリゾットみたいな炒飯は最高でした」

や「わしも山羊肉やね。あれは何杯でもいけた」


ということで、多数決で、今回一番美味かったものは、羊肉炒飯に決定。










モグモグ隊 高雄遠征 完




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