放浪日記

刮目せよ、我等が愚行を。

モグモグ隊 高雄遠征 第9話

2019年03月06日 | モグモグ隊

モグモグ隊 高雄遠征メンバー
(を):をきな(絶対的リーダー)
(や):やはぎ(特攻隊長兼撮影主任)
(し):シェリー(見習い隊員)
(に):にいや(永久幹事)




電熱器で炙られて香ばしい薫りを漂わせるカラスミを手に入れた我々。
その匂いをかいでいると、すぐにでも一杯呑みたいという衝動を抑えきれることができなくなっていた。

「そこらへんのコンビニでビール買ってカラスミ食おうぜ」と(や)が言い、「そうだ、そうだ」と小学校の学級会のようなノリで(を)も(し)も続く。
そりゃ呑みたいに違いない。
しかし(に)には腹案があった。
「もう少しだけお預けを。せっかくならばナイスロケーションでビール&カラスミを愉しみましょうぜ」


いぶかしがる3名をなだめながら、地下鉄で一駅。
着いたのは、地下鉄オレンジラインの終着・西子灣駅。
(に)は以前にもこの駅に来ており、そのときとまったく同じ行程を辿ろうとしていた。
駅前でママチャリを借り、フェリーに乗って旗津半島を目指す、というモグモグ隊にはまったくふさわしくないアクティブなプランだ。

パスポートと引き換えにママチャリを借りる。
1日借りても100元(約350円)という安さ。多少ハンドルが曲がっている感じもするが、そこはご愛嬌。
地下鉄西子灣駅から地上に出たところで、爽やかな兄ちゃんが客引きをしているので、ソイツに付いていけば、5分後には自転車に乗っていることだろう。

四十路のオッサンがママチャリを4台連なって道を進む。
はたから見るとおぞましい光景だが、ここは高雄。そんなことは気にしない。

ずっと徒歩での旅になるかと思っていた3人は、「いえーい」「チリンチリーン」「ゴーゴーゴー」と思い思いに口にしながら、小学生のように道路を蛇行しながら進む。なぜそれほど無駄にテンションが高いのか。

(に)が「次は右に」「そこは突き当たりまでまっすぐ」などを指示をして、行き着いた先はフェリー乗り場。
高雄っ子が海鮮を食べにわざわざ訪れるという旗津半島へ向かおうという作戦だ。

「それは美味しいのかね?」とリーダーの問いにも、「行けばわかるさ」とアントニオ猪木ばりの迫力で返す(に)。
約10分間隔で港と島を行き来しているフェリーに、自転車を押しながら、地元民に混じって乗り込む。
徒歩の客は2階へと移動するが、自転車そして原付に乗る人々は1階に荷物のように押し込められる。




電車の中のように吊り革があるのが微笑ましい。
身動きがあまりとれないほど、ギュウギュウ詰めの船内。
船の重油の臭いと原付からの排気ガスの臭いが混ざり合ってかぐわしい。

しかし、船上からの眺めは、そんなマイナスだらけの環境を吹き飛ばすほどに美しかった。
いつしか我々は話をやめ、束の間の船旅を哀愁をもって感じていた。






フェリーはあっという間に旗津半島へ到着。
人々の流れに押し流されるように、我々もチャリダーとなって島へと上陸する。

あまりの迫力に、全員散り散りになりそうだったが「と、とりあえず、ま、まっすぐに進んで!」と(に)の大雑把すぎる指示に、素直に従う3名。

高雄の市街地は見えているのに、島には島特有のゆるやかな時間が流れているようで、サイクリングもことのほか気持ちよい。

「で、俺らはどこに向かってるんや?」と(や)。
「では、最初の目的地、海へ!」と(に)が答えると、心なしか全員の頬が緩んだ気がした。


自転車で5分も走ればもう海岸線に出るのだが、すでにこの島を経験している(に)は、まずコンビニに立ち寄り、迷うことなくビールを購入。そして海岸へと向かった。





コンビニビールで、はい、乾杯。
日差しも心地よい。もう最高にビール気分である。




ビールのおともは、さっき買ったカラスミ。
ほどよい塩気と、香ばしい匂いで、ビールがさらにおいしくなる。

「これ、うめーな!」とリーダー。続けて(し)が「いや、最高ですね! カラスミ初めて食べましたけど、こんなに美味し…」と言う傍らから「いや、黙って食えや」と何故か逆切れ気味のツッコミをかます(や)。場に緊張が走るかと思いきや、そこは(し)の人柄の良さ。「いやぁうまいうまい」と笑顔でスルー。あんた大人だぜ。



ともあれ、目の前には太平洋。
手には缶ビールとカラスミ。
頭上にはさんさんと降り注ぐ陽光。
南国っぽい木々の木陰に身を置いて、しばしの休息。
まさに南国リゾートを満喫しているモグモグ隊であった。




(つづく)

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