放浪日記

刮目せよ、我等が愚行を。

モグモグ隊 高雄遠征 第10話

2019年03月19日 | モグモグ隊

モグモグ隊 高雄遠征メンバー
(を):をきな(絶対的リーダー)
(や):やはぎ(特攻隊長兼撮影主任)
(し):シェリー(見習い隊員)
(に):にいや(永久幹事)


高雄・旗津半島の海岸で、南シナ海をのんびり眺めながら、炙りカラスミを台湾ビールで流し込む。さんさんと降り注ぐ陽光に、少し湿った潮風が薄さの目立ち始めた毛髪をなびかせる。木陰のベンチにゴロリと寝転んで、真っ青な空をサングラス越しに眺めている。


ああ、天国だ。
かつてこの島を宝島(フォルモサ)と呼んだポルトガル人の気持ちが、今ほど分かったことはない…。
このままずっとこんな幸せな時が



「お腹空いたブー」
と、幸福から電撃的に現実へと引き戻す一言!

「あー、そーいえば、そーっすねー」
「んだんだ、そろそろ飯だなス」
と隊員も続く。
確かにビールを飲んでゴロゴロしていても、お腹が空くのは元気な証拠。

「じゃあ、そろそろ旗津半島を食い散らかしにいきやすか」
とさらに重たくなった腰を上げ、レンタサイクルにまたがる。

しばらくはサイクリングを楽しみながら、どこかいい店を探そうという作戦だ。


この旗津半島は、フェリー乗り場から海岸へと向かうメインロードの両側に、ずらりと地元の海産物を店頭に並べる海鮮料理屋が軒を連ねている。
ガイドブック的には、その中のどこかがオススメレストランなのだろうが、個人的はそういう店には入りたくない。仮においしかったとしても、なんか嫌だ。
わざわざフェリーに乗って海鮮を食べにきたのは、俺たちは当然知ってるんだよと言わんばかりに、間口を広げて客を迎える観光レストラン的店舗は、こっちから願い下げだってんだ。

と鼻息荒くペダルを踏み込むこと十数分。
いつしか居並ぶ店を過ぎ、商店を過ぎ、民家を過ぎ…
気付くと、周りには何もなくなっていた。


「おいおいおい、どーなってんの、これは」
「なんだなんだ、虐待か、おい」
「足がつりそうなんだけど、どーしてくれんのよ」
と、罵詈雑言。空腹は人間の本性をさらけ出すと言うが、まさにこの状況。

そんな言葉を完全スルーし、修行のように自転車を走らせること数分。
これまでまったく人の気配を感じなかったのに、やたら車や自転車が停まっている建物を発見した。

もしかして、と近付くと、まさかのビンゴ。
そう、海鮮レストランだった。




運命の出会い、「萬三小吃部」


体育館を改装したような、半オープンエアの店内には、台湾人客がわんさか。
もう、これ、絶対安くて美味しいパターンやん。

その雰囲気を察して「でかした!」とリーダー。
小生、お褒めにあずかりました。


ただ、店内をよく観察してみると、店員らしき人の姿はほとんど見られない。
店に突入しても、いらっしゃいませの一言もなし。
後から入ってきた台湾人たちは勝手に空いているテーブルを見つけ、陣取り始めた。
なるほど、安い・うまいを最優先し、サービスは二の次の半セルフ的レストランね。


そうと分かればこわくない。
モグモグ隊はいちばん汚れていないテーブルを本能的に見つけ出し、どっしりと腰を下ろす。

そう、ここはクーポン式前払い制度のレストラン。
カウンターに行き、適当な金額を払って、その金額分のチケットを購入。
店の半分ほどを占める調理場では、次々に料理がつくられ、その前のテーブルの上に並べられている。それぞれの料理の前には金額が書かれており、それ相当のチケットと引き換えに食事を手に入れることができる。
そして、お茶(なぜか甘い!)と白飯は無料!
銀シャリでライスが食べられる猛者にはパラダイスである。


そして、さっそく我々の中から有志を募り、テーブル確保班と食事調達班に分かれた。


食事調達班が手に入れた料理はこれだ!



イカとホタテ、カリフラワーの黒胡椒炒め



レタスに巻いた蟹肉のフライ
東南アジアでよく口にする甘辛いソースとともに



茹でエビ
シンプル・イズ・ベスト!



蒸した白身魚
けっこうお値段も張った気がするけれど、大盤振る舞い


そして、ビール、ビール、ビール。


もう食べ始める前に写真を撮るのが精一杯。
あとは餓鬼道に堕ちたかのごとく、食べる食べる。


気が付けば、あっという間に完食。
そしてお値段も、4人で2,000円程度。
とんでもなく安くね?
もちろん購入したチケットが余ったら、カウンターで現金に戻せるので心配なし。


いやあ、やっぱり地元の人はよく知っていらっしゃる。
フェリーに乗ってやってきただけのことはあった
海鮮、やっぱうまいのお

なんて語り合っていたら、





満腹の(や)は、おねむになっていた…。




海鮮を食べるという大きな目的を達成した我々は、店を出ると一気にやる気が起こらなくなり、みなそれぞれの歯周ポケットの中に隠し入れた海鮮の食べカスを反芻しながら、フェリー乗り場へと向かったのだった。






そして、フェリー乗り場へ。
さあ高雄に戻ろうかというその時、(や)がフェリー乗り場の向こう岸近くを眺め刮目した。


「あれは、@%#$&やで!」
「うわー、●●●年式の*&$%#も!」
「やばい、これは$#@*!」


ちょっと待てい。
このセリフ、聞いたことあるぞ。

(や)が、いったい何を言っているのか皆目見当がつかないが、彼がこの旅一番の興奮を見せていることは確かである。
そして、この興奮は、昨年の台北市内の軍事パレードに出合ったときのものと同様だった。


そう、高雄の港にあったのは、




軍艦。


「おい(に)、フェリーの時間は何時や」
「いや、ずっと往復しているだけだから20分に1本くらいはあると思うで」
「了解。ちょいとすまんが、行って来るわ」
「お、おう(どこへ?)」
「じゃあの」
「お、おう(ここで待ってりゃいいのか?)」

そして、(や)は一目散に軍艦が見える位置へと駆けて行った。
さっきまで眠たかったんと違うんかい…。

フェリー乗り場前の路上にとり残された3人は、次々とフェリーに乗り込む人やバイク、死んだ魚の目でただ眺めているだけだった。


(を)が何本も煙草を吸いきった頃、ホクホク顔の(や)が戻ってきた。
「いやー、すまんすまん。つい撮り過ぎてしまったわ」

ということで、(や)のコレクションの一部をご覧ください。
















素人目には、どれも一緒のような気がするのだが、これが何を撮りたかったのか、(や)のみが知っている。




「いやあ、またこういうお宝に出合えるとはなあ。今日は来てよかった」とホクホクの(や)。

そんなに喜んでもらえるならば、来た甲斐があったよ…。


大興奮の1名と残り3名を乗せたフェリーは、静かに高雄の港へと着いた。



ちなみに、高雄のフェリー乗り場近くには、かき氷の有名店が数店あり、女子供観光客で賑わっている。

「いらねー」
「甘いもんはちょっとねー」
「まだ喰うんすか?」
という意見を無視して、



マンゴーかき氷を購入。
ミルクかき氷の上に、熟々甘々マンゴーと練乳。
甘さ大爆発だが、サイクリングで火照った身体には丁度良かった。
もちろん、あれだけ文句を垂れていたメンバーも、うまいうまいとペロリ。
ごちそーさんでした!



あ、あと



肉まんも食べちゃった。
主に(を)が。



(つづく)

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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
お久しぶり (かとう)
2019-04-02 08:32:46
おはようございます
小学校の時に同級生でした
かとうまさひと
と言います。チャットか何か連絡方法はないですかね。
返信する
こんにちは (にいや)
2019-04-02 16:03:32
かとうさん>
こんにちは。
yasunori3333@gmail.com
ってアドレスを作ってみました。こちらにメールくださいまし。そして、メール送ってくれたら、このブログにコメントをください!
返信する
約束のこと (かとう)
2019-04-02 16:40:16
gメールにメール送りましたからね

返信する
Unknown (にいや)
2019-04-02 17:52:43
かとうさん>
メールありがとうございましたー。確認しますね。
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