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じゅうよんのろく

2005-03-01 08:48:22 | 日記・エッセイ・コラム
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「どうもしやしないさ。身動きひとつできなかったよ。まるで何かに打たれたように、私は茫然としてその場に立ちすくんだままだった。そして女の顔から一度たりとも目を離すことができなかった。夜が明けるまでな。一番鶏が鳴き、空が白み始めるころ、女はフッと消えたよ。蝋燭の炎を吹き消すようにね」
 老人はもう一度黙り込むと、しばらく窓の外の雨を睨んだ。通りの濡れた敷石の匂いを、微風が部屋に運んできた。


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