永瀬 清子 夜 2011-08-30 | 詩 一日に 一度ずつ 色彩の無くなることは ほんとに いいことだ あすのあさ 鮮らしく 生れ出るのを こんなに 待ちどおしく よろこぶ 心を 持っている 私には この 空間に 在りと 思われ まだ 姿を あらわさぬ わがひとよ その人が 今 私に見えないことも いいことだ 地球の まるみだけ ぼんやりみえる つめたい空気の中で 翼のない 鳥の かたちの影を おとしながら ただ ひとりの あの 樅の木が だんだん 輝いてくるのを 待っているように 新しい 朝の光を 待ちこがれている 私には――