NPO法人野生動物救護の会ブログ

1羽でも1頭でも多くの野生復帰を目指して活動しています

ブログについて

救護の会の活動現場である神奈川県自然環境保全センターでの出来事、エピソード、足環やM(猛禽)プロジェクトのこと、 センター外での活動など、折に触れ書いていきたいと思います。 気儘な更新になりますが、お付き合い下さい。

第6回 野生動物痕跡調査講習会

2020-11-30 09:48:22 | 調査活動

 令和2年11月21日(土)に野外での野生動物痕跡調査講習会を痕跡調査チームが実施しました。麻布大学の野生動物関係のサークルに呼びかけたところ、12名の学生が参加してくれました。今回の講習会では、自動撮影カメラを設置して野生動物を撮影してみようというテーマに沿って、カメラの設置場所を決める手掛かりになる野生動物の痕跡の見分け方、自動撮影カメラの特徴や設定方法を説明し、実際に自動撮影カメラを設定して野外に設置するところまでを参加者と一緒に行いました。けもの道や動物の足あとを手掛かりにして狙い通りに野生動物が撮影できる場所を1時間ほど探して、自動撮影カメラを設置することができました。最後に野外飼育ケージの前で自然環境保全センターの鵜飼獣医師が、神奈川県の野生動物救護事業について野生動物を治療する獣医師の仕事の話を交えながら大学生たちに説明してくれました。
このイベントは神奈川県の「もり・みず市民事業支援補助金」の助成を受けて、新型コロナウイルス感染防止対策を行って実施しました。 


2019年度・丹沢大山自然再生活動報告会に参加しました

2019-12-18 05:49:58 | 調査活動

 12月14日(土)に日本大学で開催された丹沢大山自然再生活動報告会に、野生動物救護の会の痕跡調査チーム「BeasTrace」がポスター発表を行いに行ってきました。この報告会は、丹沢大山自然再生委員会の主催で毎年開催されていて、BeasTraceは去年に続いて2回目の参加となりました。基調講演では、羽山委員長とセンターの羽太部長が丹沢大山自然再生計画の15年間の歩みを振り返り、これまでの成果と今後の課題についてお話をされました。シンポジウムでは、丹沢のシカ問題、人工林の管理、登山者のオーバーユーズと自然保護の問題について神奈川県の担当者による講演が行われました。また、基調講演とシンポジウムの合間に大学の研究者や市民団体が調査研究や自然保護に関する成果をポスター発表しました。

 戦後に荒廃した丹沢大山の自然を復活させるために始められた再生活動は、多くの人々の努力によって実を結び始めているようです。シカの管理捕獲やシカ柵の設置により林床の植物層が再生し、水源林の整備が進み野生動物たちの生息環境も改善されつつあります。しかしながら新たな問題も生まれてきています。地球温暖化による環境の変化がブナ林の再生を妨げるとともに台風による水害ももたらします。SFTS(重症熱性血小板減少症候群)のような感染症を媒介するマダニや豚コレラに罹患したイノシシが丹沢に侵入する可能性も懸念されます。丹沢大山の自然を復活するために行ってきた再生活動は、人間と自然のより良い共生を実現するための活動にシフトチェンジする時期が来ているのかもしれないと、委員会の先生方が話されていました。BeasTraceのメンバーも人と野生動物のより良い共生を目指して、微力ながら調査研究を続けていきたいと思います。

す。


七沢の森に巣箱をかけました

2019-11-10 05:10:39 | 調査活動

2019年11月2日、厚木市森林組合さんからわけていただいた木材を使って、ボランティアの方たちと作成した巣箱を森へ設置に行きました。動物たちの事を考えて頑丈に作られたので、とても重い巣箱でしたが何とか会員やボランティアの皆さんの力をお借りして、森の樹木にかけることができました。来年の繁殖シーズンが楽しみです。


台風15号の影響

2019-09-11 06:25:30 | 調査活動

 

先日、関東を襲った台風15号はいろいろな場所に多くの爪跡を残し、人間の日常生活に甚大な被害をもたらしています。今回の台風による被害は、人間だけではなく野生動物にも出ているようで、いくつかの地点でスズメやムクドリなどの野鳥が大量死しているという情報がネットに流れています。そんな中、センターからほど近い「厚木市長谷」でも被害が出ているという連絡が会員からあり、理事長以下数名で調査に向かいました。現場は、広めの直線道路にそって大きな会社や倉庫などが立ち並ぶ場所で、街路樹として欅が植えられています。情報では、この欅の周辺に大量のスズメが落ちているということだったので全員で探したところ1羽の死体を発見しました。近くにいらした運送会社の方にお話を伺ったところ台風が通過した翌日は確かにたくさんのスズメが落ちていたそうです。この道路の街路樹や電線には、秋になると田んぼの稲穂を目当てにたくさんのスズメが集まるので、そういったスズメたちが台風にやられたんだろうと教えてくださいました。

 

 

 

さて、センターの野外ケージも大変なことになっています。ノスリたちやトビたちが暮らしている「露天1」の上に欅の大枝が落ちてしまいました。大枝は簡単には除去できそうにないので、トビたちはしばらく別のケージに避難することになりました。

  

トビたちは避難場所の止まり木にきれいに並んで落ち着いています。どうやら、この止まり木が気に入ったみたいです。


第1回 夜の観察会〜空飛ぶ座布団の正体とは〜

2019-07-03 15:58:32 | 調査活動

 2019年6月29日(土)、前日の台風3号に続くあいにくの雨模様の中で、痕跡調査班BeasTraceは第1回夜の観察会「〜空飛ぶ座布団の正体とは〜」を開催しました。場所は、去年から私たちがムササビの観察を行っている大雄山最乗寺です。大雄山最乗寺の広大な敷地には針葉樹の巨木が多数存在し、ムササビの居住に適していると思われる樹洞をいくつも確認することができます。彼らはこのような樹洞をねぐらとして利用し、夜になると食べ物のある山の森に滑空してゆくのです。この観察ポイントは、100mを超える大滑空が見られることもあるムササビ観察の名所でもあります。

 午後6時、待ち合わせ場所の駐車場に参加者が集合しました。今回は6名の方が参加してくださいました。しかし、参加を希望されていた数名の方たちには、私たちの連絡網の不備により、当日までにご連絡をすることができませんでした。この場をお借りして謝罪致します。今後はこのような事が無いようにいたします。次回のイベントにも参加いただければ幸いです。

  まず参加者には、講師役の小林夏子さんから夜行性の鳥や動物の生態についてのレクチャーを受けてもらいました。フクロウの体の特徴やアオバズクの鳴き方、ムササビの見つけ方など面白い話をたくさんしてもらいました。その後、スタッフと参加者は日没までの数十分間、観察ポイントに移動しながらムササビがねぐらにしていそうな樹洞を観察しました。

 この日の日没予定時刻は7時1分でした。ちょうどその時刻に合わせるかのようにアオバズクが「ホッホー、ホッホー」と鳴き始めました。参加者とスタッフは、雨音に邪魔されながらムササビの鳴き声を待ちましたが、この日は一度も聴くことができませんでした。次回は満天の星空のもとで皆さんとムササビ観察をしたいと願っています。第2回観察会は8月を予定しております。準備が整い次第ご案内のメールを出しますので、是非ご参加ください。次回はきっとかわいいムササビたちに出会えますよ!