今日(4月22日)は、羊雲と波状雲が沢山、見られました。
上の写真で満開の桜の上に見えるのは高積雲(羊雲)です。寒気団の内部で狭い範囲で上下の温度差が大きいときに出来ることが多い雲です。
こちらは、波状雲です。放射状に見えるのは遠近法による人間の目の錯覚で、実際には平行に列を成しています。こちらは、空気の密度差が大きいと、空気は波打つようになり、その波の上昇部分で雲ができ、下降部分で雲が消えるため、雲が列をなしているように見える雲です。
これらの雲は、いずれも空気の状態が乱れているときに出来ます。乱れの原因は何でしょうか?天気図で見てみましょう。
上の天気図を見ると、日本付近は東海上と中国大陸東岸の高気圧に覆われて、空気が乱れているような気圧配置には見えません。ただ、東海沖に低気圧があり、これが午後からの関東南部の天気の崩れにつながっています。ただ、写真を撮影した八ヶ岳山麓に大きな影響があるようには見えません。
答えは上空高いところの空気の状態にあります。上図は500hPaの天気図です。いくつか引かれてる線は500hPa面における等しい高度を結んだ等高度線です。地図の等高線と同じようなものだと考えてください。等高度線が高度が低い方から高い方へ張り出した部分が気圧の谷(図中二重線)で、この前面(東側)で空気が乱れやすくなります。また、赤い囲み部分は上昇流が起きやすいエリアで、雲が発生しやすくなります。また、等高度線が込んでいるので、上空の風が強いエリアでもあります。
上図は500hPaの気温を現した図です。赤い囲み部分は等温線が集中しており、南北の温度差が多いところです。つまり、暖かい空気と冷たい空気がぶつかっており、500hPaの前線帯がここにあります。
一方で、850hPaの気温図(上図)を見ると、等温線の感覚が広がっており、南北の温度差は小さくなっています。
つまり、500hPaという高度約5,700m付近では温度差が大きく、前線帯になっており、風も強く、上昇流が起きやすい状態ということが言えます。これらはいずれも空気が乱れる要因となるものです。ということで、このようなときは、地上は高気圧に覆われていても、上空は空気が乱れることによる雲が現れる訳です。
※地上天気図は気象庁提供、ほかは、「山の天気予報」専門天気図より。
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文責:猪熊隆之