山の天気予報

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猪熊隆之の観天望気講座59

2015-04-03 21:00:19 | 観天望気

今日は、気圧の谷の通過後に見られた雲海について説明します。

雲海とは、雲が海のように広がっている状態のことで、雲海を見るためには以下のような条件が必要になります。

1.自分が雲より高い場所にいること

2.雲の上は晴れていること

3.雲が比較的広い範囲に広がっていること

これらの条件がそろう気象状況はいろいろ考えられますが、代表的なものとしては、以下の2つになります。

1.地面(海面)に近い高度の空気が湿っている(雨の後など地面から水分が蒸発するときや、暖かい海の上など)

2.逆転層が存在すること(逆転層があると、空気はそこで上昇をやめるため、逆転層の下で雲は水平方向に広がっていきます。したがって、雲が平べったくなり、逆転層の上では雲のない状態となります。)

※逆転層とは平常は空気というのは、上空に行けば行くほど温度が下がっていくのですが、逆に下の方が温度が低く、上の方が高くなっている状態のことです。前線や下降気流が起きているところ、冷え込んだ朝の地面付近などに見られることがあります。

さて、この日の天気図をまず確認しましょう。

 

朝6時の段階で関東沿岸に低気圧があり、私がいた高峰高原では低気圧の西側に入っています。一方で日本海西部には別の低気圧が残っています。つまり、低気圧は抜けたものの、高気圧がすぐに来る訳ではなく、ややはっきりとしない気圧配置であると言えます。こういうときは、雲を見ると空気の状態がわかります。

上の写真は、天気図と同じ朝6時頃の状況です。それまでは一面の霧でしたが、この時間に霧が晴れてきました。それでも、左手に見える山の斜面に沿って雲が湧きたっています。これは雪はあがったものの、まだ空気はかなり湿っており、その湿った空気が山の斜面に沿って上昇していることでできている雲です(写真中矢印)。一方で、写真右手奥に見える平野部(佐久平)には高度の低い雲が見えています。これが雲海です。赤い線が雲の上端で、つまりここに逆転層があります。その上は雲がなく、低気圧の後ろ側の乾いた空気が入ってきていることがわかります。

しばらくすると、雲海が2段に分かれてきました。下の方の雲海は前日の雪や雨が地面から蒸発して冷やされてできたものです。一方で、上の方の雲は低気圧に伴う湿った空気がまだ残っていることで発生している雲です。

時間が経つと、さらに二段の雲海が綺麗に分かれていきました。赤色の線は、雲海の上端で逆転層があります。これはその前の写真と変わりません。一方で、緑の線から奥側の雲海は、一段高く、手(西側)の方から低気圧の後ろ側の乾いた空気が入ってきたものの、低い山が連なっているため、乾いた空気はそこを越えられず、湿った空気が残ってしまったためにできている雲と思われます。

ちょっと難しい話になりましたね。実は、私にもよくわかりません(笑)。上空の空気の状態を観測した訳ではありませんので。ただ、雲の動きや流れ、逆転層の存在、地形などを頭に入れてイメージした結果の推測です。

見えない空気を読むのはとても難しいですが、少しでもわかってくると、空気の状態が読めることもあります。

※天気図は気象庁提供

※図、文章の無断転載、転用、複写は禁じる。

文責:猪熊隆之

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今朝の八ヶ岳、甲斐駒

2015-04-03 07:41:37 | 日記

今朝は雨ですが、北八ヶ岳の稜線では晴れているようで、南八ヶ岳の稜線でも朝のうちまで晴れていた感じです。

山麓の事務所(910m)では7時現在6℃、最低気温は平年より6℃程高めです。

7時現在、河口湖の上空2kmでは20m/s、熊谷の上空2kmでは14m/sの風が吹いており、南西風が強まっています。

 

●八ヶ岳山荘(1502m) 7時現在 9℃ くもり

今朝の最低気温 -2℃ 昨日の最高気温 14℃

 
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