いよいよ60回目です。ここまでお付き合いいただいた皆様、ありがとうございます。
さて、今日は関東地方や東北地方の太平洋側で天気がくずつきました。その理由を天気図から見ていきましょう。
今日、関東地方の天気をぐずつかせた犯人は東海上の高気圧です。えっ?高気圧って天気いいんじゃないの?と思われる方は、山岳気象大全(山と渓谷社)の第3章、4章を読みましょう(笑)。高気圧は中心から風が吹き出しており、東海上の高気圧からの湿った北東風が吹き付けてくるからです。この湿った北東風を「北東気流」と呼びます。北東気流によってできた雲は関東平野を多い、関東山地を越えると、消えていきます。
上は、今日15時のアメダスの気温です。関東平野は12~13℃前後の肌寒い陽気になっているのに対し、長野県中、南部では20℃を越える暖かさとなっています。その間に関東山地があります。通常の北東気流は笹子トンネル付近から関東山地(紺色の破線)でせき止められますが、今回は勢いが強く、関東山地の低い部分を越えて、八ヶ岳付近(赤線)に達しています。気温の差は北東気流の影響を受けているところと、受けていないところの差になります。
下の写真は北東気流の限界点を捉えたものです。
赤い部分が東側から入ってきた北東気流に伴う低い雲で、これが南アルプス最北部の入笠山から八ヶ岳東面に這い上がってきています。そして、それより手前側では下降気流となって雲は消えています。
北東気流のときは、西へ西へ山を越えていくと、天気が良くなります。あるいは雲が低いので、高い山に登れば、雲海の上で晴れています。このような気圧配置のときは、関東平野を脱出して西へむかいましょう。ただし、南岸沿いに前線や低気圧があるときは、西側でも天気が崩れることがあるのでご注意を。
※天気図、アメダスは気象庁提供
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文責:猪熊隆之