雲から山の天気を学ぼう(第8回)
天気が崩れていくときの雲partⅡ
低気圧の南側と寒冷前線編
前回は、低気圧が目的の山の南側を進んでいるとき(低気圧の南側に入るとき)、または温暖前線が接近しているときに現れる雲について学びました。今回は低気圧が目的の山の北側を進んでいるときに現れる雲について見ていきます。
低気圧と天気分布(山岳気象大全 猪熊隆之著:山と渓谷社より)
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低気圧の南側に入るときは、温暖前線が北を素通りして、寒冷前線が通過することが多くなります。
下の図をご覧ください。これは上の図におけるC-Dの断面図です。寒冷前線は温かい空気が元々あったところに、冷たい空気がやってくることで、その境界にできます。
寒冷前線の構造(山岳気象大全 猪熊隆之著:山と渓谷社より)
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温かい空気は軽く、冷たい空気は重いので、冷たい空気は温かい空気の下にもぐりこんでいき、温かい空気は強制的に持ち上げられます。
温かい空気が持ち上げられたところで雲は発生します。温暖前線と異なり、緩やかに持ち上げられるのではなく、冷たい空気にもぐりこまれた温かい空気が驚いて急激に上昇していきますので、雲は上方へ発達していき、前線付近では積乱雲が形成されます。
寒冷前線に伴う雲。冷たい空気が温かい空気にもぐりこんでいき、上昇させられた空気が雲を作る。
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寒冷前線が接近するときの典型的な雲の変化は以下の通りです。
① 雨巻雲(あめけんうん)→②巻積雲(うろこ雲)、またはレンズ雲→③高層雲(こうそううん=湿った空気が入るとき)または④山にかかる厚い雲(=比較的空気が乾いているとき)→⑤積乱雲(せきらんうん)
それでは、実際に低気圧の南側に入るときや、が近づいていくときの雲の変化を見ていきましょう。
① 雨巻雲
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昇り竜のような巻雲が現れています。雲が毛羽立っているときは、上空の風が強い証拠です。
② レンズ雲
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日本海を低気圧が通過するとき(低気圧の南側に入るとき)、凸レンズのような変わった雲が現れます。上空で風が強まっている証拠で、このような雲が現れると、山では強風になります。
③ 高層雲(こうそううん・おぼろ雲)
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温かく湿った空気が入ってくるときは、空全体を雲が覆います。このとき、レンズ雲が見られることもあります。
④ 山にかかる厚い雲(積雲または層積雲)
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山にこのような雲がかかったときは、上空に強い寒気が入っているか、寒冷前線が接近している証拠です。この状態では、既に山は荒れた天気となっています。
⑤ 積乱雲(せきらんうん・入道雲)
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寒冷前線が接近するときは、積乱雲が接近します。ここまで雲が接近したら、もう手遅れ?
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積乱雲の雲列が接近する福岡市。このような雲が見られたらすぐに安全地帯に避難を。
なお、寒冷前線が通過した後、太平洋側の山岳では天気が回復しますが、日本海側の山岳では、大荒れの天気になることがあり、注意が必要です。また、前線通過後、一旦天気が回復してから大荒れの天気になることもあります。そのようなとき、④のような雲が山にかかるので、覚えておきましょう。
文、写真:猪熊隆之(株式会社ヤマテン)
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