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雲から山の天気を学ぼう(第9回)

2017-02-06 18:42:47 | 観天望気

雲から山の天気を学ぼう(第9回)

天気が崩れるときに現れる雲partⅢ

 

今回は、天気が崩れるときに、山に現れる雲を紹介します。平地では天気が良くても、山には雲がかかっていることがあります。雲は空気中の水蒸気が上昇して冷やされることでできますが、平地では上昇気流が起きないときでも、山では風が吹くと、簡単に上昇気流が起きるからです。

 

図1 平地と山で天気が違う理由

上図のように、風が吹くことによって山では簡単に上昇気流が起きます。山に現れる雲の中で、笠雲と呼ばれる雲があります。山頂部分に傘のようにかかる雲のことです。この雲は風がある程度強く、水蒸気の量が多い(空気が湿っている)ときに現れます。湿った空気が風によって山にぶつかり、上昇して雲が発生するのです。

 

写真1 富士山にかかる笠雲

 写真:「絶景くん」http://www.vill.yamanakako.yamanashi.jp/zekkei/より

 

昔からよく、「富士山に笠雲がかかると雨」と言われてきました。富士山だけでなく、利尻山や羊蹄山など独立峰では良く見られる雲です。富士山では笠雲がかかると、8割程度の確率で天気が崩れるようです。ですから、このことわざはある程度、当たっていると言えますが、笠雲がかかっても2割程度は天気が崩れないということでもあります。「晴れ笠雲」と「雨笠雲」はどのようにして見分けたら良いでしょうか?

 

①    雨笠雲

写真2のように、笠雲が富士山の山頂だけでなく、中腹付近からかかり、濃密な場合はほとんどが雨笠雲です。また、写真3のように、笠雲が現れたときに、富士山の山麓に低い雲が現れるときも天気が崩れることが多くなります。また、笠雲が二重になっている場合も雨笠雲になることが多いようです。

 

写真2 雨笠雲に覆われた富士山

写真3 雨笠雲がかかりつつある富士山

②    晴れ笠雲

上の写真のように、時間とともに傘雲が小さくなったり、雲の量が減っていくときは、晴れ傘雲であることがほとんどです。

雲がかかっているときは、雲の量や厚みを観察して、「雨傘雲」か「晴れ傘雲」かを判別してみましょう。

 

 

文、写真:猪熊隆之(株式会社ヤマテン)

※図、写真、文章の無断転載、転用、複写は禁じる。

 

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