<2022年5月26日に書いた以下の記事を復刻します>
アメリカのバイデン大統領が日本訪問を終えて帰国する直前に、テキサス州の小学校で銃の乱射事件が起き、児童19人と教師2人が死亡した。犯人は18歳の男子高校生でその場で射殺されたというが、まことに痛ましい事件である。
バイデン大統領もすぐに「もううんざりだ」と述べ、銃規制の強化を急ぐ考えを表明した。しかし、アメリカでは果たして銃規制がスムーズに進むだろうか。大いに疑問である。
なぜなら、アメリカの憲法は『権利章典』で「人民が武器を保有し、また携帯する権利を侵してはならない」という条文(修正第2条)があり、これはアメリカ市民の基本的人権に関する最も重要なものだからだ。
また、アメリカは完全に“銃社会”であり、「全米ライフル協会」とか、もっと強硬な「米国銃所有者協会」などの大きな圧力団体があり、銃の規制に猛反対している。 そして、約3億丁の銃が一般に広く行き渡り、年間に4万人が銃で命を落としていると言われる。
日本人にはまったく考えられないことだが、これがアメリカの現実なのだ。ここで素人の私が、銃規制のことをとやかく言うつもりはない。それはアメリカ人が考えれば良いことで、私には関係がない。
ただ一つ、部外者の私としては将来のことを心配して言いたいことがある。それはアメリカが巨大な“移民国”で多くの人種を抱え、自由と多様性に恵まれているからこそ、このまま銃規制が進まなければかえって心配なのだ。
アメリカは世界一の軍事超大国だから、他国から侵略されるようなことはまずあり得ない。むしろ、他国を制圧していくだろう。 しかし、国内では人種対立や分断、格差の拡大などが憂慮される。
50年後、100年後はどうなるかもちろん分からないが、外的な要因よりも内的な要因で混乱する恐れがある。むろん、あの「南北戦争」などは起こらないとしても、移民や人種、格差や宗教などを引き金にして、国内が混乱する可能性は大いにあり得ると思う。
勝手な推測をまじえ大風呂敷を広げてしまったが、今回の、いや相次ぐ銃乱射事件を踏まえ、私が憂慮すべきことを述べてしまった。アメリカが将来も健全な大国であり、世界を真にリードする国であることを願おう。 (2022年5月26日)