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『日本会議』・日本の右傾化、戦前回帰の危険な流れか?

2024年09月04日 05時36分31秒 | 政治・外交・防衛

<2017年3月27日に書いた以下の記事を復刻します。>

1) 森友学園疑惑はもちろん重大な問題だが、われわれは最近の日本の動きを真剣に検証してみる必要があるのではないか。かく言う私も現象面にとらわれ過ぎて、根本的な問題をおろそかにしているのではと反省している。
それは森友疑惑で露見したと言ってよいが、最近の日本は明らかに“右傾化”している。これは森友学園の問題だけでなく、その背後に大きな流れが起きているからだろう。端的に言うと、それは「日本会議(にっぽんかいぎ)」の存在が象徴的なものだと思う。
不勉強な私は日本会議のことをほとんど知らなかったし、またその名称を聞いても無視していた。ところが森友問題が発生し、その関連でジャーナリストの菅野完(たもつ)氏や青木理(おさむ)氏の話を聞き、にわかに日本会議の重要性に気がついたのである。

くわしいことは両氏の著作やVTRに任せるとして、日本会議は今や日本の“右翼”の牙城だと言ってよいだろう。その組織は複雑だが、1997年の創立以来、地道で着実な活動と努力によって、今や巨大な勢力に成長したのである。
ちなみに“左翼”には、そのような運動や成果はあまり生まれていないようだ(右翼に比べて左翼は劣っているということか?)。 しかし、そんな問題ではなく、全ての国会議員の約4割(280人ぐらいか)が、また、自民党の240人を超える議員がこの組織のメンバーだとは驚くべきことだ。もちろん(確かな人数は分からないが)、地方議員も多数いるそうだ。
また、安倍内閣の閣僚の7~8割は日本会議のメンバーだという。安部首相や麻生副総理はもちろんそうだ。こうして見ると、日本会議が今の国政や地方政治に大きな影響力を持っているのは間違いない。ちなみに、この組織の会員は3万8000人ぐらいだと言われる。

2) 日本会議は「反左翼、反リベラル、反日教組」などを唱えて勢力を伸ばしてきたようだ。その正体は民族派、国権派、国家主義者だろうが、最近では、国旗国歌法の成立や教育基本法の改正などに寄与してきたと言えよう。また、今は「天皇元首化」を核とする憲法改正運動に全力を挙げている。
菅野氏や青木氏の話では、彼らはかつての左翼運動から大いに学んだそうだ。つまり、地道な署名活動やカンパ、シンポジウムなどを通じて、大衆への呼びかけに努力してきたのだ。今は憲法改正の1000万人署名運動を繰り広げている。左翼の活動がややもすると停滞する中で、右派の日本会議の活動は着実に根を張っているのだ。
ところで、彼らは自由や人権を軽んじる傾向が強い。戦後民主主義の中で、われわれは人権や自由の尊さを学んできた。しかし、彼らはやたらに自由や人権、権利を主張する人たちを嫌っているという。そこから反左翼、反日教組の運動が広がったのだろう。

以上、概括的に日本会議とそのシンパの人たちを論じてきたが、その勢力が拡大する中で、日本は明らかに“右傾化”してきたと言える。それは教科書問題や歴史認識などで顕著になっているのではないか。私はそれが良いとは思えない。なにか、戦後民主主義が崩壊していくような気がするのだ。

3) 安部首相は以前、「日本を取り戻す」とよく発言していた。取り戻すとは、いったん失ったものを再び自分のものにするという意味だ。簡単に言えば「元に戻す」ということで、これは復古主義や『反動』にも結びつく言葉である。安部内閣が全てを元に戻そうとしているわけではないが、戦前回帰の方向性が垣間見えるのである。
例えば、森友学園もそうだが、幼稚園児に「教育勅語」を暗唱させるなどはその好例である。これは日本会議が最も力を入れているようだが、民主主義の時代に教育勅語の暗唱がふさわしいのだろうか。まったくナンセンスだ!
教育勅語とは、戦前の天皇制国家の場合に臣民=国民に対して忠君愛国の道徳を基本に据え、「一旦緩󠄁急󠄁アレハ義勇󠄁 公󠄁ニ奉シ」と、いわば天皇に命を捧げろと教えているのだ。このため「天皇陛下 万歳!」と叫んで、戦場の露と消えた同胞は数知れなかった。

これは戦後の民主主義とはまったく相容れないもので、こんなものを復活させようというのは時代錯誤もはなはだしい。また、父母に孝行とか兄弟仲良くなどはもちろん良いが、家族が間違っていたり非行に走った場合はどうするのか。ただ孝行とか仲良くするだけでは済まない。そこをどうするか考えるのが、本当の“教育”の課題になるはずだ。
教育とは自主・自立の精神を養い、個々人がどう成長するかにかかっていると思う。鋳型にはめ込むような教育では、その人の人間性が成長するとは思えない。父母や兄弟、夫婦などの愛は当たり前のことではないか! いちいち言われなくても分かる。教育勅語については述べたいことが多々あるが、また別の機会にしよう。
話が長くなるのでそろそろ結論にするが、日本会議を中心とした復古主義、戦前回帰の思想は断じて認められない。われわれは戦後の民主主義の上に立って、さらにそれを発展、強化していくべきだと考える。(2017年3月27日)


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