スペイン・マドリードで行われている「ムトゥア・マドリッド・オープン」(ATP1000/367万1405ユーロ/クレーコート)の男子シングルス準々決勝で、錦織圭(日清食品)がフェリシアーノ・ロペス(スペイン)に6-4 6-4で勝ってベスト4進出を決め、さらに次週のランキングでのトップ10入りを確実にした。
錦織はベスト8の時点で、次週のランキングが2440ポイントとなっていたが、ベスト4進出の時点で11位のリシャール・ガスケ(フランス)の2535ポイントを抜き、さらに2620ポイントとして、10位のジョン・イズナー(アメリカ)の2600ポイントを抜いて10位となる見込みだ。
また、決勝に進出すると2860ポイントとなり、9位につけるミロシュ・ラオニッチ(カナダ)も抜いて9位となる。優勝すれば3260ポイントとなるが、8位のアンディ・マレー(イギリス)が3950ポイントを持っているため、今大会の時点ではこれ以上には上がらない。
次週のローマの大会で錦織が守るポイントは45ポイント。昨年は2回戦で敗退しているので3回戦以上に進めば加算ポイントがあるが、ランキング上昇に関して直接のターゲットとなるマレーや、フアン マルティン・デル ポトロ(アルゼンチン)、トマーシュ・ベルディヒ(チェコ)などの上位勢も守るポイントがさほど多くないため(ベルディヒはローマを1回戦敗退だと350ポイントを失うが、それでも4250ポイント残るため、錦織はローマでも優勝しなければならない)、トップ8以上に入るには全仏オープンも含めてかなりの試合で勝ち続ける必要がある。
だが、ラファエル・ナダル(スペイン)とノバク・ジョコビッチ(セルビア)の上位2名はほぼ別格としても、3位以下は混戦状態だ。
復調著しいロジャー・フェデラー(スイス/4位)や全豪オープンの覇者スタニスラス・バブリンカ(スイス/3位)はともに今季好調を維持している。フェデラーは昨年、得意のウィンブルドンで早期敗退している分だけ、今季はポイントの上積みが期待できる状況にある。
一方で、ツアーを離脱しているデルポトロ(7位)はしばらくポイントを失うばかりだ。また、昨年の全仏オープンは欠場していたため今季は加算要素だけだが、昨年のウィンブルドンで優勝するなどしたマレー(8位)はケガから復帰も不調が続いており、この先の数ヵ月は守るポイントが多くなる。錦織にとっては追い風と言えなくもない。
何より、今季の男子ツアーは 〈 波乱の雰囲気 〉 に満ちている。こういうムードによる影響は馬鹿にできないもので、選手たちのメンタルを後押ししたり、逆に追いつめたりするのだ。
テニス界には「10年周期での変動」があるとよく言われるが、10年前の2004年と言えば、男子は全仏オープンでノーシードからガストン・ガウディオ(アルゼンチン)が優勝した年であり、フェデラーが完全にツアーに君臨したと見なされる最初の年だ。
それまでのテニス界を支えてきたアンドレ・アガシ(アメリカ)の世代の選手たちが次々と引退したり、グスタボ・クエルテン(ブラジル)などのベテランたちがペースダウンする一方で、「ニューボールズ世代」と呼ばれる若い選手たちに、完全にツアーの主役が入れ替わった。
それまでツアーに君臨していた上位選手の支配力が弱まれば、当然、頂点を伺う選手たちのメンタルは上がる。
テニスでは「自信」が非常に重要な要素を持つと言われるが、大きな試合に勝つことで選手たちはさらに強さを増していく。錦織もまた、その流れの中でトップの座を狙う数人の選手たちの一人と言っていい。
錦織の強さの中でもっとも際立っているのは、リターンゲームでの勝率だ。今季、錦織がここまでで記録している36%という数字は、リターンゲームにおいて、283ゲームで103ゲームに勝利していることを指す。
この確率はそのまま「サービスブレーク率」と言える数字で、錦織はツアーで2番目の数字を叩き出している。すなわち、マレーやナダルよりも高い確率で相手のサービスゲームを破っているということになるのだ。
男子のテニスではサービスゲームのキープは勝利のための前提条件とされ、上位選手たちは80%以上の確率でサービスゲームをキープしている。ところが、そういう選手たちにとって錦織が相手となれば、前提となる数字が計算しにくくなるのだ。
すなわち、錦織の対戦相手たちは常にプレッシャーを強いられた中でプレーしなければいけない。
その一方で、錦織の課題として長く言われ続けているのがサービスだが、今季のサービスキープ率を見てみると82%。この部門でのランキングで言えば、自身の世界ランキングよりも低い21位となる。ただし82%のキープ率というのは、マレーやガスケ、あるいはサービスを得意とするロペスなどと同水準であり、ことさら課題と呼ばなければならないようなレベルを脱しているということも、今の好調の理由だろう。
また、準々決勝のロペス戦でも顕著だったが、相手の攻撃に対してスピードをコントロールしてボールに追いつき、次に深いボールを打って不利な状況をイーブンに戻し、そして反撃につなげるという戦い方が錦織にはできる。
自分に主導権があるときのラリーでは、フォア、バックの両翼で自由自在にコースを打ち分けて相手を振り回し、オープンスペースをこじ開けたり、予測を外してミスを強いるプレーができるのも錦織だ。
ナダルは以前、「テニスでもっとも難しいことを簡単にやってのけている」と錦織について話したことがある。ナダルの言葉通り、これらのプレーをトップレベルの試合で当たり前に駆使している選手はそう多くはないのだ。
ジョコビッチやフェデラー、好調時のマレーなどと同じ質のテニスを今の錦織はやっていると言っていい。錦織に故障が付き纏うのは、それだけ彼が自分の肉体を使いきってプレーしているからで、それが今の結果を生んでいる。そして、それが錦織が並の選手ではないことを証明している。
錦織の準決勝の相手はダビド・フェレール(スペイン)だ。2人の過去の対戦成績は3勝3敗のイーブンで、今回の対戦は今季2度目、通算では7度目となる。前回の対戦は3月のソニー・オープン(ハードコート)4回戦で、そのときは錦織が7-6(7) 2-6 7-6(9)で勝っている。
【ムトゥア・マドリッド・オープン準決勝】※ [ ] 数字はシード順位
ラファエル・ナダル(スペイン)[1] vs ロベルト・バウティスタ アグート(スペイン)
錦織圭(日清食品)[10] vs ダビド・フェレール(スペイン)[5]
【錦織圭 vs フェレールの対戦成績】
2014年マイアミ(ハードコート)4回戦(ハードコート)
○錦織圭 7-6(7) 2-6 7-6(9) ●ダビド・フェレール(スペイン)
2013年マイアミ(ハードコート)4回戦
●錦織圭 4-6 2-6 ○ダビド・フェレール(スペイン)
2013年全豪(ハードコート)4回戦
●錦織圭 2-6 1-6 4-6 ○ダビド・フェレール(スペイン)
2012年ロンドン五輪(芝コート)3回戦
○錦織圭 6-0 3-6 6-4 ●ダビド・フェレール(スペイン)
2011年東京(楽天ジャパン・オープン/ハードコート)1回戦
●錦織圭 4-6 3-6 ○ダビド・フェレール(スペイン)
2008年全米3回戦(ハードコート)
○錦織圭 6-4 6-4 3-6 2-6 7-5 ●ダビド・フェレール(スペイン)
【世界ランキング】※5月5日現在
順位 名前(国籍) ポイント
1位 ラファエル・ナダル(スペイン) 12900
2位 ノバク・ジョコビッチ(セルビア) 11040
3位 スタニスラス・バブリンカ(スイス) 6375
4位 ロジャー・フェデラー(スイス) 5805
5位 ダビド・フェレール(スペイン) 4850
6位 トマーシュ・ベルディヒ(チェコ) 4780
7位 フアン マルティン・デル ポトロ(アルゼンチン) 4215
8位 アンディ・マレー(イギリス) 4040
9位 ミロシュ・ラオニッチ(カナダ) 2580
10位 ジョン・イズナー(アメリカ) 2555
11位 リシャール・ガスケ(フランス)2545
12位 錦織圭(日本/日清食品) 2440
※引用しました。
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