今季、レギュラーシーズンで15勝を挙げ、パ・リーグの新人王を獲得した楽天の則本昴大投手(22)。日本シリーズでも先発、救援とフル回転した右腕には、同僚であるエースの田中将大投手(25)も一目置く、若き逸材だ。1年目の今季、則本はある試合での「登板」をきっかけに、プロで生き抜く術を感じ取ったという。自身の転換点となった「登板」から、右腕は何を学んだのか-。(浅野英介)
■原点は「腕を振ること」
則本にとって転換点となった登板が、7月6日のソフトバンク戦(ヤフオクドーム)での中継ぎ登板だった。この試合では三回途中から2番手として登板。3回1/3を無失点で乗り切る好救援で、チームに勝利をもたらした。
この登板には、実は「伏線」があった。前日5日のソフトバンク戦で先発した則本は、1回4失点で早々にノックアウト。わずか27球での降板は、ルーキーにとって手痛い洗礼だった。
しかし、6日の試合では、予期せぬ事態が待っていた。投手コーチから「出番があるつもりでいろ」と命じられ、ブルペン待機に。汚名返上の機会をすぐに与えるという、星野仙一監督の粋な計らいでもあった。則本は当時の心境をこう振り返る。
「(ノックアウトとなった試合では)コントロールを意識しすぎて、腕を振り切るということを忘れていた。(6日の登板で)腕を振り抜くことを確認することができた」
力感あふれる投球こそが、150キロ超の直球を武器にする、則本の生命線。連投にもかかわらず、この試合で原点に立ち戻ることができた22歳は、田中とともに楽天投手陣の屋台骨を担う存在となっていった。
■田中も太鼓判
「(則本は)ルーキーの選手かと疑うほどの投手。則本がいなければ、リーグ優勝、日本一もなかった。本当にすごい奴ですよ」
チームの絶対的なエースである田中も認める、新人離れした存在感。新人王のタイトルも、今季の成績からすれば必然の結果だった。
その則本にも、実は「苦手」にしていることがあるという。
「投げることより、取材を受ける方が緊張します」
今季の活躍に、今オフは取材依頼が殺到し、表彰式にも引っ張りだこ。注目されることには戸惑いを感じているようだが、裏を返せば、注目度の高さは第一線で活躍するプロ野球選手の「バロメーター」でもある。名実ともに一流選手となる資質は、22歳には十分に秘められている。
※引用しました。
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