はーぴー日記

イラストレーター&デザイナーはらだゆきこの日記です。

堀内さんのてがみ

2009-07-13 00:49:48 | Weblog



週末、世田谷文学館へ「堀内誠一 旅と絵本とデザインと」展
を見に行く。

堀内さんはわたしにとって大変でっかい存在である。
なんといっても印象深いのは、わたしがイラストレーターになるぞー!と
遅~い決心をして、パレットクラブというアフタースクールに通っていた時
一番最初の授業で配られたのが、堀内さんの手紙だったからだ。

その最初の授業は、堀内さんの盟友ともいえるADの新谷雅弘さんが担当されていて、
手紙は、若いイラストレーター志望の人からの手紙の返事として、
亡くなる直前に書かれたものだった。

新谷さんが原稿用紙に書き写した(新谷さんの書き文字はとってもウマイ)
その手紙は、10年経ったいまでも、すぐ読める場所に置いてある。
(やっぱり、こういうときは「紙」で残ってることがとても大事だと思う。
10年前のPC内のテキストなんて読めない。)



※蛍光ペンとか丸してるのは当時の私の筆。

とても長いのでここに書き写すことはできないけど、
14才で伊勢丹宣伝部に入社してるくらいなのに、
「イラストレーターとして認められたというかそれで
食べられたの初めの体験は44才のとき」言い、
「乗物を描かねばならないときはそれを、
昆虫を正確に描かねばならないときはそれを、と頼まれれば何でもやりました。
何でもやってくれる、早くて、ウマくて、安いという吉野屋のような感じで、
急ぐ時や、予算のない時に小生の名前を思い出す人が幾人かいてここまでやってきた。」
という調子で、有名になるにはと世渡りとか個性とは、
なんて話はどこにもでてこない。

そして最期にあったこの言葉は当時の私には強く響いた。
「ほんとうにいい絵は、静かで落ち着いていて、
しかもなまじオドロオドロした絵より強いものです。」

まぁ、とにかくこの手紙は私が非常に影響を受けたものなのです。

さて、長くなるので展示については箇条書きで。

・ポパイ、アンアン、オリーブ、ブルータス、エッセ、たくさんのふしぎ…
 どの雑誌のロゴも全く古びる様子がない。
 はじめから本当に新鮮なものはいつまでも新鮮。すごい。
・堀内さんのお父さんのセルフポートレイトがかっこよすぎる。
・絵本の原画もたくさんある!
・堀内さんが装丁した「マドモアゼル・ルゥルゥ」もあった(欲しい!!)!
・堀内さんが書いた印刷の指定紙や色校の赤が見れたのもデザイナー的には
 すごく興味深い(当たり前だけど昔は全部指定で入れてたんだよな…)。
・地図、すごい。イラスト内の書き文字の極小さにびびる。
 小さいのにすごく読みやすい。


と、じっくり驚嘆しながら展示を見ていたら
なんと、生徒をつれた新谷さんがいるではないか。
しかし、もう10年も前のことだしなぁ…と気後れして
声をかけられなかった。

新谷さんがくれた堀内さんの手紙、
いまでも大事にしてますって言えばよかったなぁ。。。

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