NPOワークスみらい高知PRESS

「NPOワークスみらい高知」の日々の活動のほか独自の視点で障害のある人を取り巻くことについて伝えていきます。

社会保障と成長戦略

2013-06-30 23:07:22 | Weblog
今月は、政府与党の代議士お二人とお話させていただく機会を得た。我田引水の陳情など不要なので、身を切ることも含めこの国の障害者就労支援事業の功罪についてお伝えするとともに、良質な就労支援事業が経済成長につながることを説明させていただき、成長戦略に加えていただくご検討をお願いした。概要は、とかく経済負担を伴う社会保障を支えるために経済成長が必要との認識だが、就労支援事業に関して言えば、取り組み方一つでそれ自体が経済効果を生み出すということだ。13,000円程度の工賃を障害者に渡すためにかけられる社会的コストはその10倍の130,000円以上。その工賃では到底生活できないから障害年金を受給。それでも足りないので生活保護を受給。社会保障の4本の柱のうち、公衆衛生を除く社会福祉、社会保険、公的扶助を投入してなんとか障害のある人の最低限度の生活を支えている。それでも生きがいのある暮らしであるなら意味もあるだろうが、実際は社会的弱者としての自己認識で背中を丸めながら暮らす日々。これでは本当の自立には程遠いし、何より持続可能なシステムとは言えない。しかし、、、、、(以降は見学者を中心にお伝えしている)
「参考になりました」の儀礼ではなく「それではどうすることが必要か具体的な提案を待っている」と宿題をいただいた。既報の大きな組織で始まる良質な事業100選創りを含め、この国に指標となる、そして経済成長にも寄与する事業を生み出すことに力を注いでいこうと思う。進捗は随時お伝えする予定だが、とても大切なプロジェクトなのでさわりしかお伝えできないことをご容赦願いたい。

ありえないをありえるように

2013-06-27 12:44:20 | Weblog
昨日、会議である利用者の方の話となりました。コミュニケーションのままならない自閉症のAさん。豊かな無表情という矛盾した表現がぴったりの存在で場を和ませながらアートゾーン藁工倉庫内で働いています。スタッフによると定められた勤務日にはきちんと出勤しているとのことでうれしく思いました。一昨年のオープンの日、彼のお父さんに「うちの子がまさか美術館で働くことができるとは思わなかった」とお話しいただいたその時、「1億5千万円もかかったけれどやってよかった」と一気に不安が希望に変ったことを覚えています。たしかに“普通”のパターンだと彼程度の障害の場合、何か危険のない軽作業で低工賃、しかなかったのだと思います。しかし、それは過去の常識となるように新たな時代の“普通”を創り出していくことが事業者に求められることだと思います。京都や神戸、石川や愛知、栃木にそんな今までの常識を覆した事業が現れ始めています。さらに100を目指しそんな事業所を全国各地に創り出そうという計画がある大きな組織を母体に動き出そうとしています。ありえないのではなくありえないと思っていただけです。少し常識外れになってみれば、視界が開け、ありえるようになってきます。

「動かず」に「動け」はないと思う

2013-06-22 00:05:31 | Weblog
「これこれこんな問題があるから行政は対応すべき」今日久々にそんなやりとりをして改めて思った事。やはりそのことに気が付いた人が動いて(自助)仲間が現れて(共助)施策が生まれる(公助)のだと思う。「やるべき」だなんて行政のせいにしたって何も生まれないし、誰も成長しない。「その問題の当事者は精一杯なので、、、」と言うけれど、誰もがそれは同じことだと思う。精一杯に生きている中で、本当に必要な大切なことに対し、どんな難題であっても、泣きそうになりながらでもやりくりして時間作ってがんばるから少しずつ拓けてくるのだと思う。神様があなたになら解決できると思って与えた課題だと思う。課題があることを嘆くのではなく、課題に取り組んでいないことを嘆くべきだと思う。そういう私は、同じ社会にいて、自身に何ら関係のないこの課題であっても知ってしまった者として取り組んでいきたいと思う。社会の問題を自身の課題と考える、それが社会人だと思うから。

若かったなぁ、しかし全く変わっていない

2013-06-17 08:33:17 | Weblog
「批判」絡みのブログをアップしたことで、各ページにアクセスがやたらと伸びてやや反省しています。アクセスの増えたページにこんなのがありました。2008年のブログです。数字以外、言っていることもやっていることも何も変わっていません。愚直です。再掲しますので、ご覧くださいませ。


2008-05-31 12:30:06 | Weblog

コメント欄に、「利用者扱いがひどいようですが、どうなんですか?」とネットの匿名性に隠れ名を明かさないままのご質問をいただきました。
新しい発想による事業展開が、既存の障害者福祉に反発を抱かせているようで、様々な怪情報が飛び交う度に注目度を感じますが、このコメントと同様、正面から向かってくるものはなく、やりとりする気になりません。
ご指摘の“ひどい”扱いが何を指すのかはわかりませんが、「働く」ということは、デイサービスでお遊戯することではありませんから、無断欠勤をするとか、遅刻を繰り返すとか、障害が理由ではない人としての働く基本に問題があれば、当然厳しく対応する場面もあります。今までの障害者施設では、「障害があるから仕方ない」と甘やかされていたのかもしれませんが、当事業所が、一般の職場のレベルで社会に存在することを目指している以上、障害者としての甘えは許されません。車椅子の利用者に「立って働きなさい」とか、知的の障害のある人に「レジ計算くらいできるでしょ」とか、精神の障害のある人に「妄想なんか忘れなさい」などという無理難題を指示指導しているわけではありません。
障害者に限らず、働く全ての人が少なからずその職場に不満を持っているように、それぞれの利用者も大満足して働いているわけではないでしょう。病気の悪化による再入院や、対人関係、事業所への不満を理由とする利用停止(ケースによっては、相談支援センターを核に行政関与もいただき対応)も複数件あります。事業者としての責任を全うするのが責務であることは当然ですが、同時に、すべての人が満足できるほど全知全能ではない、自身ただの人間で聖人君子ではないことも十分覚知しています。残念ながら力及ばず、トラブルや不満で去られる方もあるからこそ、多種多様な事業者選択の機会があるのだと思っています。
そんな新興の事業所ですが、出入りを経ながら、利用者は増え続け、定員66名をオーバーしました。昨日の理事会でも待機者が出る状況に、どう対応するかを検討したばかりです。ひがみ、やっかみに満ちた悪評や妬み、嫉みからの噂もある中、選択してくださる障害者が見せる自信に満ちた労働者としての表情は一つの回答だと思っています。全知全能でなくとも、ただ愚直に、働くに足りる職場であるよう、精一杯努力して行きたいと思っています。
ちなみに、当事業所では、障害者に生涯を内職仕事で過ごさせ、なおかつ時給30円とか100円で、月額8,000円やら10,000円の工賃を渡して我慢してもらう一方、事業者はその支援報酬で悠々一般生活を営むなどという“ひどい”扱いは存在しないことは強くお伝えしておきたいと思います。
なお、利用者からの苦情に関しては、法令上の形式として各事業所備え付けの苦情箱および第三者委員が対応していますが、より実態的な対応として、日常的に相談支援センタースタッフが、表情、態度、言動等を観察し、不満や不安その他の芽についての早期発見、介入に努めています。どこの先生か、職員か、旧知の方かは存じませんが、ご質問は当事業所に直接か担当課まで実名でお寄せくださいますようお願い申し上げます。(ブログ上で、不毛なやりとりはいたしませんので、批判こそ卑屈な匿名性に逃げ隠れせず、真っ向からかかってきてください。対応するに値するものであれば堂々と受けて立ちますので。)

最近、外部に伝えることに意味を感じなくなり、このPRESSにも投稿をしなくなっています(してもとっても短い)。燃え尽きたわけでなく、意欲ますます盛んで、周囲から羽交い絞めされて(笑)展開を止められるくらいなのに。。。
以前「知ってもらいたい。わかってもらいたい」と伝えることに必死だったのは、満足できない日常の心の隙間を誰かに理解してもらうことで埋めようとしていたんだと思います。伝えたいとは思わなくなった今、感じるのは「うまく行かないことも含めて、充実感いっぱいにへとへとにぐったりと毎日を過ごしている自分は、だめでだらしない部分もいっぱいだけど、その生き方好きだな」ということです。

このブログには、一日実人員で200名のアクセス(閲覧数は500を超えます)があります。中には、事業がうまくいかないことを願っていたり、竹村はムカついて仕方がないけど気になって気になってという人がいることはよく知っています。
久々に長々書いてみて、最後になって全て含めて「ま、どうでもいっか」(事業者責任は果たすことは当然として)と心からスッキリ思ってしまいました。動揺しなくてゴメンナサイ。

溜飲は下がりましたか?

2013-06-11 12:08:48 | Weblog
ホームページやブログは詳細に検索分析ができる。そこには時折ネガティブな検索が見つかる。今日も数ヶ月ぶりに「ワークスみらい高知批判」と検索してブログに来た人がいる。実際そのキーワードでの検索結果は0なのだが。(今日そのキーワードを書いたから次回からは1か)前向きに活動している方々を見ていると多かれ少なかれ批判は浴びているもの、甘受しつつそれでも前向きに進んでいる姿に励まされることもしばしばだ。倣って時間の無駄と全く意に介さないが、その都度思うのは自身の努力を怠って妬みに思う相手の粗を探して溜飲を下げる生き方は残念すぎるよなぁ、ということ。ネットは便利だが、時に人間の素性が見えて傷ましい。

「何を言ってるんだか」と「新事業開設」

2013-06-06 07:51:08 | Weblog
活動をしているといろいろな雑音が聞こえてきます。直接的には絶対言って来ない「言ってたよ」レベルなのでさらりと聞き流しですが。その中で「何を言ってるんだか」を一つ。

「働ける障害者しか働かせていない、そんなことではダメだ」平均工賃8,000円のB型事業所より。

「働ける」というその障害のある方々は当事業所に来る以前、「働けない」と低工賃の軽作業を繰り返す日々でした。不満を抱き可能性を求めていわば“脱走”してきた方々です。低工賃の就労支援事業所の多くが「働ける」障害者すら「働かせる」ことができていないのです。そんな事業所の語る正義はまやかし、言い訳、妬み、、、、以外の何物でもないと思うのです。

一方、その課題はその低次元とは異なり抱き続けています。当事業所で働くにはまだまだ時間がかかりそうな方についてはこれまでやむなく他事業所を紹介し低工賃の世界に向かわせることをしてしまっていましたが、2年前基礎訓練から取り組める『就労支援・研修センターみらい』を開設し門戸を広げ一定の成果を上げるようになってきました。しかしそれでもまだまだ不十分です。この夏さらに「まだまだまだまだ」の方だけど、それでも「きちんと未来が開けるよう」支援することを目的に自立訓練センター「未来図miraiz」を開設します。人生を広げる可能性選択の一つとしてご活用いただきたいと思っています。