風韻坊ブログ

アントロポゾフィーから子ども時代の原点へ。

アントロポゾフィー指導原理 (61)

2008-11-10 23:50:01 | アントロポゾフィー指導原理
61.
意志をもつ存在としての人間は、自分の生体にではなく、外界に向かっている。自分が歩こうとするとき、「私の足に何が感じられるか?」と問うことはない。「外界において、私が到達しようと欲している目標はどこにあるのか?」と問うのである。何かを欲することによって、人間は自分の生体を忘れ去る。意志において、人間は自分自身の本性に属してはいない。そこでは、人間は第一ヒエラルキアの霊性領域に属している。(訳・入間カイ)

61. Als Willenswesen wendet sich der Mensch nicht an seinen Organismus, sondern an die Außenwelt. Er frägt nicht, wenn er gehen will, was empfinde ich in meinen Füßen, sondern, was ist dort draußen für ein Ziel, zu dem ich kommen will. Er vergißt seinen Organismus, indem er will. In seinem Willen gehört er seiner Natur nicht an. Er gehört da dem Geist-Reich der ersten Hierarchie an. (Rudolf Steiner)


59項では思考、60項では感性(感情・感覚)に触れてきましたが、
この61項では、
私たちの「意志」について述べています。

意志というのは、
「何かをしたい」という欲求や意欲のことです。
この意志は、
私たちの身体によって実現されるので、
一見、私たちの生体と結びついているように見えますが、
意志そのものを見つめると、
そこでは「からだ」は忘れ去られているというわけです。

この「からだ」を意識せずに、
外界の「目標」に向かうところに、
意志とはどういうものかが現われています。

人間は意志において、
自分自身からも離れ、
ある霊性領域につながっているというのです。
その霊性領域のことを「第一ヒエラルキア」と呼ぶわけですが、
この点については、
これから先の指導原理や
シュタイナー自身が記した文章のなかで説き明かされているので、
まずはそこから見ていくことにしましょう。

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3 コメント

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Unknown (聴心器)
2009-06-01 15:24:17
医学ゼミナールなどで、カイさんの通訳にはいつもお世話になっています。ありがとうございます。アントロポゾフィー指導原理というのを、耳にしたことはありましたが、このHPではじめて見ました。ずいぶんと回が重ねられ、既に61ということですが、1から読むことはできないでしょうか。
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Unknown (聴心器)
2009-07-15 17:30:36
アントロポゾフィー研究所のブログの中に、
指導原理の始めからのページを見つけました。
始めから読みたいと思っていたので、
これから丁寧に読んでみたいと思います。

記事の中に9条のことがありました。

私は5年ほど前に友人たちと「非戦のまちづくり」
という活動をしていました。

私たち一人一人が、人間としてどう生きたいか、
ほかの人や社会とどう関わっていくのか、いけるのか。

9条の問題は、個人としての人間のあり方と
深いかかわりのある問題だと思っていました。

活動しているうちに、外のこととして捉えている問題が
自分の内にも、確実に存在していることに気づき、
私が「私」に取り組むことが、
本当の社会活動に繋がるのだと思うようになりました。

目に見える外向きになりがちな、この手の活動を、
内と外を行き来しながらやっていくには、
私の内はまだまだ貧しい。

外に働きかけて、そこからのお土産(?)がないと
内は豊かにならないし、
内が豊かにならないと、外に向けて花開くこともない。

ついつい、時間に追われたり、
いろんなものに振り回されて過ごしがちですが、
毎日を丁寧に暮らそう、と思いました。









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こんばんは (Dariahrose)
2010-04-25 22:25:04
やっと、先生のアントロポゾフィ-指導原理を読み終わりました。

もっと続きが読みたいです。先生のお考えなどをお聞かせいただきだいです。
お忙しいのは重々理解しております。
更新をなさったらお教え頂けましたらたら幸いです。
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