goo blog サービス終了のお知らせ 

植物生態学者の見た「自然と山の幸」

刻々と自然は移り変わり,人工の景観が,自然の植生を破壊する。さあ!大変。せめて食べられる野生植物のすべてを次世代へ残そう

コジキイチゴは冬でも目立つ

2007-12-05 13:26:14 | 自然・季節
乞食苺とは,ぱっとしない哀れな名前(和名)ですが,なかなか,
どうして,魅力的な姿で,果実も美味。

茎には,長さ4-5mmの紅褐色の長腺毛と鉤刺があり,羽状複葉
は,ナナカマド属のいくつかの「種」に似ていて,小葉は(5-)
7個,茎の上方には,3小葉の葉ガつく。

集合果は円錐状長楕円形,7月頃つぎつぎに大きくなり,橙黄色
に熟れ,1粒ずつの小核果は,クサイチゴよりも,さらに小さく,
きわめて多数。
生食,ジュース,ゼリー菓子つくりなどに好適。

本州(東海道,近畿地方),四国,九州,南朝鮮-中国,台湾に
分布。暖帯の平地,丘陵地,低山地に稀に見られる。

コジキイチゴは,他のキイチゴのように,サッカー(地下で枝分か
れして,上昇し,地上にでる「根出枝条」)ではなく,おもに種子で
繁殖しているようだ。

今は極端に木の数が少なくなって,絶滅が心配なコジキイチゴに
出逢っても,自然を守るため,絶対に掘り取らないように。
自然は皆のもの,人間ばかりでなく,あらゆる生命によって,共有
されているもの。

今それが,もつとも大切な時期。自然破壊をして,地球をダメ
にすることだけは,誰にも,どんな企業にも,どんな国家にも
許されない,そう胸に刻んで,行動したいですね。

クルマバソウは今,ブナ帯の林床などで,冬を迎えようといている

2007-12-03 10:56:16 | 自然・季節
山地のブナ林などの林床に小群生状にはえるクルマバソウは
アカネ科の多年草。5-7月,茎先に少数または多数の純白
の花を開き,清楚で美しい。
白い花の集まりに近寄ると,かすかにクマリンの香りが漂っ
てくる。

全体にクルマムグラにやや似ているが,クルマバソウの茎葉
は,草を乾燥させても,黒くはならない。
なるべく蕾の頃,きれいな地上部を摘みとり,かげに干して
1-2日萎れさせる。乾くとクマリンのつよい香りがとても
心地いい。

これをネツトで包み,容器に入れ,2倍量のホワイトリカー,
ウオッカなどに漬け,アルコールがあわいレモン色になった
頃,クルマバソウを引き上げる。
すぐにも飲むことができるし,4-5ヵ月後にゴールデン・
イエロー色にかわって,少し辛みのでた頃は,草っぽい香り
がすてき。

花,蕾,茎,葉を,ちらし寿司に飾って食べたり,肉料理に
付け合せて味わったりするのも「おしゃれ」。

北海道,本州の山地,南千島,サハリン,朝鮮,ヨーロツパ
などに分布。寒さには平気,へいき。


島根県・弥栄村(浜田市・弥栄町)の奥まった山中,ある農家の庭先で見た淡紅色のサザンカ

2007-11-01 19:52:18 | 自然・季節
1991年11月25日,浜田市から(当時の)弥栄村へ車を走らせた。
弥栄村の「どうえんぼう」という所へ行きたかったわけで,イメージとは
違って,その「どうえんぼう」は,ダム湖のような畔で,小さい公園化し
ていた。
そこから(細い山道の)どこを,どう通ったか,手許の地図では思い出せ
ない。
八幡高原から,戸河内IC.へ出て,中国自動車道に入ったと記録がある
のみ。
淡紅色一重のサザンカは,かなりの樹齢の小高木で,2本か,あるいは,
3本植えてあった,ように記憶する。
当時,推測したことは(すごい山奥だったし),近くの山に自生していた
ものを見つけて,育てたのではなかろうか? ということだった。

赤トンボ

2007-10-12 21:54:41 | 自然・季節
どんな種類の赤トンボも,深まりゆく秋を,ひしひし感じさせてくれる。赤トンボが止まっている草は,たぶんご存知とおもう。
ホームページ「食用野生植物の博物館」(現在30ページ)。
来年春,新装・前面更新予定。
双六(すごろく)スタイルにまとめてあるので,全ページ見終わるまでに,すこし手こずるかも。


ミズアオイと,浅虫温泉「椿館」のこと

2007-09-30 11:38:43 | 自然・季節
ミズアオイは,池,沼,溝,水田にはえる1年草。
地域によっては,絶滅の危険がある。
性状,食用事情など詳細は「食べられる野生植物大事典・新装版」を参照のこと。

耕地整理,リゾート建設などで,ミズアオイの生育できる湿地は,全国で激減している。ミズアオイも,コナギも,このまま自然破壊が進むと,日本の多くの地域で,絶滅するだろう。じつに悲しい。

9月中頃,青森市・浅虫温泉「椿館」のページで,近くにミズアオイの群生が見られるとのこと。美しい光景が展開されていた。

ミズアオイの群生を見たい,ながい間の願いであった。
早速,「椿館」へ電話して,いつ頃まで,花が見られるでしょうか? など情報を教わり,パンフレツトの送付もお願いした。
来年秋には,きっと君に逢いにゆくぞ! ミズアオイくん。

魅力ありそうな「椿館」に泊めてもらって,むつ湾周辺の自然探訪をするぞ,などと今から胸をときめかせている。

「椿館」は,TEL:017-752-3341
ここの宿泊に,ご興味ある方は,検索されてはいかが。 

高山では,タカネナナカマドの果実は終わってしまった頃

2007-09-23 11:35:13 | 自然・季節
この種の仲間は,低山地のナンキンナナカマドと形質が類似している。
亜高山帯で,もつとも美しいのは,ウラジロナナカマド。
渋みなどのため,生食は無理だけれど,ホワイトリカーに漬けて,
リキュールをつくつたり,その中身を引き上げて,ゼリーをつくり,
おいしく食べられる。

ナナカマド類をホワイトリカーなど,アルコールに漬ける場合は
(ふつうは,砂糖を入れるな,と記述しているが)例外的に,ナナカマド
類を漬けるときのみは,はじめから氷砂糖を入れるほうが,いい結果を
期待できる。

ヤマハマナスの実が赤い

2007-09-21 18:48:45 | 自然・季節
ヤマハマナスは,分枝する落葉潅木。果実は球形または卵形。径10-12mm。
北海道にはえ,本州(長野県・菅平など)にも稀にはえ,サハリン,朝鮮北部の高山にも分布。
カラフトイバラとよばれることもある。
こんな小さい果実にも,虫がついていた。

ヤマハマナスは,花料理に利用できる。
果実は小さいので,利用価値は低い。

秋の気配ひしひし,ヒョウモンチョウの仲間が目立つようになつた

2007-08-08 13:17:58 | 自然・季節
黒い実をまばらにつけていた「ミヤマウド」。
ミヤマウドの果実が,ぱらぱらと落下して,ほとんどなくなった頃,こんな蝶たちが姿を見せる。

OOヒョウモン,などと,それぞれに名前がつけられているのだが,シャッターをきってから,仔細に観察しようと,ぐずついているうちに,それは飛び去ってしまった。