天皇賜杯を手に万歳で祝福を受ける白鵬=足立浩史撮影
大相撲九州場所千秋楽(28日・福岡国際センター)――綱の意地と、平幕力士の野望がぶつかった千秋楽。
17度目の優勝を決めた白鵬の声には、喜びより安心感がにじんだ。「やりきった。そんな感じです」
昨年秋場所以来の優勝決定戦は、互いに勝って迎える理想的な展開。豊ノ島も朝からガチガチだったが、負けられない横綱の重圧も相当なものだったろう。勝利の女神がどちらにほほえんでもおかしくない中、場慣れした白鵬が相手をうまくさばいた。豊ノ島にもろ差しを許さず、右腕にしがみついてきた相手の腕を逆に抱え込むと、瞬時に左でまわしを取って後ろ向きにした。うまさ、速さには三役経験がある技巧派力士も、脱帽するしかない。最後は、羽交い締めの状態から軽々と投げ捨てた。
双葉山の69連勝を超える夢はついえたが、その後も崩れなかった。宮城野部屋の熊ヶ谷親方(元幕内竹葉山)によると、連勝が止まった2日目から数日間は「疲れた」などとこぼしたという。横綱も「早い段階の黒星だから立ち直ることができた。体と心が一つになるのに何日間か、かかった」と打ち明ける。
その後は、父のムンフバトさんがモンゴル相撲で樹立した5連覇に並ぶことや、自身の年間86勝を目標に気持ちをつないだ。
野球賭博問題などで揺れた1年。放駒理事長(元大関魁傑)は稀勢の里らの名前を挙げ、「上を目指す力士が出てきたのは納めの場所にふさわしい」と来年の土俵に期待。激動の年を締めくくった白鵬にも、若手が近づく足音は聞こえただろうか。(向井太)
(2010年11月28日20時43分
読売新聞)
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