公的年金は金額だけでなく、いつからもらえるかも重要だ。通常は65歳だが、社会保険労務士の東海林正昭さんは「50代の人は、65歳より前に受給が始まります。ただ、その開始時期は性別や生年月日により異なります」と話す。
65歳以降の年金は、老齢基礎年金と老齢厚生年金の二つ。これに対し、60代前半の年金は「特別支給の老齢厚生年金」と呼ばれる。こちらは、年金加入期間の長さで決まる「定額部分」と在職中の給与に比例して受給額が変わる「報酬比例部分」に分かれる。定額部分は65歳以降に老齢基礎年金、報酬比例部分は老齢厚生年金に移行すると考えてよい。
年金の受給開始年齢は、現在、段階的に引き上げられている。例えば、図表の一番上のように、1945年4月2日~47年4月1日生まれの男性、50年4月2日~52年4月1日生まれの女性で、厚生年金の受給資格のある人は、60歳から報酬比例部分を、さらに63歳からは定額部分も受け取れる。つまり、63歳から年金を満額受給できることになる。
ねんきん定期便にも、自分の受け取り開始年齢が載っている。夫婦それぞれが定期便で年金の見込み額を確認し、合計すれば、世帯でいつからいくらもらえるかが見えてくる。ただし、「定期便の見込み額には算入されていない年金もあります」と東海林さん。
大きいのは加給年金。これは、厚生年金に原則20年以上加入していた人が満額受給できる年齢になった時に、生計維持関係にある65歳未満の配偶者や、18歳以下(正確には18歳になった年度末まで)の子どもがいる場合、上乗せされる年金だ。
夫が会社員で妻が専業主婦という50代夫婦なら、夫が65歳になって以降、妻が65歳になるまでの期間、年間39万6000円(2010年度)の加給年金が、夫の年金に上乗せされる。ただ、この夫婦で妻が年上だと、夫が65歳になる前に妻が65歳になっているため、加給年金は出ない。
加給年金の有無で、月3万円以上収入が変わってくる。自分の家庭はどうか調べよう。
(2010年12月9日
読売新聞)
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