【コピアポ(チリ北部)=平山亜理】チリ北部サンホセ鉱山落盤事故では、33人の作業員が次々と救出される様子が生中継された。地元メディアによると、世界中で推定10億人以上がテレビで見守ったとされる。当初は録画を放送する予定だったが、直前になって、元テレビ局オーナーのピニェラ大統領が生中継ですべてを世界に見せるよう命じたという。
救出チームのアレハンドロ・ピノ・ウリベさん(67)が「舞台裏」を明かした。「当初は不慮の事故が起きた場合を考え、地下から出てくる作業員の姿を大きなチリ国旗で覆い隠し、録画を後から編集して放送する予定だった」という。
12日、救出直前にピニェラ大統領が現地に入り、「作業員が地上に引き上げられた時に死んでいたとしても、隠さず、すべて放送しろ。最善を尽くした。何も恥じることはない」として、救出口の周りの国旗を外させた。かつてテレビ局のオーナーだったピニェラ氏が、生中継で見せることにこだわったという。
地底の映像も放映された。最後まで地下に残った救助隊員はカメラに向かってお辞儀をしてから、カプセルに乗り込み、地上に戻った。「まるでハリウッド映画のサイエンス・フィクションのようだった」とピノさん。
今回の救出中継は、アメリカの宇宙船アポロの月面着陸時の推定6億人をはるかに超える10億人以上が見た、と地元メディアは伝えている。地元記者は「生中継は予想外で驚いたが、十分な準備をしたというチリ政府の自信の表れだったと思う」と話す。
関連ニュース
・「4兆円減vs8兆円増 TPP加盟で駆け引き活発化」:イザ!
・「海外に翻弄される円 ガイトナー発言 東京外為乱高下」:イザ!
・「証券優遇税制の廃止で一致、平成24年1月から 政府税調専門委 」:イザ!