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PCとネットワークに関するニュースコラム.

格安RAID5カード 玄人志向 SATARAID5-LPPCI 登場

2005-05-04 00:31:00 | 自作PC
 HDDが消耗品であることは,パソコン歴の長い読者の方々ならば,よくご存じだろう.またHDDが熱により,寿命が短くなるという常識も,最近の外付けHDDのセールスポイントの一つである「熱対策の説明」によって,一般パソコンユーザーにも浸透しつつあるように思う.HDDの寿命を少しでも長くするために,HDDクーラーを使用したり,フロントファンの風が当たるベイにHDDを配置したり,S.M.A.R.TとHDD温度のモニタリングソフトでHDDを監視するなどの工夫をしたとしても,やはりHDDは壊れるときは壊れる.その為,重要なファイルのバックアップは必ず行っておくのも,これまた常識中の常識だろう.

 しかし,仮にOSをインストールしたHDDが壊れた場合,バックアップにより重要なファイルは救われたとしても,HDDを交換し,OSを再インストールするのはかなりの手間だ.しかも,最近のHDDは容量が大きいため,大量のフリーソフトやユーティリティも,再インストールしなければならないケースも多いと思う.しかもそれらのソフトの設定には,ソフトの持つバグ等を回避するために,職人的な技が施されている場合があり,それらの設定を再び行うこととなると,これは肉体だけでなく,精神的な負担も大きい.

 HDDは消耗品であり,いつ壊れてもおかしくはない.それはHDDの宿命であり,構造上おそらく永遠に変えることができないと思われる.ならば,HDDが例え壊れても,HDD内のOSや設定やファイルに影響が及ばないフォールトトレラントな仕組みはないものだろうか?

 近年の中級(?)以上のマザーボードにはRAIDを構成できる製品が多い.チップセットがRAID機能を持たない場合でも,RAIDコントローラをオンボードで搭載しているマザーボードもある.RAIDの詳細については,リンク先を読んで頂きたい.

 たいていのマザーボードの持つRAID機能は,RAID0(ストライピング),RAID1(ミラーリング),RAID0+1(ストライピング&ミラーリング)となっている.RAID1(最低HDD2台)もしくはRAID0+1(最低HDD4台)でHDDを構成すれば,HDDが1台壊れても,そのHDDを交換し,RAIDの再構築を行えば,何事もないようにシステムは復活するはずだ.

 ただし,RAID1には弱点がある.それはHDDを2台購入しても,1台分の容量しか使用出来ない点だ.最近はHDDが安くなってきたため,1台分の容量でも納得できるユーザーも多いと思うが,資金不足が常態のPC自作者にとっては,この出資は痛い.

 RAIDについて知識を持っている読者ならば,「RAID5があるじゃないか!」と指摘されることだろう.確かにRAID5ならば,HDD3台構成で,ディスク容量が2/3となり,RAID1よりも,容量が稼げる.障害時もHDDリムーバブルケースにHDDが収納されていれば,ホットスワップできる場合もあるだろう.

 RAID5というと,今までは高価なRAIDカードが必須というイメージがあるが,最近では,マザーボードにオンボードで搭載されているRAIDコントローラが,RAID5をサポートしている場合もある.例えば,SiliconImageSil3114などは,その代表格だ.

 ただし,RAID5にも弱点はある.それは書き込み速度だ.パリティ(XOR)演算を書き込み時に行うために,どうしてもHDDを単体で使用した場合の書き込み速度よりも遅くなる.高級なRAIDカードは,このパリティ演算を高速に行う専用プロセッサが搭載されている(ハードウエアRAID)が,オンボードのRAIDコントローラや安価なRAIDカードの場合,パソコンのCPUがこの演算を肩代わりするため(ソフトウエアRAID),CPUに負荷がかかると共に,書き込み速度はCPUの演算能力次第ということになる.ちなみに,高価な専用プロセッサを搭載せず,パソコンのCPUの力を借りながら演算する安価な演算チップを搭載したRAIDカードも存在する.このようにしてみていけば,オンボードRAIDコントローラがRAID5をサポートするようになった理由が,CPUの演算能力の向上にあることが理解できるだろう.

 ということで,前置きが長くなったが,玄人志向より,RAID5をサポートしたSATA接続HDD用RAIDカード「SATARAID5-LPPCI」が発売された.価格は,Cleverlyで¥4,168となっている.このPCI内蔵RAIDカードは,SATA接続のHDDを4台接続可能で,RAIDコントローラとして先ほど紹介したSiliconImageSil3114を採用している.またロープロファイル用のブラケットも付属する.Sil3114自体は,RAID機能を持っていないようであり,RAID機能はソフト(SoftRAID5?)によって提供されるようだ.さらにSil3114に関するページによると,HDD3台によるRAID5構成が可能であり,またこのRAID5構成を起動ドライブとすることも可能のようだ.

 SATARAID5-LPPCIは,ソフトウエアRAIDを採用しており,書き込み速度はあまり期待できず,またCPUへの負荷も大きいと思われるが,それなりのCPUを持ち,なおかつ,書き込み速度を気にしないのであれば,非常に安価なRAID5ソリューションとなるだろう.新たにフォールトトレラントなマシンを組みたいPC自作者ならば,発売間もないこのRAID5カードに人柱(?)として挑戦するのもいいかもしれない.


 ★★ 参考リンク

 

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