明日香の細い道を尋ねて

生きて行くと言うことは考える事である。何をして何を食べて何に笑い何を求めるか、全ては考える事から始まるのだ。

ニュースに一言(12)ウクライナ問題を深読みする(続き)

2022-03-17 16:14:36 | ニュース

という訳で、今回は新しい視点を紹介する。

1、今回プーチンがウクライナに突如侵攻した理由

ドンパス2州の自治を巡っての紛争を解決するため、2015年に「ミンスク合意」が締結された。ところがこれを「一方的に反故」にして、半ロシア色を強烈に打ち出したのが「ゼレンスキー現大統領」である(勿論、これにはウクライナ国民の後押しがあったことは認めよう)。これは、元外交官で作家の佐藤優氏が「公式に言っていること」だから、事実で間違いないだろうと思う。つまり今回の侵攻は(プーチンの本意は別として)、表面的な理由としては「ミンスク合意を守れ」という正当なロシアの主張を、「ウクライナが突っぱねた」ことから起きているそうだ(マジか!)。

独仏EUも入って国連の正式書式にのっとって締結した条約を、「そんなの関係ねぇ」と言って国際法に違反しているゼレンスキーこそ、今回の侵攻の「第一原因者」である(少なくとも佐藤優氏はそう言っている、と私は解釈した)。こう書くと「お前はロシアの肩を持つのか?!」と大炎上しそうで困っちゃうが、事件の発端は「そういうこと」だそうだ。どっちが悪いかといえば、ゼレンスキーである。要するにウクライナは「自分から戦争になるように」仕向けておいて、痺れを切らしたロシアが攻め込んできたら「悪のロシアが民主主義を蹂躙した」と言いふらして、世論を味方に付けようとしている、ということになる。そして実際に、ゼレンスキーの主張は世界を巻き込んで大規模な経済制裁が発動され、今では「完璧なロシア包囲網」が完成した、ように見える。

2、ゼレンスキーに諦めさせるため、わざとプーチンは時間をかけた?

先に私はウクライナ侵攻のモタつきは「意図的」なもので、実は「大規模経済制裁を完成」するための時間稼ぎだと書いた。しかしそれは余りにも「陰謀論過ぎる」と思うので、ここで撤回する。ロシアの侵攻がモタついているように見えるのは、プーチンが民間人に被害が出ないように「慎重に戦闘を行う」よう指示してるからだと思う(これも見方によっては、抵抗が激しくて攻めあぐねてる、とも見えるが)。何しろウクライナには親ロシア派の人も相当数いるわけで(4割位いるそうだ)、ヒトラー率いる「他人の」ドイツ人と戦った時とは「全然違う」わけである。なるべく民間人(まあ、ウクライナ在住のロシア人のことを考えて、と言ってもいいだろう)の死者を出さないようにしながら「ゼレンスキーを諦めさせる」のが目的のようだ。

ロシアがウクライナを速攻で完全占領し、ゼレンスキーがどうしようも無くなって「無条件降伏」したのでは、今度は世界中の「反ロシアの合唱」を、プーチンが「1人で」被らなければならなくなる。それではロシアは「自由世界の破壊者」として、半永久的に西欧社会から抹殺されて終わってしまい、ロシアのリスクが大き過ぎるのだ。ロシアは「完全孤立した」北朝鮮なんかとは違うのである。そこで考えたのが、ゼレンスキーを追い詰めながら「完全に無力化する前」に交渉で有利に立ち、相手方に余力がある形で「戦争を終わらせる」のが、本当の目的じゃないだろうか。要するにお互い面子を保った上で「手打ち」にするのだ(ヤクザ映画でよく見る「アレ」だ)。ニュースによると「そういう感じで外交交渉」が進んでいる、と報道されているようである。

3、ゼレンスキーを大統領のまま政策転換させて、親ロシア国家に改造する

ゼレンスキーは3月15日に、ウクライナのNATO参加は「諦めた」と発表した。NATO側がどうしても承認できないと言ったみたいである。そりゃそうだろう。「現に戦争している国」をNATOに参加させたりしたら、その日からNATO各国は「自動的にロシアと全面戦争」になってしまう。プーチンは核も辞さないと明言してるから、核弾頭を積んだミサイルが雨霰のようにヨーロッパ中に降ってきて、ドカンドカンと水爆の雲を巻き上げるのは間違いないだろう。幸いプーチンは今や「半狂人」だそうだから、そういう自暴自棄的なやり方も「無いとも言えない」不気味さがある。それでNATOが「NO」と言ったので、ゼレンスキーも渋々諦めたのだろう。

後はクリミア・ドンパスの自治の保障と、ウクライナの中立・非武装、それと政権内のネオナチの排除が残っただけだ。クリミア・ドンパスは「もともとロシア人が住んでいる」所で、ロシアにくれてやったからと言って、ウクライナは「痛くも痒くもない筈」である。これが貴重な鉱物資源がある「中国のウィグル自治区」の抱える問題とは、ちょっと「わけが違う」ところなのだ(中国マジついてない)。そして後は、中立・非武装とネオナチ連中の排除だが、私の見る所では中立・非武装は認められないが、政権中枢からのウクライナ民族主義者(実は反ロシア右翼団体=ネオナチ)の完全排除は「しぶしぶだが認める」、で手を打つんじゃないだろうか(実際にウクライナ民兵組織の女性兵士が、ナチスのマークらしき模様を印刷したTシャツを着ていたらしい。写真はあったが、今は削除されたという)。

これならロシアは「一応、相手が条約を守らなかったから攻めた」と言い訳が立つし、ゼレンスキー側も「ロシアには屈しなかった」と勝利宣言が出来ると思う。クリミアとドンパスは「もともとロシア人が大半を占めていて」、選挙をやっても新ロシア派が勝つのは分かっている地域だ。そんな面倒くさいところは、サッサと捨てた方が「よっぽどスッキリ」するぜ、位の捨て台詞を言ったかどうか知らないが、まあ「そんな気分」だと思う。後は独仏EUが保証人になって、ウクライナとロシアの「不戦平和条約」に署名して終わり。一件落着だ。そんな形が「落とし所」になるんじゃないかな、「知らんけど」(これ、大阪人の常套句だそうだ。アホやな)。

4、中国とアメリカの分立

台湾を抱えている中国は、ロシアより「更に難しい問題」に直面することになった。だって、領土拡張は「ダメっ!」って答えが出ちゃった訳だから、困るよねぇ。かって天安門事件で世界中から孤立した過去のトラウマから、中国は出来るだけアメリカと「正面切ってぶつかる」ことは避けてきた。しかしトランプ以来アメリカの「対中国嫌がらせ」はエスカレートする一方で、最近は、いつまで経っても「仲良くなる」ことはないのじゃないか?、と思い始めたようである。で、香港では「雨傘運動」を殲滅し、ウィグル自治区では「強制収容所?」を作って反体制派撲滅に邁進しているらしい。それで台湾でも「じわじわ」と台湾人の取り込み活動を展開しているが、それに「茶々を入れて何だかんだと妨害」しているのがアメリカなのだ。

こないだもミサイル関連の武器を売却したりして、とにかく「中国を怒らせる」ような嫌がらせ行為は、ずっと「絶やさないように」努力しているらしい。しかし今回、ロシアがウクライナ紛争で意図せず示してくれたことで、習近平には「ハタと」気づいたことがあったようなのだ。

それは
① 核で押し切れば、相手は黙る
② 団結すれば、経済制裁は怖くない
の2つだ。

勿論、ロシア・中国のような社会主義国は(ロシアは一応、国民投票で選んでいることになってはいるが)、絶対に「英米EUの仲間」には入れないという「事実」を思い知らされたのは、当然の「前提」として、である。

① は台湾問題で何かが起こったとしても、もうじっと頭を下げて我慢する必要はない、ということ。最後まで「初志貫徹」すれば、結果は必ず付いてくる。要は彼我の間に「圧倒的な力の差」があれば済む、と考え方を変えただろう。で、② はロシアと中国の関係である。ロシアが資産凍結され、SWIFTから除外されて西側諸国の株式市場から排除されたとしても、ドルに代わる「中国元」の決済方式が使える目処がつき、制裁不参加の国同士(例えば中国・インド・イラン・ブラジル・サウジアラビアなど、世界人口の半分はいきそう)で新しく経済圏を構築すれば「充分成長は可能」とプーチンが見切ったとすれば、これは習近平にとっては「西側からの経済的自立」の良い「予行演習」になるのではないか。

今回は中国は「やや曖昧な」態度に終始しているようだが、ロシアの行動の一挙手一投足を「じーっと見ている」筈である。それで、ロシアが取り合えず「上手く」行けば良し。もし失敗してSOSを出してくるようならば、ボロボロになった「ロシアの面倒」は中国が見るつもりだろう。同じ社会主義国のよしみで。だから、アメリカには貧乏籤を引いたように見せかけておいて恩を売り、台湾問題にはもうしばらくは「手を付けない」で大人しくジッとしていよう、とか。

結論:今回の紛争の原因を考えると、「プーチンの領土的野心」とかなんとか言う専門家や、「プーチンは狂人」と断ずる常識人から、戦争は「とにかく」やめて!という「戦争がなければそれでもう充分という平和愛好家」まで、世界の殆どの人が「ロシアを一方的な悪」と決めつけて反ロシアで一致団結している。

要約すれば、ロシアのやったことは「考えられない程の暴虐非道」の行いである、なぜなら、ロシアなら「それぐらいのこと、やるに決まってるさ、そういう国」なんだ、という循環論法だ。要するに、ウクライナとロシアは「善と悪」の戦いという、わかり易い図式で判断されるのだ。これはいつの時代、どこの場所でも起きていることで、人々は「一番カンタンな分かりやすい答え」に落ちつきたがるのである。マスコミもそれに沿って映像を流す。で、いつの間にか世論が形成されて、「プーチンの野郎は、何んて酷いことをするのか」という感情論が出来上がるというわけだ。こうなったら議論も何も出来るわけはない。アパートに打ち込まれる砲弾や病院で逃げ回る患者の映像を見せられ、「これがロシアの犯罪です」とかアナウンサーがマイクに向かって喋るのを聞いて、なんて「酷いことを平気でやらせる」のか、「ロシアって残酷!」、と非難しない人はいないであろう。しかし物事には「必ず理由」があり、その行為の「良し悪し」を判断する前に、なぜ「そういうことが起きたのか?」を問うことが大切である。判断はそれからでも遅くはない。大事なのは「真実」なのだ。真実は、表面的な目に見えるところにはなく、もっと深くて「光の届かない」部分に隠されている。

私には、共産主義者を「不倶戴天の敵」と忌み嫌う感覚は、全然無い。しかし一部の人たちには、共産主義と聞いただけで「身の毛がよだつ」人もいる。多分、いっとき「共産主義革命」を標榜して、武力闘争に明け暮れた学生組織の「身内での殺し合い」を思い出すのであろう。あるいは共産主義者に「理屈っぽくて他人を信じない」冷酷なイメージを、一種のステレオタイプとして持っているのかも知れない。完全なる「陰惨な殺人者」のイメージである。今は表立ってそういうことを言う人も少なくなったみたいだが、まだ社会の奥底に根強く残っている「固定観念」なのは確かだ。共産主義というのは「社会のシステム」の一つに過ぎないのに、何故「犯罪者のように」扱われるのかは、私には謎である。だが、民間信仰のように人々の間に脈々と流れていて、一言その名を口にしただけで「悪霊を見た」かのように恐怖で後退りしていくような存在なのだろう。ロシアもそんなふうに今でも西側諸国から思われているようでならない。

私はテレビを眺めながら、「お互い仲良く暮らす」ようには出来ないもんかなぁ、とぼんやり考えていた。資本主義には資本主義のいいところがあるだろうし、共産主義にだって良いところがないわけじゃない。現代は多様化の時代である。資本主義国の隣に共産主義国があっても、良いじゃないかと思う。それで「共存」できるように、お互い知恵を出し合って工夫すれば、「必ずや解決は出来るはず」である。戦争で殺し合うよりはずっと楽だと思うけど、「戦争の方がいい」のかねぇ。

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ウクライナ問題は、中東の難民問題が一段落したところで出てきた「覇権争い」の、新たな段階への「通過点」である。ウクライナが終わっても、まだまだ次の紛争国が待っているだろう。それがヨーロッパでなく「アジア、それも北朝鮮あるいは台湾」ということも充分あり得る。アメリカに代表される「資本主義国」と中国・ロシアに代表される「社会主義国」は、どこであろうと紛争が起きそうなところを狙って、「わざわざ揉め事の種」をバラ蒔き、育てているのである。だから日本の外務省も、そろそろ今の内に、日本の「進むべき道筋」を考えておく時じゃないだろうか?。私はそれは、アメリカやEUの「自由な個人主義国」ではなく、どうやら中国を盟主とする「市場経済を導入した新社会主義国」のグループの端っこに、「ちんまり」とぶら下がっていると想像する。日本は、そういうイメージだ。頭が良くて技術もあるが、「ちょっと考え方が変わった国」、というのが日本の評価になっているような気がする。

だがそれで、日本はいいと思う。

日本は意見を言って世界を引っ張るような存在ではなく、真面目にコツコツ働いて大金持ちはいないけど、皆んな平等に楽しく生活していて、世界のどこからも愛される「礼節の国」・・・といったところか。花鳥風月を賞美し、歌舞音曲の技芸を競い、人をもてなして人生の喜びを分かち合う。日本がそんな、人を分け隔てしない「平和な美しい国家」であることを願いたいものである(なんか、ブータンみたい・・・?)。


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