明日香の細い道を尋ねて

生きて行くと言うことは考える事である。何をして何を食べて何に笑い何を求めるか、全ては考える事から始まるのだ。

柏の呑み屋で大激論

2018-06-02 23:15:00 | 今日の話題
友人から飲みにいかないかと誘いがあって、柏駅で待ち合わせて最初東口の方をぶらぶら見て歩いたが、結局西口の飲み屋街へ戻り、何軒か覗いたあげくに「手羽先」という居酒屋に入った。地酒の店である。店内は会社員風の10人位の団体が大声で喚いていたが、それ以外は普通の飲み屋の雰囲気だ。店は割と新し目の装飾で、カウンターが10席くらいとテーブル席が20くらい、小さめの作りである。メニューは手羽先と串が数種類、小料理とツマミが20種類、それにビール・焼酎があって「日本酒が80種類ぐらい」あった。地酒の店と言うだけあって、リストは絢爛豪華である。男山・田酒・豊盃・新政・伯楽星・十四代・くどき上手・鳳凰美田・水芭蕉・来福・神亀、などなど全国各県の銘醸人気の酒がズラッと載っているのだ!この調子で80本である、地酒好きには堪らない店だ。90mlと180mlがチョイス出来て、色々楽しむのなら90mlがおすすめということになるが少々お高いのが難点である。純米吟醸で大体750円、90mlはミニグラスと袴付きで「味見する程度」だから飲ん兵衛は180mlのを頼むほうがいいようだ。そうなると1200円ぐらいで5割上乗せである。いつも飲んでいるのは1合で700円くらいだから高いといえば高い。だが今日は友人のおごりなので勇気凛々怖いものなしで注文した。

なんでもドライバーが割れてゴルフ保険がおりたらしいのだ。もう10年位前に私が譲ったタイトリスト905という年代物だが、一応名器である。しかしもうそろそろ壊れるよ、と言っていた代物でフェースにヒビが入ったというのだが、「私は当然だろうな」と気にもとめていなかった。シャフトもブルーのツアーAD/PT7かなんかが入っていて、わりかし当時としては渾身のカスタムだったのだが時代の流れには逆らえず、壊れたのを機会にPINGのG30に替えたと聞いて、やっと今風のギアになったねと喜んでいたのである。ところが話を聞いていると写真だとか書類だとか色々面倒くさい申請書を提出したら、何と「5万円」も戻ってきたというから驚いたのである!今どきの保険は凄いなぁ、と絶句した。あのオンボロが5万円である、新品だって誰も買わないのに50%の保障額だと言うからまさに天国みたいなもんである。

友人はホールインワンの為にと思ったそうだが、今はキャディなしのプレーがほとんどなので仲間内で入った入ったといっても証拠にはならず、申告する人もいないらしい。それで保険屋は儲かっている、というのが友人の見立てである。まあ、前の組に打ち込むなんてことは有り得ないから大丈夫だが、隣のコースにはしょっちゅう曲がるので万一の場合にと入っておくのは正解かもしれない。一度なんか千葉県野田市の紫あやめコースで右に曲げて隣の林に打ち込んだことが有ったがその時に、いきなりヤクザ風の丸刈りの男が現れて「声ぐらい出せよ、バカヤロー!」と怒鳴りながら向かってきたのにはびっくりした。その時は間髪を入れず友人が「すみませーん」と謝ったので事なきを得たが、よく良く考えれば「不愉快な話」である。「気をつけてくださいよ、声はかけるべきです」ぐらいの物言いであれば、申し訳ありませんと平身低頭するのだが、いきなりバカヤローでは立つ瀬が無いではないか。まあ悪いのはこっちだからしょうがないのだが、それ以来「紫あやめ」は遠慮している。ガラが悪いというのは、どうにも評判が悪いのである。

それで話は元に戻って、友人も気分よく酒の品評をし始めた。最初に飲んだ鳳凰美田は「めっちゃ旨い」極上の美酒で文句なし、次に飲んだ来福と伯楽星は次点である。それでは「次は燗酒を」というので2種類飲んだ。まろやかで旨い酒だったが名前は忘れた、もうだいぶ酔っているのである。最後に獺祭3割9分と而今を飲んだ。極上と言いたいところだが意外とイマイチである。両者とも最高度に評価が高い酒だが、どうも最初に飲んだ鳳凰美田の味に負けてしまって「個性が消された」みたいなのだ。すこぶる上品で飲み進めるうちに良さがじわじわくるタイプなのだが、一口目にガツンとくる鳳凰美田の圧倒的な美味には少々分が悪い。もしかすると獺祭とか而今は家呑みに向いているのかもしれない。ずっと飲んでいる呑み方だと、上品で静かな味わいの獺祭や而今のような酒は評価が高いのである。味の個性が極まった鳳凰美田のような華麗で花のある酒は、何杯も飲んでいると飽きる場合がある。そう、昔から言われるように「美人は3日で飽きる」のだ。結局都合2合を呑んだ、それで2人で1万円である。高い!

やっぱり我々には「ちょっと軽く飲みに行く」というわけには行かないかもしれない。酒の種類が豊富というだけで、しかもそんなに呑んでないのに5000円は痛い。純米で1合800円というのが呑みやすい相場である。そんな事を考えていたら、友人が「地元の踏切近くの道路」について市の土木課と交渉中だと話しだした。なんでも友人の話では、踏切の先の道路を付け替えるにあたって土木課のやった工事が不出来で、死亡事故も起きているらしい。住民は新しいアイディアを考えて市に追加工事を要求しているのだが、一向にラチが開かないというのだ。友人はその交渉のどの位置にいるのか分からないが、市議会もようやく賛成してくれたのに土木課の方でのらりくらりとやる気なさそうな生返事を繰り返すいっぽうだと、急に姿勢を正して息巻いてくる。どうやら自分たちのアイディアに「入れ込んでいる」みたいなのだが、市のほうで「乗り気じゃない」のが気に入らないようなのである。つまり、よくある話なのだ。

公務員というのはなんでああも「やっていることの間違いを指摘されると逆上する」のだろうか。いつも間違いを指摘される習慣がついているので自己防衛が身体に染み付いているとしか思えない反応で、すぐ法に則ってやってますと「私は悪くないモード」になるのである。きっと「お前たちなんか相手にしてられっか」とでも言いたげな特権意識があるのだろう、馬鹿に特有の態度である。日頃感じのいい「おまわりさん」でも、一度間違いを指摘しようものなら途端に「恐ろしい居丈高な態度に豹変する」ものなのである。だが何と言っても公務員である、よほどの法律違反がない限り「言うことを聞かせる方法は無い」というのが現状だ。佐川元国税庁長官の書き換え問題だって、結局は不起訴になったではないか。彼らはピラミッドの中で完全に守られている。そして一度「敵対関係」にあると認識した瞬間に、彼らは一丸となって「異常なしつこさで敵の弱点を突いてくる」のだ。私はそのような豹変した公務員を何度もこの目で見てきた。日本はこの「公務員の特権階級意識」を治さないことには絶対に良くならない、これは私の持論である。

話は持ち越しになって店を出た。柏も結構飲み屋が多い。今度は少し安く飲める店を探してみることにしようと思いながら駅に向かった。道路の件は話を合わせて「そうだそうだ」と調子良く気分を持ち上げることも出来たのだが、大事な友人と呑んでいるのだから私も正論を言うべきだと思ったのである。これ、昭和の青臭い議論好きと言ってしまえばそうなのであるが、逆に考えれば我々の時代に特有の「素晴らしい習慣」ではないかと密かに自負している。酒は騒げばいいというものではないだろう。駅に行くエレカレーターの乗り口で別れてぶらぶら歩いて帰ったが、久しぶりに議論したので気分は高揚していた。持つべきは友、である。

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