和翠塾ブログ

目黒都立大にある書道教室「和翠塾」のブログです。

強く掘る

2014-03-28 07:41:55 | 日記
個人的に稽古しているのですが、篆刻は中々難しいですね。

まずは白文をしっかりできるようにしなければと思い、稽古しているのですが上手くいかないのです。

この上手くいかない、という感覚が厄介で、『納得いかない』と同義なのではありますが、それは出来栄えとしての結果を印鑑としていたために起こる感覚である事に気づきました。

習字と書道が違うように、印鑑と篆刻とは似て非なるものなのです。

強く掘ってみて掴んだ実感です。

『掘る』という行為は、筆で書くよりかなり原始的な行為です。

この原始的な行為が、脳の海馬を刺激するのかもしれません。
単純に『掘る』行為自体が楽しいものなのです。

幼い頃ロウ石使って道路に落書きした楽しい記憶も蘇ります。

それを筆に持ち替えたのが書です。

篆刻は文字の始まりである甲骨文字はもちろんのこと、さらに遡った石に刻んだ原始人の絵にまでそのルーツをたどることがでいるのです。

つまり、ネアンデルタール人ではない、絶滅した種と共有していた感覚です。

この感覚を『石に掘る』という行為が、芸術のエネルギーである生命の源を意識させるのだと思うのです。

そこに長い時間をかけて作り上げられてきたルールを課し、篆刻が成立してきたわけですが、書道と同様に『掘る』行為の欲求がどこからくるのか、その目的は何かを意識して書き、掘らなければ、求める結果は、習字と印鑑でしかないということになるのです。

篆刻の挑戦はまだ駆け出しですが、書道で得た経験が役立つことは間違いのないところです。

でもそれは、書技だけではなく、生命の源に近づく行為の繰り返しで磨かれてきた感覚だと思うのです。

強い線を掘りまくります。






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