6月26日は待ちに待った「第40回全日本川柳2016年・愛媛大会」が盛大に開催され
ました。心配されていた天気も柳人の皆さんの日頃の行いが良いのか「晴れ」。天も我(この
場合は大会に向けて1年前からしっかりと準備して来たスタッフの皆さん。)に味方したと
いった感じで、皆さん「よし、この大会を成功させよう」という気持ちになられたと思います。
当方は舞台袖で進行係の責任者Mさんの補助をする部署。8時過ぎに会場に到着し早速、Mさん
から本日の進行表、舞台の図面、選者等の座る席順が書かれた資料などを頂き、1日の流れや
進行係としてやるべき事の説明を受け、打ち合わせ完了。サブホール入口ではスタッフの方が
それぞれ受付のための準備を慌ただしくやっておられます。句を書く場所では早目に来た方が
すでに投句用紙に向かって鉛筆を走らせています。その他、受付の横には業者の方が愛媛の物産を
販売するためのブースを設営。とにかく大会が始まる前の高揚感やドキドキ感、期待感が入り
交じって忙しいけれど何か楽しい。そして多くの方を「おもてなし」しようと各部署、緊迫感の
中、張り切っている様子が頼もしくさえ見えました。
本日の参加者は何と、北は北海道から南は沖縄まで総勢684名。聞く所によると前日、道後の
大和屋さんでの前夜祭に出席された方は330人とか。大いに盛り上がり、観光を兼ねて松山に
来られた方には最高の夜になったのではないでしょうか。受付開始は9時30分。11時30分に
投句が締め切られステージではアトラクションの郷土芸能「伊予万歳」が始まります。
その後、昼食を挟んで12時30分に開会式。昼食の間、会場内では今や、松山市のテーマソング
となった「この街で」の爽やかな曲と、新井満氏による子規の句を題材にした「春や春」のBGMが
流れ、松山情緒が醸し出されます。その後、記念講演があり13時40分からはジュニア部門の
川柳の秀句の発表と表彰式がありました。
14時30分からは一般の部の事前投句「野球」「船」「電車」「遠い」4題の秀句の披講です。
次から次へと選者が句を読み上げて行きます。会場からはその都度、作者が大きな声で
呼応します。そして、いよいよ本日の投句「迎える」「笑顔」「マドンナ」の入選句が発表される
時間になりました。いつもながら自分の句が読まれるかどうか気になる瞬間です。ただ県内の
大会と違って684人が一つの宿題で2点出すという事は1368の句の中から選ばれるのは
入選句が70点、優秀句が3点で合計73点のみ。選ばれる確率は約5%?!という狭き門。
結果は後ほどにして、当日投句の披講が終わった後は、次回開催地の札幌からの参加者による
宣伝タイム。見所満載、食べ物が美味しい、ビール園もありますとの熱心なアピールでした。
そして今年、11月に開催される「愛知国民文化祭」の川柳大会に来て下さいと、こちらも
愛知県の有志による告知がありました。全国各地、それぞれ川柳を通して活発に動いているなと
感じた一コマでした。
大会も大詰め、最後に当日投句の秀句と事前投句の秀句の中から各賞が選ばれ発表されます。
今年の最優秀句、文部科学大臣賞を獲得されたのは東京から参加した男性の句「百年後
笑顔になれる樹を植える」でした。ちなみに2位の参議院議長賞の句は「木の椅子の温さは
マドンナの温さ」3位の川柳大賞は「吊るし柿ひとり息子は帰らない」でした。
そして16時30分に閉会式。「札幌でまた会いましょう」という言葉で締めくくり、長丁場の
そして熱き言葉の闘い、全国大会IN愛媛は無事終了しました。
大過なく成功裏に終わった愛媛大会。県外の方に愛媛のもてなしは良かった、また来たいと
思って頂ければなお有り難いことです。とにもかくにも大会に向けて尽力されたそれぞれの
部署や担当の方、表舞台で活躍された方、表には出ないものの裏方のポジションでしっかり
支えられた方、ご苦労様でした。立場は違っても思いは一つ、目的は一つ。皆さん一丸と
なって取り組んだ成果、結果が愛媛の川柳界の歴史に一つの足跡を残したことは間違い
ありません。本当にお疲れ様でした。
余談ですが、皆さん帰られた後、会場内のゴミや忘れ物の確認をしていてふと感じるのは
大きなイベントを皆でやり遂げた充実感や満足感はあるものの、やはり「夏草や兵どもが
夢の跡」。宴や祭りの後につきものの寂しさと侘しさ。しかしながら心地よい疲労感を
楽しく思えるのも事実。そんな事を感じつつ会場を後にしました。
さてさて、本日の当方の結果の発表です。せめて一つ位は入選してくれれば御の字と
思っておりましたが、残念ながら全部没でした。一句も読まれることなく句達は見事に
討ち死にしました。選者の目に止まらなかったということは、印象に残る五七五では
なかった訳です。何が足りないのか、数多くの句の中から際立たせるためには工夫が
必要です。魅力ある言葉でユニークな句の内容を発信しなければなりません。
人の心を掴むのは何か?
会場に川柳マガジンを発刊している「新葉館出版」さんが本の販売をしていたので
その中から、この作者の感性がいいなと思い「大倉山発・山本喜太郎川柳句集」を購入。
これからゆっくり読んで勉強したいと思います。川柳という山の頂上はなかなか姿を
見せてくれません。以下に今回、出品させてもらった句を書かせて頂きます。
機会があれば推敲して他の句会で再チャレンジ、敗者復活戦をさせてやれたらと思いつつ…。
「野球」 女房役キャッチミットがぶれてない
インコース投げて出方を見てみるか
「船」 船出するキリンの首と青い月
思春期の紙風船にある嫉妬
「電車」 終電車尖った月を乗せたまま
寒月下夜行列車のひとでなし
「遠い」 遠い日の夢を食うのか星鴉
遠い日の春爛漫にある不安
「笑顔」 春キャベツ笑って昨日やり過ごす
また笑顔プラス思考の蟹である
「マドンナ」 マドンナの謎のうふふで眠れない
マドンナの爪の先から出る本音
「迎える」 送迎の列に紛れたホタルイカ
迎撃のミサイル隠すダンゴムシ
サブホール前の受付の様子です。受け入れ態勢が整って皆さんスタンバイOKです。
ひめぎんホールの入口。全国の柳人が続々と集まって来られます。
坊っちゃんとマドンナも応援に来てくれました。
参加された皆さん、熱心に当日句を書いています。
さあ、自分の詠んだ句の行方はどうなるのでしょうか。
荷物預かり場所も設置されていて、特に県外の方は助かりますね。
投句箱に句箋をいれます。順番を待って多くの人が並んでいました。
ホール前のスペースでは川柳に関する本が販売されています。結構売れていたようです。当方も一冊購入しました。
愛媛のお菓子屋やミカンジュースを販売中。こちらも繁盛していました。
受付で渡す本日の資料類。700部用意されていました。
ジュニア部門の披講と表彰式です。ちなみに最優秀賞の句は「広げると水平線が出るタオル」でした。
受付にはお弁当が到着。
こんな感じのお弁当。
ステージでは「伊予万歳」が演じられています。型が決まるたびに客席からは大きな拍手が。
大会の挨拶をされる実行委員長のT会長。おもてなしのこころでこの大会を成功させたいと強調されました。
一期一会。県内外から一同に会しての大会。お隣の席の人はどこから来られたのでしょうか。ご縁を大切にしたいものです。
披講が始まり、次から次へ入選句が発表されて行きます。
来年の全国大会は北海道の札幌で開催されます。有志の皆さんで札幌を力強くアッピール。
いよいよ大会も終盤を迎えますが、会場はご覧の通り。
大会賞の11句の入選者の表彰式です。愛媛からは2名が選ばれていました。
今大会の最優秀・文部科学大臣賞に輝いた句は「百年後笑顔になれる樹を植える」でした。未来の夢と希望のためには今何をなすべきか、永遠の真理で骨太の内容だと思います。おめでとうございました。
そして皆さん、本当にお疲れ様でした。ゆっくりお休み下さい。