ビバ!迷宮の街角

小道に迷い込めばそこは未開のラビリント。ネオン管が誘う飲み屋街、豆タイルも眩しい赤線の街・・・。

古民家カフェ絵巻

2011年11月05日 | 古い建物
 数年前まで、遠くに足を伸ばさないと行けなかった古民家カフェが、東京に少しずつ増えてきているような気がします。これは家の相続の問題や家屋の老朽化などで、古い持ち家を手放す人が増えているのにも関係していると思いますが、やはり人々が日本家屋の間取りや、古い材木がかもし出す雰囲気に癒しを感じ始めているのでしょう。人々のライフスタイルは古く手のかかるものをバッサリと切り離し、身軽になった便利さと引き換えに、精神面では個々が持て余すほどのストレスを享受する生活になってしまいました。かといって、漆喰の壁や、花を飾った床の間、手入れの行き届いた庭先を照らす石灯籠などを、突然生活に持ち込む事は不可能です。その代わりにお客は古民家カフェに来さえすれば、お茶を飲む一時だけは、田舎の祖父母の家に帰省したような錯覚に囚われ、情報や雑音に振り回されている日々をしばし忘れるのです。
 しかし京都の町屋カフェなどと違って、関東では築浅の古ぼけた家屋に、古道具のテーブルを並べた、古民家もどきのお店が多いのも実情・・ここでは比較的、周囲の環境も含めて歴史を感じさせてくれる場所をご紹介いたします。

 
 東京ではありませんが、一軒家カフェ「パチャンガ」は小江戸、川越にある、一見すると、ど根性ガエルのひろしのお家みたいな、大正時代に建てられた慎ましい平屋のカフェです。廃材なんかをアートっぽく配したエントランスが面白いです。観光コースの蔵の街の通りが有名な川越ですが、カラオケや百貨店の立ち並ぶ繁華街の路地にありました。

 
 
 テラスを張り出したために庭が手狭な感じになっていますが、それがTVドラマの中庭の風景のようで、非現実的空気が流れていました。


 自由が丘にある抹茶や甘味が味わえる「古桑庵」です。大変由緒あるお家を改装したという事ですが、自由が丘は人気スポットで、休日となれば席が空くまで順番待ちで、若年層でごったがえしていました。平日にコソっと訪れるのが良いかもしれません。




 ちょっと騒々しい街ですが、古桑庵は高台に立ち、隣の敷地は神社なので、この高級住宅が並ぶ周辺でもさらにハイソな感じが漂います。ギャラリーも併設しています。
 

 このお店利用したお方々の感想が、なぜか一様に「お婆ちゃんの家みたい~♪」なのよ。どんだけ立派な家柄のお出なんだと・・・。
隣は田園調布だから、お嬢様方しか来ないんじゃない。あとは脳内お嬢様とか。

 中央線阿佐ヶ谷駅の南口を降りてパールセンターという商店街の傍にあるアジアン食堂「ワラビヤ」です。雑貨販売の店舗スペースと共に住居スペースだった場所では、2部屋でお茶や食事が出来るようになっています。天井をぶち抜いて梁を見せて、大正時代に建てられたという古民家独特の狭さを解消しています。通りにはひょうたんを栽培しているご家庭があったりと周辺もいい雰囲気です。
 

お茶室のような住居スペース部分の玄関口。
 

 同じ中央線の駅、西荻窪に普通の民家を改装したカフェレストランと衣類雑貨のお店「りげんどう」というお店があります。古民家再生のスペシャリスト達による大改装という事で、店内の内装や補修に隙がありません。
  

 荷物を運ぶリヤカーを看板代わりに使ったり、センスが光ります。
 
 
 料亭のような入り口の庭の草木の色使い・・・。
 

 最後に、三鷹にある大豆・和風創作料理「田舎」です。カフェではありませんが、平屋を大正ロマンの隠れ里的な雰囲気に改装している面白い場所です。
 

 板戸には何故か欄間が・・・。中を覗くとリゾート風の芝生やパラソル。
 

 板戸で周囲を目隠しして玄関まで歩かせる演出です。