
どうもメディアの扱いが小さ過ぎるので書きます。「石原裕次郎全盛期の日活の監督」、「ムードアクション路線の立役者」というのが、一般的な見方でしょうが、わたしは理知的な映像主義の監督というイメージです。ご冥福をお祈りいたします。
蔵原惟膳、神代辰巳と松竹京都で同期。その後日活に移籍して、裕次郎の歌とのコラボで有名な数々の映画を演出。その後は活動の軸足をテレビに移す…。
といったところが簡単なプロフィールですが、同時期の日活の監督でいうと、中平康の才気走った感覚、舛田利雄の男性的なアクション映画、蔵原惟繕の自在なカメラワーク、斎藤武市の叙情性、といったところとの比較では、、「シャープな映像主義者」というのがわたしのイメージですね。
蔵原惟繕だと破綻すれすれのカメラアングルになりますが、松尾昭典だとピタッピタッと画面が決まってくる。それでいて、映画後半に待ち構える熱情と躍動感!
以下の作品なんか、多くの人に見直してもらいたいですね~。
①『清水の暴れん坊』
裕次郎と赤木圭一郎との共演作としてのみ語られがちな映画ですが、麻薬とメディア、行き場をなくした若者みたいなテーマがわりと現代的。最後の裕次郎と赤木のシーンなんか感動的な力作。
②『打倒(ノックダウン)』
当時の日活お得意のボクシング物映画。赤木圭一郎が天才ボクサーを演じているんですが、残念ながら、赤木のボクシング姿は体が硬くて、『勝利者』の裕次郎がいかに運動神経よかったかが逆にわかってしまう…。
ま、そんなことより、赤木と二谷英明の兄弟が味わう大人社会の狡さ、汚さが苦くてよいですね。
そして、この映画でもラストシーンに躍動感がある。
③『夕陽の丘』
個人的にはこの監督の最高作かなという気も…。裕次郎と浅丘ルリ子のムードアクション、歌謡映画としてしかみられていませんが、アラン・レネやミケランジェロ・アントニオーニの『赤い砂漠』を思わせる映像美の映画です。
浅丘ルリ子というと蔵原惟繕監督の『執炎』や『愛の渇き』が有名ですが、わたしは松尾監督の『夕陽の丘』や『二人の世界』の頃の彼女のほうが綺麗だと思いますね、ちょっと退廃的なムードがあって。
④『男の紋章』
高橋英樹と和泉雅子共演の任侠物で、高橋英樹の父母を演じた石山健二郎と轟由起子がよいんですよね。それと、なんといっても最後の最後のシーンの編集術!ドキッとしました!こういう手があったのかって!
⑤その他(『夜霧の慕情』『二人の世界』)
松竹の桑野みゆき(大島渚の『青春残酷物語』に出てた人です!)が出ている『夜霧の慕情』では、桑野みゆきが日活の女優にはない雰囲気を出しています。
『二人の世界』では、船上での裕次郎とルリ子の出会いのくだりが素晴らしい…。
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というわけで、評論家あたりがもうちょっとちゃんと作品論、作家論をやるべき監督でした。
しかし、ここのところ、映画関係者の訃報が続きますね…。
蔵原惟膳、神代辰巳と松竹京都で同期。その後日活に移籍して、裕次郎の歌とのコラボで有名な数々の映画を演出。その後は活動の軸足をテレビに移す…。
といったところが簡単なプロフィールですが、同時期の日活の監督でいうと、中平康の才気走った感覚、舛田利雄の男性的なアクション映画、蔵原惟繕の自在なカメラワーク、斎藤武市の叙情性、といったところとの比較では、、「シャープな映像主義者」というのがわたしのイメージですね。
蔵原惟繕だと破綻すれすれのカメラアングルになりますが、松尾昭典だとピタッピタッと画面が決まってくる。それでいて、映画後半に待ち構える熱情と躍動感!
以下の作品なんか、多くの人に見直してもらいたいですね~。
①『清水の暴れん坊』
裕次郎と赤木圭一郎との共演作としてのみ語られがちな映画ですが、麻薬とメディア、行き場をなくした若者みたいなテーマがわりと現代的。最後の裕次郎と赤木のシーンなんか感動的な力作。
②『打倒(ノックダウン)』
当時の日活お得意のボクシング物映画。赤木圭一郎が天才ボクサーを演じているんですが、残念ながら、赤木のボクシング姿は体が硬くて、『勝利者』の裕次郎がいかに運動神経よかったかが逆にわかってしまう…。
ま、そんなことより、赤木と二谷英明の兄弟が味わう大人社会の狡さ、汚さが苦くてよいですね。
そして、この映画でもラストシーンに躍動感がある。
③『夕陽の丘』
個人的にはこの監督の最高作かなという気も…。裕次郎と浅丘ルリ子のムードアクション、歌謡映画としてしかみられていませんが、アラン・レネやミケランジェロ・アントニオーニの『赤い砂漠』を思わせる映像美の映画です。
浅丘ルリ子というと蔵原惟繕監督の『執炎』や『愛の渇き』が有名ですが、わたしは松尾監督の『夕陽の丘』や『二人の世界』の頃の彼女のほうが綺麗だと思いますね、ちょっと退廃的なムードがあって。
④『男の紋章』
高橋英樹と和泉雅子共演の任侠物で、高橋英樹の父母を演じた石山健二郎と轟由起子がよいんですよね。それと、なんといっても最後の最後のシーンの編集術!ドキッとしました!こういう手があったのかって!
⑤その他(『夜霧の慕情』『二人の世界』)
松竹の桑野みゆき(大島渚の『青春残酷物語』に出てた人です!)が出ている『夜霧の慕情』では、桑野みゆきが日活の女優にはない雰囲気を出しています。
『二人の世界』では、船上での裕次郎とルリ子の出会いのくだりが素晴らしい…。
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というわけで、評論家あたりがもうちょっとちゃんと作品論、作家論をやるべき監督でした。
しかし、ここのところ、映画関係者の訃報が続きますね…。
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