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映画監督二人の訃報。ベルイマンとアントニオーニ

2007-08-02 23:59:59 | アメリカの夜(映画日記)
ベルイマンの追悼記事を書こうと思ったら、ミケランジェロ・アントニオーニの訃報も飛び込んできた。良くも悪くも、ヨーロッパの難解な映画を撮る巨匠二人の死は、戦後映画の終焉って感じがしてきますね。ところで、大島渚は大丈夫なのかな?

I・ベルイマン監督死去=スウェーデン映画の巨匠 (時事通信) - goo ニュース
イタリア映画界の巨匠、M・アントニオーニ氏が死去=カンヌグランプリの「欲望」など監督(時事通信) - goo ニュース

正直なことをいうと、ふたりとも好きな監督ではないんだけど、気に入っている作品もあることはある。

まず、スウェーデンの巨匠・イングマル・ベルイマンだけど、中期以降の気難しい映画なんかよりは、断然初期の女性を描いたものの方が面白かった。

世評に高い『不良少女モニカ』や『夏の遊び』はいうに及ばず、『夏の夜は三度微笑む』、『愛のレッスン』なんかも良かったなあ~。(なんといっても、エヴァ・ダールバックっていう女優が品があってよかった!)ただ、個人的には、『渇望』という室内劇作品が大好きだし、『愛欲の港』なんていうのも良かった。

初期のベルイマンは、役者(女優)に向かうカメラのアングルが生生しい一方、スウェーデンの港なんかの、あまり暑そうでない夏の風情や凍てついた感じの冬の景色が、他のヨーロッパ映画とは違った感覚だったんですよね。

それと、最近また映画化されて話題のモーツアルトのオペラ「魔笛」だけど、この人も映画化してましたよね。(わたしはLD持ってるんだけど、まだ観てないんですよね…。)

一方、イタリアの巨匠ミケランジェロ・アントニオーニは、ヴィスコンティの貴族性、フェリーニの庶民性、ロッセリーニの即興性との対比で言うと、「現代性」っていうのがキーワードかなというのがわたしの印象。

そのあたりが、今見るとイマイチカッコよくなくなってしまっているところなんだけど、都市型映画だったというイメージはありますね。

当時アントニオーニの愛人だったモニカ・ヴィッティという女優がいまいち苦手だったというのもあるんだけど、「悩んでる近代青年」とか「現代の倦怠」みたいなテーマ性が昔のサヨクって感じでどうもわたしはなあ…。

映像作家としてもミエミエの手法が多くて閉口するんだけど、多分松竹ヌーヴェルヴァーグが一番影響を受けてるのはこの人なんじゃないかな?

と、悪口ばかり書いちゃったんだけど、先日たまたま観た、マーティン・スコセッシによるイタリア映画解説ビデオ『私のイタリア映画旅行』のなかで、アントニオーニの『情事』と『太陽はひとりぼっち』が取り上げられていて、なかなか解説が面白かったので、もう一度見直してみようかなって気にはなってきていますが…。

作品的には、昔ゴダールがベタ誉めした『赤い砂漠』とか、ヤードバーズのライブシーンが観れる『欲望』なんていうのもありましたっけ。(因みに、ジェフ・ベックの芝居が泣けてきます!)

そんなわけで、ご冥福をお祈りいたします。

不良少女モニカ

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渇望

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夏の夜は三たび微笑む

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マーティン・スコセッシ 私のイタリア映画旅行

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欲望

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