切られお富!

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『そして、私たちは愛に帰る』 ファティ・アキン監督

2021-01-17 22:20:23 | アメリカの夜(映画日記)
去年観た映画のベストの一つに挙げていた『女は二度決断する』の監督の過去の作品ですが、好みだけならこっちの方が好きかも。観てなくて人生損してました。傑作。

ドイツ映画なんだけど、トルコ移民の親子、トルコからの出稼ぎ労働者、トルコの学生運動家、ドイツ人の親子の人生が全部つながっていく脚本と編集が見事。でも、そういうテクニカルなことより、社会の現実が個人の人生に与えていく運命のずっしりとした重みがよいんですよね。

今の日本のドラマの脚本だと、結局個人の内面の話にしちゃうでしょ。それに、「昔のハリウッド映画は白人しか出てこない」みたいな批判があったけど、まさに今の日本のドラマとか映画もそう。日本人しか出てこないことに嘘がある(コンビニとか外国人店員なしじゃ成立してないし)。

ま、とにかく、運命の中で個人のできることについて考えさせられる映画でした。(それは結局「赦し」ってことなんでしょうけど。)

映画では、ドイツ人の女子大生とトルコ人の女子大生のカップルが魅力的だし、ドイツ人の女子大生のお母さん役のハンナ・シグラ!がよいんですよね。わたしは、最初彼女だと気づきませんでしたが(ゴダールの『パッション』のころのイメージとだいぶ違うんで。)、名演です。あと、トルコ人の女子大生のお母さん役もよい。この監督って、年寄りの描き方が良いんですよね。『女は二度決断する』のときの、ネオナチの息子のお父さんもよかったし。

というわけで、手ごたえのある映画でした。なお、最後のシーンの雰囲気もよいです。

映画『そして、私たちは愛に帰る』予告篇







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