下手な選手に対する試合中のベンチからの声。
「持つな」 これは「うまくならなくていい」と言っているのと同じ。
「蹴っとけ」 選手の判断を奪うので「サッカーをしなくていい」と同じ。
「何でできないんだ」 できない理由をみつけ、できるようにするのが指導者。選手1人1人について、何ができて何ができないかをわかっていたらこの声はでない。
「教えただろ」 教えたらすぐできるようになるほど、サッカーは簡単じゃない。
下手な選手が失敗をして怒られるのもおかしい。できないことをやれと言われても無理。失敗が多いから下手。失敗する可能性が高いとわかっているなら、周りの選手が助けてあげるようにすればいい。
さらに下手な選手を怒ると、(元々自信がない選手が多いので)委縮してもっとプレーができなくなる。(100点満点で)50点の選手が30点の力しか発揮できないようにしてはいけない。50点のプレーをして欲しいし、前向きな気持ちでプレーをさせて60点のプレーができるようにした方がチームのためになる。
下手な選手にかける声は、「がんばれ」(プレー全般で)、「取られるな」(ボールを持っている時)、「取り返せ」(ボールを敵に渡した時)くらい。あとはいいプレーをしたときにほめる。
今年卒業した女子選手の1人は高学年になってから(初心者で)チームに加わった。『トラップができた』→『ターンができた』→『ターンしてパスができた』→『ターンしてかわしてパスができた』→『ターンしてドリブルしてパスができた』という具合に少しずつうまくなっていった。成長のスピードは遅かったが、階段を1歩ずつ上がっていった。ある時に急にできたりするのを見るのが、とても楽しかった。
失敗して怒られるべきなのは、上手い選手。ドリブルにしてもパスにしても失敗が少ないと「上手い」と判断されてポジションや役割が決まる。上手い選手はチームの中心選手になることが多いので、失敗したらチーム全体への影響が大きい。中心選手としての自覚をもたせて、しっかりプレーさせることが大切。上手いからといって甘やかせては、伸びなくなる。