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南九州の豪雨

「線状降水帯」ということばをはじめて、見たのは一昨年だが、最近こうもたびたび使われたおかげで、しっかり脳裏に刻まれた感じだ。

私の2歳上の姉が鹿児島に住んでいて、土曜と水曜だけ仕事をしている。3日(水)夜、電話したら、避難指示が出ているのに10時から2時まで出勤したそうだ。TVによると山形屋は10時から3時までの短縮営業をしたそうだが、姉は、山形屋の地下で弁当と何3日かを安く買って帰ったと、得意げに語っていた。

93年の水害では、私の卒業したS中学前の川が氾濫し死者も2人出たそうだが、私の実家はさいわい高い場所にあり、家自体は無事だったが、水道が止まって、かなりの期間給水車のお世話になった。ちょうど夏休みで弟一家が帰省しており、80代の母に代わり幼い子らが近くの小学校からせっせと水運びをした。その甥もいまは子持ちになっている。

50%以上がシラス台地である鹿児島は、だからお米より薩摩芋(現地では「からいも」)に適した土地なのだ。空港への往来に、山肌がそこそかしこ赤くはがれた景色を車窓から見ると、郷里の懐に抱かれるという甘い期待が一瞬損なわれる。

小学校のころ、少し雨が降ると、崖のそばは通るなと必ず言われたのを思い出す。小学校までは1分しかなかったが、バケツをひっくり返すような雨が良く降り、そんな日はびしょぬれになって到着し、板張りの廊下が水浸しになっていたのを思い出す。傘立てには和傘が並び、こうもり傘は一寸おしゃれな部類である。ぬかるみで踏ん張るとあっという間に下駄の緒がずるずるっと抜ける時のあの情けない感じ、靴の中に泥水が入る気味悪さも思い出す。

姉が言うには、庭の中が池ではなく川のようになっている。床上浸水はないが、門まで歩いていけない。いざとなったら向かいのマンション(七階?建て)の知人宅に避難する手があるが、小学校の方が気兼ないかなとも言っていた。

鹿児島では全市民59万人に避難指示が出て「全員逃げろと言われてもどこに逃げろというのか」と言う当然の疑問の声もあがったが、ふたを開けてみるとやはり0.6%しか避難しなかったそうだ。夜7時のニュースで、専門家も避難しない方が安全なこともあると言っていたが姉もそれを聞いたと言っていた。きっと彼女も家から出なかったのだろう。
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コメント
 
 
 
Unknown (おキヨ)
2019-07-06 13:05:32
自然災害の多い地に御身内が住んでいらっしゃると心配ですね。
私も東北大震災の際には、一時行方のわからなかった八戸の兄妹の家族を心配をしましたが、避難所である高台の中学校に居ることが判りホッとしたものでした。
 
 
 
Unknown (Bianca)
2019-07-06 13:28:52
おキヨ様

コメント有難うございます。
この地、出雲は地元の人の自慢ですが、神々に守られているのか、自然災害は少なく感じます。

でも日本はどこも安心な場所はないと思った方が良いでしょうね。なぜ我らの祖先はこういう所に住み着いたのか、きっと気が弱く自己主張のできない種族が大陸から追われ追われて、太平洋にぶつかって逃げる場所もなくて仕方なく暮らすようになったのではないかと……。
 
 
 
お見舞い申し上げます (セレンディピティ)
2019-07-06 15:29:07
Biancaさん、こんにちは。
ご家族がいらして、ご心配ですね。お見舞い申し上げます。
日本はどこにいても自然災害の危険がありますが
それにしても近年は大雨が多いですね。

いきなり家を離れて避難するというのは
なかなか勇気がいりますね。
ご家族のご無事を心よりお祈りします。
 
 
 
Unknown (Bianca)
2019-07-06 21:08:22
セレンディピティ様

お見舞ありがとうございます。

>それにしても近年は大雨が多いですね。

それもこれも、温暖化のせいではないかと思います。フランスでは50度近い暑さで死者が出て、某国では2mもヒョウが降り積り、まるで聖書の黙示録のようですね。

どうすれば温暖化の進行を止められるのか、全員でエアコンとガソリン自動車の運転をやめたとしても、既にここまで進んだ温暖化を止める特効薬にはならないでしょう。その上、某大統領のように温暖化などはないとか、某国のように我々は先進国に倣って石炭をこの後50年は使うなどと主張したりする人もいるのですから……。とは言え私は、運転を控え、節電を心掛けるつもりですが。
 
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