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映画「コクリコ坂から」再び

もう一回、映画館で見ようと、一回目を見たときに決めていた。前回とは違う所で涙を催しはしたが、いくつかの小さな発見とともに、こんな疑問も出てきた。

1.この高校は私立か公立か?理事長が決定権をもっているのだから私立だろうが、「うちは貧乏だから大学は国立」と俊が言う。貧乏でも私立高校に行く?

2.理事長の名は「徳丸」というが、その社屋にはよく見ると「アサヒ芸能」「少年愛の美学」などが飾ってあった。徳丸とはつまり、徳間書店のことか。しかし出版社の社長が私立高校の理事長になることがあるだろうか。出版社といえば、たいてい、経営が苦しいというイメージがあるけれど。

3・この高校は本当に共学か?男女がクッキリと別行動をとっており、全校集会といっても女子の姿は後ろに隠れており、まるで男子校のよう。部活の建物にも、女生徒の姿は見えない。割烹着を着た女生徒軍団が、お掃除にやってくる。まあ、団塊の世代までは男は仕事、女は家庭という価値観が圧倒的ではあった。新聞の原稿は男子が書き、女子がガリ切りを「お手伝いする」のはまさにその姿だ。

4.海と俊のキッと唇を結んだ表情と、すっと背筋を伸ばした姿は終始変わらない。
「青い山脈」のようというより、日活青春映画に近いか。白ソックスの少女は吉永小百合を彷彿とさせる。生の小百合でなく、アニメだと素敵。

5.生徒会長の水島と俊は、清潔でりりしく、当時の若者像を思い出す。

6.カルチェラタンは男の館、海の実家(下宿屋)は女の館で(原作まんがでは下宿人が男だったというが)女性研修医とか画家とかがいる。ついでにお母さんも大学教授で、アメリカに研修旅行に行って留守というのは、時代を先取りしすぎているようだ。

まあ、創作だから色々現実と違いがあってもかまわない。宮崎吾郎氏が、徳間書店の発行本(「少年愛の美学」)を好む人なら、このように男女をクッキリと分けて描いたのも納得だ。

※徳間書店とジブリはこれまで深く関って来たとのこと。したがってこの理事長は、徳間社長へのオマージュだろう(7月30日記)

→「コクリコ坂から」11-7-20
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コメント
 
 
 
徳丸氏 (ノラネコ)
2011-08-14 20:52:18
こんばんは。
徳丸氏のモデルはお察しの通り徳間書店の故・徳間康快氏です。
彼はスタジオジブリの生みの親であると共に、80年代には逗子開成学院の理事長として教育の分野でも辣腕を古いました。
時代は違いますが映画のキャラクターはその辺りのエピソードから着想されているのでしょう。
 
 
 
Unknown (Bianca)
2011-08-15 15:14:41
ノラネコ様
コメントありがとうございます。徳間氏がジブリの生みの親だったことと開成学院の理事長だったことは、恥ずかしいことに今まで知りませんでした。徳間書店といえば「少年愛の美学」、1968年の初版を、表紙の絵まで鮮明に覚えています。まさか、ジブリとタルホがつながるとは・・・・・・。この映画のノラネコ様の記事もわが意を得たりと読みました。なかなか肯定的な意見が表面に出てこないことに、不本意なものを感じていましたので。
 
 
 
 (とらねこ)
2011-08-18 00:31:11
Biancaさん、こんばんは。ご無沙汰しております。
こういう良作が見れることに、嬉しくなる思いでいっぱいです。素敵な映画でしたよね!
Biancaさんは吉永小百合さんに主人公を観ていられたのですね。
おっしゃる通り、頭の中で思い描く「イメージ」と、それが実際に形になった「実写」、その間にはどうしても差が生まれてしまうのですよね。それがアニメという形態では、ちょうどいい具合に仕上がっているかのように思いました。アニメで見られる喜びを感じました。

そうそう、徳間書店の徳間康快さんのエピソードは、このブログの記事が面白かったです。
http://blog.livedoor.jp/bunkatsushin/archives/51282301.html

 
 
 
Unknown (Bianca)
2011-08-18 13:50:59
とらねこ様、おいで下さり有難うございます。
貴ブログ「レザボアCATs」を時々、訪ねているのは包容力と温かさに惹かれるからでしょうか。私自身は狭量です。吉永小百合、役者としては特別に評価しているわけではありませんが(私はアンチ小百合で芦川いずみ派です)時代の青春の象徴として、現代の青年に対置して見ました。少なくとも彼女の健康さ、健気さは海(メル)と共通点があると思います。そういえば、今の若者にない足の速さ・・・2歳上の姉が2階から降りる時の「ダダダダダ」というものすごい速さを思い出します。
 
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