映画の感想など・・・基本的にネタばれです。
しづのをだまき
映画「アデル、ブルーは熱い色」
2013 仏 179分 DVD鑑賞 原題≪La Vie d'Adele≫英語≪Blue is the Warmest Color≫
監督 アブデルラティフ・ケシシュ 出演 アデル・エグザルコプロス レア・セドゥ
チュニジアからの移民を描いた「クスクス粒の秘密」と同じ監督。
2013年のカンヌ最高賞(パルムドール)を監督&主演2女優ぐるみで受賞し
スピルバーグも絶賛した前評判に加え、レア・セドゥが大好きなので、ビデオ店で見つけた時は嬉しかった。
パリの街角で、アデルは青い髪のエマとすれちがう。アデルはパストゥール高校の、エマは美術学校の生徒。互いに視線を交わしただけだが、偶然の再会で付き合い始める。
10代と20代の女性たちのラブシーンとセックスシーン、さぞ感傷と美に満ちているだろうと思うと、必ずしもそうではない。
ヒロインのアデルはヒップが異様に大きく、顔もふくれており、唇がいつも半開き。思春期らしいと言えば言えるが、食事のマナーがひどい。ナイフで食べたり、それをなめまわしたりは、わざと下品に撮っているのか、自然の姿なのか?
それに対してエマ(レア・セドゥー)はキリッとしてシャープなのだが、少々目と口つきが不良少女(古い表現!)風で、自分勝手で無神経なところもある。
階級の違い。庶民階級(アデル)と、芸術的知的なインテリ階級(エマ)と。
恐らくギリシア移民だろう、堅実な人生を求めるアデルは、恋をし同棲してもそれが破たんしても、仕事だけはやめない。
「恋は一時、生活は一生」失恋の挙句に自殺したり自暴自棄になったりする映画はあっても、こういう映画はあまりなかったような気がする。若いうちにこんな映画を見ていたら私の人生もう少しましになったのでは。
デモシーンが2つ。一つは高校生のデモで、もう一つはLGBT(性的少数者)のデモ。
もちろん道幅一杯に広がるフランスデモ、男子に混り大声で叫んだり、エマと肩を組んだりするアデルは青春のエネルギーを全開にして幸福そう。また幼稚園児たちと踊る彼女は失恋の痛みを振り切るかのように一心不乱だ。時を経て小学生に書取りをさせる彼女は着実に成長したようだ。ただし幼稚園ほど楽しそうではない。
エマの個展会場を出て青い服の背中を見せて去る彼女、最後のシーンの民族音楽が心に沁みいった。
高校での文学の授業で「マリアンヌの生涯」を取り上げている。男ともだちの話に「危険な関係」が出てくる。どちらも18世紀の古典である。校舎の前にたむろして雑談する高校生の姿は実物大なんだろう。日常生活の空気が出ているのはケシシュ監督らしい。
クロード・ガニオンの「Keiko」1979を思い出した。ヒロインの痛々しいまでの純真さが、似ているような気がして。
ケシシュ監督
→「クスクス粒の秘密」14-10-14
レア・セドゥ
→「美女と野獣」14-11-12
→「美しいひと」10-8-1
→「ミッドナイト・イン・パリ」14-8-5
コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )
« 映画「イント... | 映画「怪しい... » |
さてレァの魅力はあの不良少女っぽいところかもです?
本作は衝撃的ながら素敵な作品で好きです。
TBとコメント有難うございます。
レァは別の映画ではそうでもないのに、この映画では不良っぽかったですね。女子校でモテるのはこんな性格なんでしょうか。うぶな乙女らはやがて来る男への予行練習として惹かれるんでしょうね。でもこの目つきは見かけだけで、その実しおらしい女なんじゃないでしょうか。