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映画「コクリコ坂から」

2011 日本 スタジオジブリ 企画 宮崎駿 監督 宮崎吾朗 松江SATY東宝にて鑑賞
声優 長沢まさみ 岡田准一

私と同年代(60代~50代)から上の世代には郷愁を、少年少女たちには未知への驚きを与えるであろう、明るく健気な日本人の姿を描くアニメ(☆☆☆☆)。

物語と解説(ぴあより)
1963年、横浜のとある高校で、明治時代に建てられた由緒ある建物をめぐり、小さな紛争が勃発。16歳の海と17歳の俊は、そんな最中に出会い、やがて心を通わせていく。東京オリンピックを控え、国自体が活気づく中、ふたりは友情、そして愛を育んでいくが……。
1980年に漫画『なかよし』に掲載された同名作品を映像化。監督は『ゲド戦記』以来5年ぶりとなる宮崎吾朗が務める。企画者の宮崎駿は制作に際し、「異性への憧れと尊敬を失ってはならない」とコメントし、純愛や、ヒロインが出生の秘密に直面する姿をてらわずに描くようだ。

前作では「父親殺し」という重いテーマを打ち出し、アイデア倒れの感じがあった宮崎吾朗監督、今回は父親世代のはぐくんだ「青春と友情」への敬愛の念と自分の中に流れるそれを生かそうという前向きの意思が描かれるものになった。

1963年といえば私は高校を卒業した年で、主人公たちとほとんど同世代、私自身は鹿児島の公立高校で、受験勉強に明け暮れ、このように清清しい充実した高校生活を送ったわけではないが、当時の若者の心情を思えばこういうこともありえたのではないかと思い、ともすれば当時を美化したい誘惑に駆られる。

とりわけ感動したのは宮崎アニメの特徴でもある日常の細かい部分の描写。たとえば、寝るのは畳の上、姉妹が枕を並べて眠る。布団を上げるとスカートが寝押ししてある。窓を開けるのにねじを回す。タイル張りの流し、蛇口も回す。朝は、一同が集合して食事。一日何度もご飯を炊いて、ガスにはマッチで火をつけ、湯気の立つご飯を釜からお櫃に移す。今こんな生活をするかと言われたらもちろん閉口するだろうが、過去のこういう世界が突然パーッとよみがえると、懐かしさを禁じえない。

高校の部室(カルチェ・ラタン)には旧制高校風の気分が溢れている。私より3歳上、1941年生まれの宮崎駿氏の郷愁だろうか。

ただ、私の体験から言って、ガリを切る海が鉄筆を寝かせてまるでペン書きのようにすらすら書いているのや、俊が謄写版で摺るときローラーの動きが軽快すぎる点、息を呑んで見つめるこちらの期待に合わず、未経験者が作画するのでは仕方がないとはいえ、あれでは字もハッキリ書けないし、ちゃんと摺れないだろうと、ちょっと気になった。(→08-06-05 「わら半紙)

→「コクリコ坂から」再び11-7-28
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