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〔映画〕野良猫

1958年東宝 95分  木村恵吾監督 茂木草介原作(映画館で鑑賞)
 
時代は売春防止法が制定された昭和31年(1956)の少し後。大阪釜が崎のドヤ街で、もと娼婦(乙羽信子)とその主人(森繁久弥)が出会う。周囲はヌードスタジオや女子プロレス、連れ込み宿と猫殺し、猥雑な活気にあふれている。少し頭の弱い女と、意志の弱い男は、宿命のように互いに引き寄せられる。
 日本映画は、伝統的に、絶望と貧困の中でしぶとく生きる庶民を描くのが得意である。汚れ役に乙羽、だめ男に森繁。ともにはまり役だ。
 ここで思い出すのが黒沢明の「野良犬」だ。猫と犬の一字違うだけだが、全く別の味わい。こちらはシムノンの推理小説に範をとったとか。猛然と進む蒸気機関車が「野良猫」では、弱者を置き去りにする現代社会を象徴し、「野良犬」では前方への意志を感じさせる。
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コメント
 
 
 
Unknown (Bianca)
2006-10-19 20:07:14
娼婦と娼館とか、もてない男性には、お金さえあれば幻想を抱ける、いわば救いの神のような存在であり、貞淑な妻は、興味を抱き、体験入館したり(「昼顔」のドヌーヴのように、オオ恐ろしい!)とかく面倒な話題だ。最近はSEXLESS問題の方が大きく浮上しているが。

この問題を語り始めると、岸田秀の「性的唯幻論」に行き着き、とんでもないことになりそうなので、この辺でピリオド。
 
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